2024年9月の記事

9・26袴田無罪判決から10月総決起へ

    11・1全国から東京高裁へ


万年筆80本突破!100本実現しよう!
 

 家令裁判長は、狭山担当の最初の仕事に、弁護団によるプレゼンテーションを行った。しかし、それは前任者が採用していたことを、追認したにすぎない。また、「家令は、証拠の科学性を重んじる裁判官だ」という評判も伝え聞いた。しかし、その評価は次の事例によって、一変せざるをえない。
 家令裁判長は、7月18日、元講談社社員朴鐘顕(パク・チョンヒョン)さんに対し、差し戻し審において、有罪判決を下した。法医学者の科学的鑑定を全く無視し、決定的な証拠もないまま、状況認定について検察の主張を丸のみした不当判決だ。「科学性を重んじる」どころか、民族差別による予断と偏見のおもむくまま、有罪ありきという科学とは正反対の前時代的な反動判決である。
 われわれは重大な危惧を抱かざるを得ない。
 家令裁判長に問う。あなたは、61年前の事件発生いらい、連綿とつづく狭山差別裁判について、いったいどう思うのか。有力容疑者が自殺し、「死んだ者に用はない。生きた犯人を捕まえろ」という政府の号令のもと、「部落は悪の巣」という嵐のようなキャンペーン。そのもとに狭山市内の被差別部落に対する警察の総力あげた見込み捜査。そして石川一雄さんの別件逮捕。「家庭的な愛情に恵まれなかった生い立ちから、悪鬼のような犯行におよんだ」という論告求刑。それを追認した死刑判決。そして、部落問題の本を読み漁ったと称しながら、部落問題に一言も言及せず、内田証言を「部落は怖いという理解できる心情」と認定した寺尾差別判決。これらのうちに連綿とつづく、部落差別。幾人もの裁判官の手を経ながら、誰もメスをいれない。誰も反省しない。
 いったい何なのですか! それがまかりとおる日本の司法とはいったい何なのですか!あなたがたの「法のもとの平等」とは、いったい何なのですか!
 いますぐインク鑑定、鑑定人尋問を開始せよ。それをしないなら、さっさと狭山担当を外れなさい。

ひとり1万円の狭山特別カンパに

    ご協力をお願いします。
  

 全国各地の同盟員の皆さん。ともにたたかう仲間の皆さん。
 これまでの厚いご協力に、改めて感謝申し上げます。皆さんのお力添えによって、はじめて、長期にわたる第3次狭山再審闘争をたたかってこれました。2度の意見広告。昨年の毎月要請行動。どれも、これも、皆さんの温かいカンパに支えられ、不可能と言われたことを実現できました。
 その上に、皆さんに新たなお願いを重ねることは、本当に心苦しいかぎりです。ご存じのように、石川一雄さんは、61年間たたかってこられました。85歳もなかばを過ぎました。持病をかかえ、「わたしの命あるうちに無罪を」と悲痛に訴えています。私たちもまた、軒並み高齢化をむかえています。石川一雄さんが健在なうちに、私たちもまた健在なうちに、自らの手でいわれなき汚名を晴らしたい。再審無罪を何としても実現したい。子や孫に、狭山勝利を届けることは、私たちの歴史的使命です。
 しかし、大きな壁が目の前にあります。東京高裁・家令裁判長に、事実調べをさせるかどうか、この点に命運がかかっています。どうすれば、それを実現できるのか。たびたびの要請行動、一層の世論喚起が必要です。胸突き八丁、いざという時には、思い切った行動も必要でしょう。
 それには、先立つものが必要です。とりわけても、福岡、山口をはじめ、遠方からの上京費用は、本当にたいへんです。一度の上京で、一人分の月の食費くらいかかります。皆でカンパを出し合って、助け合うことなしに、東京高裁にかけつけることもできません。
 どうか切実な事情をご理解いただき、1人一口1万円のカンパにご協力をお願いします。(同盟員の皆さんの生活窮乏なおり、1人千円づつ出し合い、10人で1万円でもけっこうです。)。
 風雲急を告げています。この8月からスタートし、10月いっぱいをメドにします。目標額は200万円です。
 2024年8月18日 部落解放同盟全国連合会 委員長 村上久義

カンパの宛先


 〒577-0023
 東大阪市荒本1-8-14-116
 ☎/fax 06-6787-3018
 郵便振替口座
  00910-3-31039
  部落解放同盟全国連合会


大阪市港湾局職員による

 差別発言を糾弾する!


全国連・大阪支部代表者会議

《一連の経過》

 6月18日、大阪市は「勤務中の公用車内で港湾局職員2名が、部落差別を意図して繰り返し発言した」と発表した。同僚職員数名をさして、「えた」などの賤称語を数十回以上にわたり執拗に繰り返し誹謗中傷したというものだ。
 二人のうち一人は指導する立場の上司であったにもかかわらず、さらに助長する差別発言をしていた。大阪市港湾局は3月29日にこの差別発言を把握しながら、市の担当部局への報告は5月下旬まで行われなかった。市では差別発言を確認した時は、速やかに市民局に報告することとされているが、港湾局の担当者は「ドライブレコーダーの文字起こしに時間がかかり、説明が遅れた」と説明している。
 さらに7月1日、大阪市は差別発言の具体的内容について① 子供が結婚する時にはシビアになる、② 生まれ変わっても血は変わらない、③ 皮をなめして暮らしている、④ 部落地名総鑑でしらべる、という趣旨の内容であると追加発表した。
 その後、8月30日付で差別発言の当事者である職員2人を減給処分とし、市長メッセージ(お詫びと今後の対策とおぼしきもの)をホームページに公表した。

《差別発言の全容を隠蔽し、幕引きを策す大阪市》

 今もって、これ以上の発表はない。
 これではどんな心情で、どいう脈絡で、どんな具体的な発言がなされたか、皆目わからない。部落差別を意図した発言がなされたということだけでも許せないことだが、この部落差別発言の全容は明らかにされないままである。

悪質極まりない差別発言

 この部落差別発言に関して、「週刊ポスト」(7月19・26日号)に広野真嗣氏(ノンフィクション作家)が核心に迫る取材記事を載せている。
 それによると、「どの記事(新聞やテレビの)も発言の引用がなく、深刻さが伝わらない」とし、問題の発言の現場となった公用車の、ドライブレコーダーのテープ起こしを入手したとして、その内容を伝えている。その会話は3月18日に1分間、21日に計4分間、28日に17分間だ。次に引用する。
 市が7月1日に公表した① 「結婚する時にはシビアになる」とは、
【A】「差別大好きーやもんね(中略)だってそういう風に育ってきてんもん僕ら」
【B】「なあ、会社はさることながら、ほんま、子供が結婚する時はちょっとなあ、シビアになるわな」
② 「皮なめして暮らしている」とは、
【A】「皮舐めて暮らしとけ」
【B】「人権研修受けなあかんで我々」
③ 「生まれ変わっても血は変わらない」とは、
【A】「どえったはどえったや、なんぼ生まれ変わっても、どえったの血はどえったの血や」とさらに延々と差別発言が続く。
④ 「部落地名総鑑で調べる」に連なるやり取りでは、
【A】「かたや○○(地名)のどえた、かたや○○(地名)のどえた」と地名をあげた発言が続く個所もあり、指導する立場の【B】も「無茶苦茶言うは」といなすだけだった。
 広野氏は市にテープ起こしの資料と入手した資料とが一致するか確認するが、市は「お答えしかねる」と言うのみであった。

《大阪市は部落の怒りの声に向き合え》

 この発言を文字として読み、声として聴く我々の怒りをどう表現すればいいのか。
 身の毛もよだち、体中の血は沸騰し、赤く焼けた火箸をのどの奥に突き立てられた、と表現しておこう。
 部落に生まれ育ち、理不尽な差別に抗して生活を営んできた私たちを、愚弄し、嘲笑し、罵倒した上に唾まで吐きかけるこの発言をこのままで終わりにはできない。私たちの全人格、全存在をかけてもたださずにはおかない。私たちは部落の当事者として、この差別者と大阪市に対して、差別を糺す正当な権利と責任がある。
 私たちは要求する。
 まず、差別発言の全容を私たちの前で明らかにせよ。そのうえで、差別者の心情とその背景を明らかにし、部落差別への真摯な反省と謝罪を求める。大阪市は、行政内部の収拾に心砕くよりも前に、なにをおいてもまず部落民の差別への怒りを真正面に受け止めるべきである。それこそ事の順序というものだ。


家令裁判長による講談社元社員への

      不当判決を糾弾する

 昨年12月、家令裁判長が狭山事件担当に就任すると、一部の人たちから「科学的証拠を重視する裁判官だ」「事実調べ・再審をやってくれるのではないか」などという期待論があがりました。このような、またぞろ持ち出された幻想に対して、私たちは警鐘を鳴らしてきました。
 今回、家令裁判長は「科学的証拠を重視する裁判官」などではなく、それを無視し、検察の言い分を丸のみする反動裁判官であることがはっきりしました。それが、7月18日に出された、講談社元社員に対するえん罪事件への判決です。

●講談社元社員の事件とは

 講談社元編集次長の朴鐘顕(パク・チョンヒョン)さんは、2016年に、自宅で妻の首を絞めて殺害したとして、殺人容疑で逮捕されました。
 夫婦には4名の小さな子供がいました。妻は産後うつ状態で、この日、朴さんが帰宅すると、生後数ヶ月の子供をかかえて「子供と一緒に死ぬ」などと叫びながら包丁を持ちだしました。朴さんは、1階の寝室で妻を押さえつけ、子供を取り上げて2階の部屋に避難しました。妻は2階のドアに包丁を突き刺すなどしましたが、しばらくして静かになったのでドアの外を見てみると、階段の手すりに服を結びつけて、首を吊って自殺していました。
 朴さんは救急車を呼び、かけつけた警察官らに「妻は階段から落ちたことにして下さい」と話しました。これが警察が殺人の疑惑を持ち、捜査を始めるきっかけとなります。
 しかしそれは「子供たちに、お母さんが自殺したというショックを与えたくなかった」からであり、翌日に朴さんは、妻は首を吊って自殺したとありのままを述べています。
 しかし警察は朴さんを妻殺しの犯人として逮捕します。朴さんは一貫して無実を訴えますが、殺人犯として起訴されます。

●自殺か、他殺か

 妻は窒息死であることは間違いありません。顔には傷と出血の跡がありました。裁判の焦点は、自殺か、朴さんが首を絞めて殺したのか、という点でした。決定的な証拠はありませんでした
 1審は、階段付近についていた血痕が少ないので、妻は階段付近で動き回っていない、朴さんが寝室で絞め殺し、死体を階段の上まで運んで突き落としたとして、懲役11年の判決を下しました。
 ところがその後、血痕が別に数多くあることが証拠開示で明らかになりました。すでに死んでいるなら出血はせず、多量の血痕があるはずがありません。
 そこで2審の判決は、「1審の判断根拠は間違っている」としました。しかし、朴さんが寝室で首を絞めたときに、妻は完全に死んだのではなく、脳死状態の死戦期という状態だった、だから階段に運んだ際に血痕があちこちに着いた、としました。
 また手に顔の傷の血がついていなかったので、自殺する人が血のついた手を洗うはずがないから自殺ではない、だから他殺だとしました。そして控訴を棄却しました。
 最高裁では、顔に血のあとが本当にないのかなどがきちんと調査されていないとして、東京高裁に審理を差し戻しました。

●検察言いなりの家令判決

 その差し戻しの審理を担当したのが家令裁判長です。差し戻し審は、審理をやり直しなさい、ということです。だからほとんどの場合は、元が有罪判決だったら無罪判決が出されます。
 差し戻し審で、検察はそれまでの主張をくり返すだけで、特に新しい証拠は出せませんでした。
 一方弁護側は、法医学者の清水教授の証言などで、首には衣類で首を吊った索条根があること、顔には血を拭った跡があることなどを明らかにしました。また洗面場に血の跡があり、妻が生きていて動き回り手を洗ったことも明らかになりました。
 誰もが無罪判決を確信していました。朴さんの子供たちも、この日に父親が帰ってくるのを待っていました。
 ところが家令裁判長は、現場の状況については、検察の主張を丸のみした認定をしました。清水教授の証言については、「写真による所見だから」といって内容も判断せずに切り捨てました。狭山の棄却決定とまったく同じです。
 家令判決は1審の認定を否定した2審の認定をさらに否定し、1審の判決は正しかった、としたのです。しかし1審判決の疑問点を審理することもありませんでした。ただ、自殺はなかったから他殺だ、というものです。他殺であることを科学的に立証してもいません。
 そこに、朴さんが在日朝鮮人であったが故の差別感がなかったでしょうか。
 法廷で朴さんは「僕はやっていません」と何度も声を上げました。家令裁判長は「退廷を命じますよ」と冷たく言い放ちました。
 私たちはあらためて、家令裁判長がこのような裁判長であることをはっきりさせなければなりません。そして一切の幻想などを捨てて、逃げを許さない科学的な証拠と、大衆的世論で追いつめてゆくことが勝利への道であることを確認したいと思います。


まず中央役員・支部役員がわが子や孫と向き合う 

8・25第二回中央青対会議で

     『青年アンケート』実施決定

 8月25日(日)、大阪で中央青年対策会議を開催した。(関東と九州ブロックからはリモート参加)これは既報の通り、長年にわたって「若者の掘り起こしと組織化」を青年部幹事会や各県連・各支部にまかせきりにし、ある意味で放置していたという反省から中央執行部が責任をもって主催し、今年3月(七年ぶり)に復活・再開したもの。
 今回はその第二回め。
 構成メンバーは関東・関西・中四国・九州の各ブロック青年対策担当者と、中央本部事務局、青年部幹事会、婦人部幹事会の代表者。
 この日のおもな案件は『青年へのアンケート』についての提案と議論。予想通り(?) 賛否、疑問、設問の補強案などをふくめて色々な意見が出た。趣旨と目的、そして何より重要な課題は「まず中央役員や各地の役員が我が子や孫たち、その世代と向き合うことから始める」「青年やムラの現実をみんなで共有する」ということ。アンケート用紙を完成させ、全国各地で実施にとりかかる。方針として10月末には第一次集約、11月に分析、12月にあらためてリモート参加も含めた会議の開催を決定。
 また、狭山秋季闘争「10・31石川さんへの無期懲役判決50ヵ年糾弾」のたたかいを11月1日の東京高検と高裁に対する再審要請行動を頂点に据えて各地でとりくみ、首都東京に結集することを確認した。






 






 



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