2016年02月の記事

第25回大会のご案内

(2016年02月29日)

全国の同盟員、共闘の皆さん。部落解放同盟全国連合会(以下、全国連)は来る49日(土)~10日(日)、大阪・荒本人権文化センターで第25回全国大会を開催します。この大会に是非ともご参加をお願いいたします。

全国連は1992年、解放同盟・本部派にかわる部落解放運動の新たな全国組織として歩みをはじめました。以来、国家権力総ぐるみの差別糾弾闘争つぶし、同和対策事業の全廃、同和住宅家賃の値上げなど、ありとあらゆる「部落解放運動の根絶」の攻撃に全国連は一人仁王立ちしてたたかってきました。それは、度重なる権力による弾圧、また共闘者であった革共同の差別者集団への転落・敵対を打ち破る激しいたたかいでした。

そして、この勝利のうえにたって2013年の第25回大会いらい、「新たな挑戦」をはじめてきました。これこそ、法のない時代、戦争の時代、時代の暴風が吹き荒れようとも、「こうやって団結し、こうやってたたかうんだ」「もともと何もないところから始まったのが部落解放運動だ。何もなくても、自分らで団結して生活をかちとり、差別とたたかう。これが本来の運動なんだ」という、部落解放運動そのものを一から、原点にかえって再生するための偉大な挑戦です。この3年間の実践で、私たちは確かな手応えをつかみました。

25回大会で全国連は、「新たな挑戦」をさらに豊かに発展させていきます。まず第1に、安倍政権とたたかう、根性をすえて戦争・差別とたたかいます。全国連は<戦争と差別とたたかう部落解放運動><狭山、安保、沖縄を三位一体でたたかう部落解放運動>をはっきりとさせます。そのために、狭い「糾弾主義」を克服し、権力や解同本部派の糾弾闘争の否定を打ち破って、差別糾弾闘争の全面的な発展をかちとっていきます。狭山第3次再審闘争の勝利を何が何でも勝ち取ります。安倍政権の戦争政治、集団的自衛権の行使、憲法改悪は絶対に許しません。沖縄、三里塚、福島の住民と連帯したたかいぬきます。住宅家賃闘争を継続・発展させ、これからの生活要求闘争の柱になるものを具体化させていきます。

激動の時代にかちぬく運動を共につくりあげていきましょう。

 

2016年2月

「新たな挑戦」の具体化でたたかい抜いた1年

(2016年02月28日)

2015年を闘いぬいて 部落解放同盟全国連合会書記長 中田潔


西宮弾圧粉砕へ

西宮弾圧の闘いの最中で本年も終わろうとしています。今回の石田君の逮捕、起訴は、露骨極まりない芦原支部つぶしの弾圧です。20世帯の住宅追い出しの大攻撃に直面し、必死でこれと闘いながら日々の困難な課題と格闘し、生活を守り抜いてきた支部と住民を蹂躙する暴挙であり断じて許せません。

12月2日神戸地裁で開かれた第1回公判では、完全黙秘で闘う石田君の元気な姿に接することができたものの、12月下旬にも追起訴を公言する検察の長期勾留のあからさまな意図に怒りを禁じえません。

次回、公判が来年2月に決定されていることから石田君は、新年を留置場で迎えることとなります。悔しい限りではありますがともに闘うことを改めて決意すると共に、本部の提起する弾圧粉砕のカンパに取り組んでいただくことを訴えます。

この1年の激闘を振り返って

この1年は、昨年から続く安倍反動政権による戦争法制定の策動との激しい政治情勢のなかで様々な重要な闘いの連続でありました。主なものだけを取り上げても4月統一地方選挙での寝屋川きむら選挙への挑戦と参議院選の取り組み。西宮、奈良での住宅追い出しの闘い。さらに奈良市の改良住宅への応能応益制の導入との闘い。5月青年部の沖縄行動。5・23狭山統一行動と1025狭山中央闘争を軸に、全国結集での波状的要請行動の積み上げ。被爆70年でのヒロシマ、ナガサキの闘いと取り組み。全青大会と全婦大会の開催。戦争法案反対の国会前と各地での行動への参加。1025狭山中央闘争の成功のために奮闘し、その間には各地の県連大会や支部大会の開催や、各支部での三大闘争の取り組み等、厳しい条件のなか果敢に闘い抜いてきた1年でした。

すべての取り組みについて具体的な総括をこの紙面で論ずることはできませんが、「新たな挑戦」の具体的実践からみえる成果と課題、安倍反動政権による戦争法案との闘いとの関連で総括を提起します。

寝屋川選挙の成果

本年冒頭からは、関西の全国連は、寝屋川のきむら選挙の闘いを最優先に、全力で闘い抜きました。2度目の挑戦でありましたが残念ながら敗北してしまいました。地元や全国の仲間の期待にこたえられなかったことに心からお詫びします。

きむら君を先頭にした、寝屋川支部は、きむら選挙を「新たな挑戦」として位置づけ団結をゼロから再組織化し、その中で支部の我が身を切る組織変革を進めて選挙戦を戦い抜きました。

選挙戦の過程では、前回とは比較にならない地元住民の期待の強さが実感できるものでした。とくに村の人々が知人に声をかけ、紹介活動を積極的に取り組んでいただいたこと、住民が自ら事務所に来て協力を申し出てくれたり、演説会では、これまで支部活動や住宅の運動に関わりのなかった村の人たちの参加や発言もあり今回の選挙戦をとうして旧来の村支配のありかたをこえた住民の新たな総意を形成する段階に手をかけ始めたのだといえます。

村の人たちが選挙戦を契機にして動き始めたと言えます。きむら君と寝屋川支部は、これまでの村の小さな批判勢力から、期待される勢力として村の人たちから確実に認知されたと言えます。

住宅闘争の発展

住宅闘争においても西宮では、20世帯の追い出しから悔しさを乗り越え、何度も交流会を重ねながら「新たな挑戦」で11月の支部大会を機に生活要求を軸にした支部の団結の拡大と住宅奪還へのたたかいを開始しようとしていました。支部大会を直前にした今回の弾圧の狙いこそ住民と運動の分断であり、尚も闘おうとする住民への予防とみせしめ以外の何者でもありません。 奈良での闘いも中川市長の登場以来同和行政の差別的転換の策動との闘いが粘り強く闘われてきました。特に同和住宅への攻撃は、ほんらい市行政の責任に帰するものであるにもかかわらず、あれこれの難癖をつけての追い出し攻撃に奈良のきょうだいは住民とともに闘い抜いてきました。さらに改良住宅への応能応益家賃制導入との闘いが本年の最大の闘いとなりました。 闘いの詳細については本紙上でも報告されていますので省略いたしますが、奈良での闘いは、明らかにこれまでの全国連運動の大きな壁をぶち破る闘いの始まりと言えます。拠点支部のある村を超えて市内10か所の部落のうち5か所の自治会が協同して市長に議案の白紙撤回を求め議会を揺るがした部落大衆の奮闘は、「中川市長を倒すまで頑張る」と闘い続けています。

では、こうした奈良の闘いが何故できたのかが大事です。一人のスーパーマンがいたからでもなければ戦術の工夫が良かったからではなく、これが部落解放運動の持つ本来の力だということです。部落大衆の怒りを共有し、大衆の自己解放性にのみ徹底的に依拠して闘うことが、部落解放運動の原理原則であり、この姿勢以外に部落解放運動はあり得ません。法も事業もない時代、戦争へと突き進む時代こそ解放運動の原理原則に立つことが求められています。

新たな挑戦とは法なき時代でも戦える、新たな団結も生まれることが可能な、解放運動の本来持っている力を再認識し、これを解き放ち部落解放運動を復権させようとすることなのです。

「新たな挑戦」を提起して3年が経過し各地での具体的実践が始まりました。青年部では、全国青年部の組織拡大を目指し大会の形や、内容をめぐって何度も試行錯誤しながらも粘り強く闘い続けています。

新たな8・6へ

被爆70年の8・6ヒロシマでは、これまでの形式を変え地元福島町での開催を実現しました。被爆者の高齢化をよいことにヒロシマを風化させることを狙う安倍反動政権に対し、戦争と原爆と差別の被爆者の証言を絶やしては絶対に駄目だとの思いからでした。

8・6を地元の取り組みとして重点を置いたことで地元の参加者が増えましたがまだまだ課題があります。地元での団結の拡大、事前準備、全国からの参加者の位置づけ等ですが、ぜひとも次回も挑戦していきましょう。

狭山闘争の復活へ

茨城では緊迫する狭山第3次再審闘争の情勢を何としても突破するためにこれまでの全国連の枠を大きくひろげ、上映実行委員会を立ち上げ県内各地で狭山上映運動に取り組みました。

各地区での上映会に労働者、市民が多く参加し、狭山闘争のすそ野を拡大しようとする試みは、狭山事件への理解を広げただけでなく、狭山事件の核心である部落差別への理解も深めることができました。

同時に実行委員会には、「障害者」、在日韓国人、アジア人労働者など被差別の当事者が自分たちの課題として上映運動に取り組んでいることです。茨城は小数点在の部落が多く今も「ねた子」の考えが強いところで未組織の地区も存在するのが現状です。行政の部落問題に対する姿勢も後退するなかでの茨城県連の上映運動は、反差別の陣形を大きくすると共にその力が県連に結集する部落大衆に解放運動への確信を深めることは間違いありません。また上映会をとうして得た狭山支援の広がりと部落差別の理解の広まりは新たな部落大衆との出会いと新たな団結を生み出す土壌と条件をつくることになると確信します。

安倍反動政権を部落解放運動の力で打倒しよう!

この一年は、憲法違反の集団的自衛権行使に向けた安保・戦争法案との闘いでありました。この問題は、部落解放運動にとって死活にかかわる問題です。戦争は差別と排外主義を加速させることが実感としてすでに始まっています。今年、荒本を含む近畿まで拡大した差別文書の配布事件は、まれにみる差別事件です。中国や北朝鮮の敵視と危機を煽り「慰安婦」問題を居直るなど侵略戦争への反省も、人権も、平和も、なおざりにされるなど絶対に許せません。「イスラム国」の「テロの脅威」を口実に世界的規模でイスラム教徒への迫害も強まっています。開始されたシリアへの空爆はまさに第3次世界大戦の始まりを感じさせますがこうした社会的風潮が悪質な差別事件の社会的背景となっているのは明らかです。こうした中で全国連は、青年部の沖縄行動を契機に国会前で、全国各地で安保法制反対と共に沖縄の辺野古新基地建設反対を闘い抜いてきました。戦争法案は、国会を通過し成立したが闘いはまだ始まったばかりです。実際の派兵で何が起こるのか、人の命、生活、権利がどう扱われるのかが一時の問題としてではなく連綿と続く問題となりました。新たな時代の転換を前にして部落解放運動はどう闘うのかが大きく問われる1年となりました。

さいごに

紙面の都合から県連、支部の各地での奮闘に言及できなかったことをお詫びいたします。

「新たな挑戦」は既成解同の没落と共に部落解放運動への失望が蔓延するなかで全国連にもその逆風が吹きまくる中で部落大衆との多様な出会い、機会をとらえ、既成の運動では、無視される怒りや要求をつかみ取り共有し、部落民としての自己解放性のみに徹底的に依拠し、引き出し新たな団結を作り出そうとすることです。

それは、単に戦術の工夫やたんに闘いの幅を広げるということではありません。その姿勢のなかに部落解放運動の原理原則にたちかえり、それに忠実に闘っていくことの大事さを再確立しようとするものです。本当は、複雑でも難しいことでもなくいわば、原理原則に立った当たり前の部落解放運動をやろうということです。部落解放運動の力強さに確信を深め来年も全力で闘いましょう。

第二回 侵略戦争へ突進する安倍政権(前号のつづき)

(2016年02月28日)

安倍首相は、七月参議院選挙で「憲法改正を訴える」ことを明らかにしました。「九条」からではなく、与野党が合意しやすい「緊急事態条項」を憲法に加えることから始めようとしています。「緊急事態条項」は、大災害や戦争の緊急時には、内閣が国会に代わって国策を決定し、しかも、国民の権利を制限できるというものです。これは「戦時国家と独裁政治」へ道を開こうとするものであり、立憲主義と議会制民主主義を否定するものです。決して許すわけには行きません。昨秋の国会包囲闘争をさらに上まわる巨大な大衆の自主決起で、安倍戦争政権を打倒しよう.



三、アジア諸国と軍事協力の強化

昨年秋に強行採決された新安保法制は、中東-インド洋-南・東シナ海での主に石油輸送のためのシーレーン(海上交通航路)を軍事的に守るだけではなく、アジア地域を日本の強い影響がおよぶ勢力圏とするためのものです。

安倍政権による目まぐるしく進むアジアでの軍事協力を見ていこう。<br/>


(一) 豪州と「準軍事同盟国」に

今や、日本と豪州は軍事的な「準同盟国」です。「訪問部隊地位協定」を結び、部隊の運用や武器・弾薬などでの協力を強化して、日本国内での日豪共同演習もできるようになりました。 

豪州は、「世界一深く潜れて、音が静かで、潜水距離が長い」日本製の新型潜水艦で、海上輸送路の軍事的な確保をめざそうとしています。日・豪にとって、南太平洋の島しょ国海域や南シナ海は、石油・天然ガス・石炭などを輸送する重要な海域です。日・豪は、中国の南シナ海や南太平洋しょ島への進出に対して、この海域での勢力圏を共同して軍事的に対抗するために、準軍事同盟国へと踏みだしたのです。

すでに、豪州は、南シナ海の中国人工島の軍事的な警戒・監視を、米国の駆逐艦につづいて哨戒機で行いました。日・米・豪などによる共同軍事演習も行なわれています。南シナ海での制空と制海をめぐる中国と日・米・豪などの争いは、必ず軍事衝突に行き着かざるをえません。その緊張は日ごとに高まっています。


(二) 東南アジア諸国との軍事協力

この一年、安倍政権は驚くほどのスピードで東南アジア各国との軍事協力を進めています。フィリピン・ベトナム・インドネシアを軸に「防衛装備協定」を結び、南シナ海での中国の人工島建設による領土・領海拡大に、軍事力の増強で介入して対抗しようとしています。

フィリピンでは、自衛隊が基地使用できるようになり、海自の練習機と大型巡視船十隻を軍事供与しています。また、南シナ海・フィリピン沿岸部での米・比軍事共同演習には、陸自隊員が参加しています。

ベトナムでは、南部のカムラン湾海軍基地を海上自衛艦が、中部のダナン基地を海自哨戒機が使用して、自衛隊は南シナ海での活動範囲が大きく広がりました。また、ベトナム軍と初めての海上共同訓練が行なわれ、日米共同演習には、日本からインド洋で演習中の護衛艦と、ソマリア沖からも護衛艦の3隻が参加しました。

インドネシアとは、海洋の安全保障で協力することで一致して、今年に実施される多国間共同訓練「コモド」に海自が派兵されます。

南シナ海での領土・領海をめぐる争いは、日増しに軍事衝突へと向かっています。


(三) 日・印安保は「新たな段階」へ

日・印は「情報保護協定」によって軍事秘密のやりとりを行ない、インド洋のシーレーンを警戒監視システムで防衛協力をすでに行なっています。また、日・米・印によるベンガル湾での定期的な海上共同訓練が、海上自衛隊の艦船十隻が参加して行なわれています。インドは駆逐艦やフリゲート艦、米は原子力空母や原子力潜水艦が参加して、対空戦や対潜水艦作戦、そして、水上射撃訓練が行なわれました。

インドは、中国のインド洋進出に対抗して、東アフリカから東南アジア諸国と共に、逆に中国を封じ込もうとしています。

また、空母と原潜を二隻ずつの体制に強化し、インド艦船がベトナム寄航から自衛隊観閲式に参加しています。さらに、マラッカ海峡でタイ・インドネシアなどの東南アジア諸国との多国間の軍事演習を、豪州とは海軍の共同演習を行なっています。

核兵器保有国であるインドとの軍事協力の強化は、核戦争の参戦への道を開くことになります。また、「日・印原子力協定」は原発メーカーの輸出に大きく道を開くばかりか、インドの核保有を認めることになります。

日・印安保は、インド洋で対中国の戦時体制に突入していると言えます。

 


(次回は、「四、沖縄・辺野古新基地阻止へ」と、「第三回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』軍隊に」です)

 

四、沖縄・辺野古新基地の建設阻止へ


朝鮮有事の最前線基地

南西諸島への自衛隊配備


第三回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』軍隊に


一、 年のイラク派兵で攻撃された自衛隊

駐屯地に十三回の迫撃弾砲撃<br/>

巡回中にデモ隊と一触即発<br/>


二、 南ス-ダンのPKO派兵

駆けつけ警護で交戦

警戒・監視活動の治安維持活動で標的に

 

三、 朝鮮半島沖・東シナ海での船舶臨検

船舶臨検の戦闘行動

四、機雷掃海の戦闘行動

中東・ホルムズ海峡

マラッカ海峡・南シナ海

 

五、 東アフリカのジブチ基地

 

六、 ソマリア沖の「海賊対策」

新安保法制と侵略戦争のはじまり

(2016年02月28日)

第三回 戦時国家へ突進する安倍政権(前号のつづき)

 

二、急ピッチにすすむ軍事大国化

 

いよいよ今年三月から、新安保法制が実施されます。安倍首相は七月参議院選挙で、「改憲を訴える」と宣言しました。憲法改悪と軍事大国化攻撃は一気に突き進もうとしています。今回は、安倍政権による「軍事大国化」の攻撃を具体的に見ていきましょう。

 

 


 

(一)史上最大の軍事予算と装備

 

安倍政権によって四年連続で増額してきた防衛費は、ついに史上はじめて五兆円を突破しました。すさまじい軍拡です。今年三月から実施される集団的自衛権の行使のために、兵器や武器を増強するためです。

 

地上から操縦する小型の無人偵察機や、レーダーで発見できないステルス戦闘機、部隊をすばやく運ぶ垂直離着陸輸送機オスプレイ、新型空中給油機、イージス艦と連動する早期警戒機、最新型の対潜水艦哨戒ヘリコプタ-、そして、上陸作戦用の水陸両用車、空輸ができて戦車の火力をもち高速移動できる機動戦闘車、また、イ-ジス艦、最新型潜水艦などが増強されます。いずれも、世界の最新鋭で最強の武器です。安倍政権こそ、果てしない軍拡の道を開く戦争内閣と言えます。

 


 

(二)軍事偵察衛星の増強

 

O八年から配備された軍事衛星は、今日では自衛隊の武力行使のために大幅に強化されています。

 

安倍政権は、情報収集ための軍事衛星を、現在の四機から十機体制に一気に増強します。天候や昼夜に影響されない、赤外線レーダー使用の早期警戒衛星は七機にもなります。これらの軍事衛星は、地球上のどこでも一日に何回も撮影できるものです。地上三Ocmの物体を判別できて、二四時間監視できる軍事偵察衛星は、武力行使と戦闘行動の勝敗を決める武器です。

 

そして、ミサイルや艦隊誘導に必要な「全地球測位システム(GPS)」を拡大しようとしています。今日の戦争にとって、このGPSがなければ攻撃も防御も不能になってしまいます。

 

この軍事衛星を打ち上げた日本の「H2Aロケット」は、世界の航空宇宙産業の最新技術をもち、先端に(核)爆弾を積めば戦略(核)ミサイルにもなります。

 

軍事偵察衛星の増強こそ、安倍政権が本気で戦争をやることの証左です。

 


 

(三)はじまった武器輸出と軍事援助

 

十四年に解禁された武器輸出は、いっきょに一八四一件にものぼっています。相手国は米国や中国など16カ国に及びます。しかし、品目の詳しいことは明らかにされていません。国家安全保障会議(NSC)の承認が必要な「重要案件」は、なんと一件という秘密主義です。特定秘密保護法によって、これからはもっと野放しに武器輸出は増えていきます。

 

安倍政権の狙いは、武器輸出の解禁によって、苦境に立つ国内の防衛関連企業(「死の商人」)を支援することです。新設された「防衛装備庁」(制服組が入庁)は、三菱重工や川崎重工など約二OOの防衛関連企業(下請などで約二OOO社)と一体となって、海外での販売拡大を進めています。

 

また、十七年ぶりに増額したODA(政府開発援助)で、軍事援助ができるようになりました。経済のみならず軍事においても、ASEAN諸国などの途上国を、日本の勢力圏に組み込もうとする安倍政権の野望が透けて見えます。

 


 

(四)初の日米統一指揮機関の発足と軍部(自衛隊)の台頭

 

安倍政権は、自衛隊と米軍を「平時から緊急事態までのあらゆる段階」に即して、一体的に運用するために、日米の新しい協議機関である「同盟調整メカニズム」を設置しました。日米による初めての「統一指揮機関・司令部」です。「メカニズム」ではただちに作戦が決定され、部隊に詳しい指示が出されます。

 

すでに、横須賀の米第7艦隊司令部と、横田の在日空軍司令部には、自衛隊幹部が配置されています。

 

また、自衛隊の軍部としての台頭は突出しています。文官が制服組をコントロールする「文民統制」はなくなりました。自衛隊の最高幹部が、直接、防衛大臣に軍事政策や方針を進言する体制に変わりました。自衛隊(軍部)の突出は戦前への回帰そのものです。

 


 

(五)北朝鮮に宣戦布告した中谷暴言

 

中谷防衛相は韓国国防大臣との会談で、「朝鮮半島有事の際には、『韓国の同意がなくても』、自衛隊は独自で、北朝鮮への戦争ができる」と暴言を吐きました。朝鮮侵略戦争への安倍政権の露骨な本音が出ています。

 

韓国は憲法で北朝鮮を韓国領としており、韓国の了解なしに北朝鮮への攻撃はできないことを、中谷は百も承知で、韓国政府を居丈高に恫喝し、北朝鮮を挑発したのです。

 

三月~四月、八万人が参加する米韓軍事演習(朝鮮戦争を想定)は、新安保法制下で自衛隊が後方支援作戦(武力行使)を行なう、はじめての日・米・韓の軍事共同演習となります。一月はじめ、北朝鮮が「水爆実験」・核保有化を公表したこともあり、極めて緊迫した軍事演習になります。

 

安倍政権による朝鮮侵略戦争の野望を必ず打ち砕こう。

 


 

(六)南シナ海への自衛隊派兵

 

安倍首相は、米国が南シナ海の中国人工島周辺を、イージス駆逐艦(横須賀基地が母港)で巡航させて威嚇したことを支持しました。そして、南シナ海に自衛隊を派兵する検討に入りました。

 

自衛隊はすでに南シナ海で、米軍や東南アジア諸国連合(ASEAN)との共同軍事訓練に参加しています。新安保法制では、米艦船を守るために南シナ海でも自衛隊艦船が後方支援を行ないます。米艦船などが攻撃されれば、自衛隊は攻撃を受けていなくても反撃します。

 

南シナ海での領土領海をめぐる中国とベトナム・フィリピンなどとの国家間の争いは、東南アジア全域の泥沼的な軍事衝突に発展しかねません。安倍政権は、南シナ海への武力行使によって、シーレーン(海上交通路)防衛と、日本の勢力圏づくりを狙っているのです。

 

伊方原発の再稼働をやめさせよう

(2016年02月28日)

愛媛】 愛媛の伊方原発の再稼働問題はいよいよ正念場を迎えています。愛媛の全国連からの報告です。

1026日、愛媛県知事が再稼働に同意しました。福島はいまだ収束せず、原因も究明されていない。伊方では避難計画に実効性に疑問が持たれているなかで、原発の再稼働が着々と準備されています。

去る1011日には、毎月11日に取り組まれている伊方原発ゲート前の座り込みのたたかいが勝ち取られています。

11月1日には、「STOP伊方原発再稼働11・1全国集会in松山」が開催されました。県内外から四千人が集い、集会は大成功しました。

集会決議では「電気が足りないというのはウソです。原発が安全であるというのはウソです。原発は安いというのはウソです。避難できるというのもウソです。」と原発政策を批判し、「人間は放射能を制御できません。原発と人類は共存できません。再稼働推進という国策に、私たちは敢然と立ち向かい、伊方原発3号機の再稼働阻止のために、全力で闘うことを決議します。」と結んでいます。

この全国集会には、大阪や広島からも全国連の仲間がかけつけ共にデモを行いました。

この全国集会は、全国各地で原発再稼働阻止のたたかいを結びつけ、闘いの決意を深める場ともなりました。私たち全国連も各地の闘いに連帯していこうではありませんか。

伊方原発再稼働阻止のたたかいは、地元の部落との結びつけるたたかいでもあります。

私たち愛媛の全国連は地元の部落の兄弟たちによりそい、支え、はげまし合って、このたたかいを強化していきたいと思います。

1111日のゲート前のすわりこみの闘いは、新たな闘いの第一歩となりました。私たちは川内原発の再稼働を糾弾し、伊方原発の再稼働阻止の闘いをさらに強化することを誓い合いました。

全国の仲間のみなさん!

伊方原発再稼働阻止のたたかいに立ち上がろうではありませんか。

14回長野県連 青年部大会を井上地域公民館に開催しました。家族ぐるみの参加や久しぶりに会う顔ぶれもあり、これまでにない盛り上がりで成功を収めました。

県連代表のあいさつでは、小森県連委員長から青年部の新たな挑戦に対しての激励や世界情勢をひも解いて提起していただきました。

連帯のアピールでは、婦人部から小林あや子県連婦人部長からしていただき、青年部から婦人部への階段がしっかりつくられていることを表明していただきました。

記念講演は、小林青年部長がおこない、狭山学習会として、三大物証の「時計」について、黒板を使って学びました。

活動報告では、上原副部長と吉越副部長が一年間をふり返り、総括をしました。

運動方針では、北村理恵事務局次長が来年にとり組む、全国連青年部独自での狭山要請行動を熱烈に訴え、議案すべて全会一致で採択されました。1025狭山中央闘争を経て、改めて「新たな挑戦」にしっかり踏み出せた大会となりました。

戦争と差別の安倍政権を打倒しよう

(2016年02月28日)

  2016年の新春にあたって
 部落解放同盟全国連合会委員長  瀬川博

2016年の新春を迎えました。今年は全国連創立から25年です。
世の中は、日本の安倍政権を筆頭に、アメリカ、西欧での極右の台頭に見るように、戦争と差別の時代へ転換点にさしかかっています。全国連にとって、これまでの25年間で、一番大事なときになります。団結を固め、反動を恐れず、戦争・差別に反対する部落解放運動の再生のため、たたかいぬきましょう。

残念でならないのは、昨年末の金平通雄中執の急逝です。故金平中執は、70年いらいの狭山戦士であり、処分闘争・全国連創立の戦友であり、何より金平玲さんへの差別事件に毅然と対決し革共同糾弾・断絶の最先頭にたち、毎年の8・6ヒロシマ集会の責任者を務め、64歳で亡くなるその時まで全国連の中執として責任を全うされました。広島支部、8・6、いや今日の全国連そのものが、故金平中執をぬきに語ることはできません。64歳とは、いかにも早すぎますが、彼の最後まで節を曲げない姿は、私たちみんなのなかに生き続けます。2016年を金平中執の弔い合戦として、全国連はたたかいぬきます。

その最初の大舞台は、4月9、10日に開催する、第25回全国大会です。全国総がかりで、25回大会をかちとりましょう。
私たちは、新たな挑戦をかかげ、進んできました。昨年、寝屋川、奈良、茨城、長野、広島はじめ、各地でその手ごたえを掴みました。権力者は「もう同和など存在しない」などと吹聴しながら、むしろ差別・排外主義を不可避にする戦争政治をひた走っています。安倍政権による安保法制が、その引き金です。私たちの挑戦は、この時代の逆風をついて、荊冠旗を守りぬき、労働者民衆のたたかいの先陣に翻るものです。

今年夏には、当面の集大成となる国政選挙(衆参ダブルも?)があります。全国連は、狭山次再審で何としても勝利すべく、広範な全人民運動を展開し、要請行動では植村体制と真っ向からたたかいます。この狭山闘争を、安保・沖縄闘争と三位一体でとりくみ、安倍政権打倒に決起します。西宮弾圧とたたかい、石田君の無罪奪還をかちとります。激闘の2016年をともに団結してたたかいましょう。

新安保法制と侵略戦争のはじまり

(2016年02月28日)

第三回 戦時国家へ突進する安倍政権(前号のつづき)


二、急ピッチにすすむ軍事大国化
いよいよ今年三月から、新安保法制が実施されます。安倍首相は七月参議院選挙で、「改憲を訴える」と宣言しました。憲法改悪と軍事大国化攻撃は一気に突き進もうとしています。今回は、安倍政権による「軍事大国化」の攻撃を具体的に見ていきましょう。

(一)史上最大の軍事予算と装備
安倍政権によって四年連続で増額してきた防衛費は、ついに史上はじめて五兆円を突破しました。すさまじい軍拡です。今年三月から実施される集団的自衛権の行使のために、兵器や武器を増強するためです。
地上から操縦する小型の無人偵察機や、レーダーで発見できないステルス戦闘機、部隊をすばやく運ぶ垂直離着陸輸送機オスプレイ、新型空中給油機、イージス艦と連動する早期警戒機、最新型の対潜水艦哨戒ヘリコプタ-、そして、上陸作戦用の水陸両用車、空輸ができて戦車の火力をもち高速移動できる機動戦闘車、また、イ-ジス艦、最新型潜水艦などが増強されます。いずれも、世界の最新鋭で最強の武器です。安倍政権こそ、果てしない軍拡の道を開く戦争内閣と言えます。

(二)軍事偵察衛星の増強
O八年から配備された軍事衛星は、今日では自衛隊の武力行使のために大幅に強化されています。
安倍政権は、情報収集ための軍事衛星を、現在の四機から十機体制に一気に増強します。天候や昼夜に影響されない、赤外線レーダー使用の早期警戒衛星は七機にもなります。これらの軍事衛星は、地球上のどこでも一日に何回も撮影できるものです。地上三Ocmの物体を判別できて、二四時間監視できる軍事偵察衛星は、武力行使と戦闘行動の勝敗を決める武器です。
そして、ミサイルや艦隊誘導に必要な「全地球測位システム(GPS)」を拡大しようとしています。今日の戦争にとって、このGPSがなければ攻撃も防御も不能になってしまいます。
この軍事衛星を打ち上げた日本の「H2Aロケット」は、世界の航空宇宙産業の最新技術をもち、先端に(核)爆弾を積めば戦略(核)ミサイルにもなります。
軍事偵察衛星の増強こそ、安倍政権が本気で戦争をやることの証左です。

(三)はじまった武器輸出と軍事援助
十四年に解禁された武器輸出は、いっきょに一八四一件にものぼっています。相手国は米国や中国など16カ国に及びます。しかし、品目の詳しいことは明らかにされていません。国家安全保障会議(NSC)の承認が必要な「重要案件」は、なんと一件という秘密主義です。特定秘密保護法によって、これからはもっと野放しに武器輸出は増えていきます。
安倍政権の狙いは、武器輸出の解禁によって、苦境に立つ国内の防衛関連企業(「死の商人」)を支援することです。新設された「防衛装備庁」(制服組が入庁)は、三菱重工や川崎重工など約二OOの防衛関連企業(下請などで約二OOO社)と一体となって、海外での販売拡大を進めています。 また、十七年ぶりに増額したODA(政府開発援助)で、軍事援助ができるようになりました。経済のみならず軍事においても、ASEAN諸国などの途上国を、日本の勢力圏に組み込もうとする安倍政権の野望が透けて見えます。

(四)初の日米統一指揮機関の発足と軍部(自衛隊)の台頭
安倍政権は、自衛隊と米軍を「平時から緊急事態までのあらゆる段階」に即して、一体的に運用するために、日米の新しい協議機関である「同盟調整メカニズム」を設置しました。日米による初めての「統一指揮機関・司令部」です。「メカニズム」ではただちに作戦が決定され、部隊に詳しい指示が出されます。
すでに、横須賀の米第7艦隊司令部と、横田の在日空軍司令部には、自衛隊幹部が配置されています。
また、自衛隊の軍部としての台頭は突出しています。文官が制服組をコントロールする「文民統制」はなくなりました。自衛隊の最高幹部が、直接、防衛大臣に軍事政策や方針を進言する体制に変わりました。自衛隊(軍部)の突出は戦前への回帰そのものです。

(五)北朝鮮に宣戦布告した中谷暴言
中谷防衛相は韓国国防大臣との会談で、「朝鮮半島有事の際には、『韓国の同意がなくても』、自衛隊は独自で、北朝鮮への戦争ができる」と暴言を吐きました。朝鮮侵略戦争への安倍政権の露骨な本音が出ています。
韓国は憲法で北朝鮮を韓国領としており、韓国の了解なしに北朝鮮への攻撃はできないことを、中谷は百も承知で、韓国政府を居丈高に恫喝し、北朝鮮を挑発したのです。
三月~四月、八万人が参加する米韓軍事演習(朝鮮戦争を想定)は、新安保法制下で自衛隊が後方支援作戦(武力行使)を行なう、はじめての日・米・韓の軍事共同演習となります。一月はじめ、北朝鮮が「水爆実験」・核保有化を公表したこともあり、極めて緊迫した軍事演習になります。
安倍政権による朝鮮侵略戦争の野望を必ず打ち砕こう。

(六)南シナ海への自衛隊派兵
安倍首相は、米国が南シナ海の中国人工島周辺を、イージス駆逐艦(横須賀基地が母港)で巡航させて威嚇したことを支持しました。そして、南シナ海に自衛隊を派兵する検討に入りました。
自衛隊はすでに南シナ海で、米軍や東南アジア諸国連合(ASEAN)との共同軍事訓練に参加しています。新安保法制では、米艦船を守るために南シナ海でも自衛隊艦船が後方支援を行ないます。米艦船などが攻撃されれば、自衛隊は攻撃を受けていなくても反撃します。
南シナ海での領土領海をめぐる中国とベトナム・フィリピンなどとの国家間の争いは、東南アジア全域の泥沼的な軍事衝突に発展しかねません。安倍政権は、南シナ海への武力行使によって、シーレーン(海上交通路)防衛と、日本の勢力圏づくりを狙っているのです。

新安保法制と侵略戦争のはじまり

(2016年02月28日)

第二回 戦時国家へ突進する安倍政権

四月に合意された「日米ガイドライン(防衛協力の指針)」と、九月に強行採決された安保関連十一法(新安保法制)によって、憲法違反である「集団的自衛権の行使」が合憲とされました。
戦後の安全保障政策であった「専守防衛」は、安倍政権によって根本的に転換され、「海外で戦争ができる『ふつうの国』」へと大きく舵が切られました。
新安保法制の来年三月実施を大きな節目にして、自衛隊は恒常的な戦時体制に突入します。この恐るべき戦争と反動の歴史的な転換点に、部落解放運動の未来をかけて真正面から立ち向かいましょう。
シリ-ズの第二回として、「戦時国家へ突進する安倍政権」を掲載します。
一、海外で戦争ができる「ふつうの国」に
では、新安保法制と日米ガイドラインによって、これからの日本は具体的にどうなるのでしょうか。 そのキ-ワ-ドは、『安倍政権による朝鮮・アジア-中東への侵略戦争と戦時国家づくり』です。今日、この戦争国家づくりにそって、すべての政治と政策の方針が決められています。具体的に見ていきましょう。
(一)「いつでも、世界中のどこへでも」派兵される自衛隊
なによりも、新安保法制によって、自衛隊の活動する地理的な制約がすべて取りはらわれたことです。「いつでも」、「世界中のどこにでも」、自衛隊を派兵することが可能となったことです。
具体的には、米軍を中心とした「多国籍軍」や「有志連合」が、中東をはじめ世界各地で行なっている戦争に、自衛隊が派兵されて参戦することです。戦闘現場と一体となった「後方支援(兵たん)」活動をやることになります。
「『イスラム国』への空爆参加や後方支援は考えていない」と政府は国会で答弁していますが、新安保法の法律では否定されていません。「地球の裏側」の「戦場」にまで自衛隊が派兵されて、侵略戦争に参戦することになります。
(二)米軍などの武力行使と一体となった「後方支援」
「後方支援」とは、戦闘現場とかけ離れた後方の安全な場所で、軍事支援活動を行うことでは決してありません。
たとえば、米軍や韓国軍などの艦船や航空機を防護するために、敵国が米韓軍などを攻撃したならば、自衛隊が攻撃を受けていなくても、敵国を攻撃することが「後方支援」活動なのです。最前線での戦闘行為そのものと言えます。
また、後方支援は、戦争行為に不可欠で重要な「兵たん」活動であり、戦争現場では真っ先に狙われます。弾薬の提供(劣化ウラン弾も)、発進準備中の戦闘機やヘリへの給油(潜水艦探索のために、ヘリ空母「おおすみ」で給油)や空中給油、武器や兵士の輸送など、どれをとっても戦闘行動の一環そのものです。
「現に戦闘行為が行われている現場」以外であれば「後方支援活動」ができるとしていますが、自衛隊が攻撃される危険性が極めて高まることは必至です。
(三)攻撃されなくても相手国を攻撃できる
新安保法制では、日本が攻撃されなくても、米軍などが攻撃されれば、その相手国を攻撃するという、信じられない戦争行為が正当化されています。
日本海で弾道ミサイル発射に対処する米国のイ-ジス艦や、警戒中の米軍機への攻撃を防護するために、相手国を攻撃したり、相手国の基地へ「先制攻撃」もやるというものです。
このように集団的自衛権の行使とは、「自衛」のためのやむえない戦争などではなく、侵略戦争の行為そのものといえます。
(四)でたらめな集団的自衛権の行使の理由
安倍首相は集団的自衛権の行使を閣議決定した後の記者会見で、その理由をわは、わざわざ大きなパネルまで用意して説明しました。「有事で日本人の母子を乗せて避難する米艦を守るために、集団的自衛権の武力行使をする」のが集団的自衛権だと。しかし、これは大ウソのデチアゲでした。 米軍幹部は「米艦に他国の国民を乗せて救援することはない」と明言しました。また、中谷防衛大臣は「邦人が乗っているかは、絶対的なものではない」と安倍発言を否定して、集団的自衛権の行使の前提を簡単にひっくり返したのです。
また、「中東・ホルムズ海峡での機雷除去」についても、石油のシ-レ-ン封鎖は日本国家の存亡の危機になると声高に叫んで、集団的自衛権の行使の最大の理由にしていました。ところが、国会答弁では「現実問題として発生することは具体的に想定していない」と、あっさりとひるがえしました。 こんなウソとデタラメな理由をデッチアゲて、国民を愚弄するのもいいかげんにしろと言いたい。 (五)自衛隊派兵は「国会の事前承認」がいらない
自隊の派兵は、緊急時には、内閣が独自に判断と決定を行ない、国会の事前承認は必要がないとなっています。時の政権の裁量で、「日本に重要な影響がある」と「総合的に判断」すれば、集団的自衛権の行使ができるというものです。
これでは、時の内閣に「白紙委任」するのと同じです。また、政府の裁量の中身は「ブラックボックス」です。これでは、海外での自衛隊の活動が、その後、「間違っていた」となる危険は常に起ります。 米国と有志連合が、イラクに大量破壊兵器があると断定してイラクへの侵略戦争を行ないましたが、その後にそれがないことが判明しました。日本もこの二の舞をやろうというのでしょうか。そんなことは決して許されません。
なによりも、「特定秘密保護法」(13年12月成立)によって、自衛隊活動はすべて国家の軍事機密と特定されれば、国民にはすべてが非公開となってしまいます。
もはや、戦前・戦時中の独裁政治による戦争国家の復活とすら言えます。
(六)「平時」から武力行使できる「武器等防護」
有事における集団的自衛権の行使の「抜け道」で、内閣の判断や国会の承認も必要としないで、「平時」でも武器使用ができるというもの。
防衛大臣が他国の要請を受け、「必要」と判断して指示を出せば、現場の自衛官の判断で、ミサイル迎撃による阻止や、対艦ミサイルによる反撃ができます。
政府は「武力行使に当たらない武器使用だ」と必死に弁明していますが、あきらかに平時から有事までの「切れ目のない」臨戦体制づくりと言えます。恒常的な戦時体制に突入した安倍戦争政権を打倒しよう。

【次回】

二、急ピッチにすすむ軍事大国化
(一)防衛予算の増大
(二)はじまった武器輸出
(三)ODA(政府開発援助)による軍事援助
(四)軍事偵察衛星の配備
(五)軍部(自衛隊)の台頭

三、沖縄・辺野古新基地の建設を阻止しよう!
(一)沖縄の最前線基地化の強化を許すな
(二)「オール沖縄」の闘いに連帯しよう

石田君の起訴を弾劾する!

(2016年02月28日)

全国連・芦原支部、   住宅闘争つぶしの攻撃と断固闘おう! 11月2日、兵庫県警公安三課・検察庁は、「横領罪」と称して、西宮・芦原支部の事務局・石田勝彦君を起訴しました。全国連は激しい怒りで、国家権力の不当弾圧を弾劾します。 御存知のように、西宮では他では例をみない差別行政によって、分納の道も閉ざされ、20世帯もの住宅追い出しを受け、この1、2年は、毎日毎日死線をさまようような現実におかれながら、歯を食いしばって生き抜きたたかいぬいてきました。 言い難い不安の日々、365日刻一刻と住民の対応におわれ続けるなかで、一人の住民との関係がこじれ、修復に行き詰まっているうちに、住民が告訴するという事態になってしまいました。  確かにどんなにたいへんななかでも、つけいるスキを与えることになってしまった組織 運営の問題は深く反省しなければなりません。しかし、お金の面で石田君の個人的流用など断じてなく、「横領」などとんでもないいいがかりです。  ましてや、国家権力がこれを運動への弾圧の口実にし、芦原支部や長年共にたたかってきた住民を蹂躙することなど、断じて許せません。これを見殺しにすることなど、あってはなりません。この点では一点の迷いもありません。  今回の石田君の逮捕・起訴は、露骨極まる芦原支部大会破壊、支部つぶしの弾圧です。芦原支部は、20世帯の住宅追い出しの大攻撃に直面し、必死でこれとたたかいながら、11月には、第12回支部大会を開催し、次の新たな飛躍に向かおうとしていました。その矢先の弾圧です。余りに露骨な支部大会破壊、支部つぶしの攻撃です。  全国連は弾圧とたたかいつつ、この芦原で新たな挑戦をやりぬき、住民の皆さんとともに、支部大会をかちとります。  圧倒的なカンパの集中を全国に訴えます。  芦原のきょうだいを守り、全国から支援を集中して弾圧を粉砕しましょう。

【新聞11月号・4面 シリーズ・第1回 】 

(2016年02月28日)

本号から五回のシリーズで、「新安保法制と侵略戦争のはじまり」を掲載します。 来年三月に施行される『新安保法制』が、『朝鮮・アジア-中東-アフリカへの侵略戦争のための国家づくり』であることを明らかにします。今までの『学習や討論』をさらに深めて、安倍政権の憲法改悪・軍事大国化による侵略戦争を打ち砕きましょう。 第1回 『憲法違反』の閣議決定と新安保法制 第2回 侵略戦争へ突進する安倍政権 第3回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』」軍隊に 第4回 なぜ、今、侵略戦争なのか? 第5回 『戦争と差別・排外主義』の嵐を打ち砕こう! 第1回 『憲法違反』の閣議決定と新安保法制 1.戦争を永久放棄した戦後憲法を全面否定  憲法は、「前文①」で、「政府によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすること」と記され、「第二章 戦争の放棄 第九条」では、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」として、「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」ことを明確にしています。   ここに戦後憲法が「平和憲法」と言われる理由があります。戦前の日本帝国主義とその尖兵になった国民による極悪非道なアジア侵略戦争によって、二千万人のアジアの民衆を虐殺し、三百万人の国民を犠牲にした反省から、永久に戦争は決してしないことを憲法で決めたのでした。  「戦争と武力行使は永久にやらない」、「軍隊は持たない」、「国の交戦権も認めない」、また、「主権者である国民は、二度と政府による戦争を起こさせてはならない」ことを誓って、最高法規である憲法で明文化したのです。  この「憲法の前文」と「第九条」を全面的に否定したのが、集団的自衛権の行使を認めた昨年七月の閣議決定であり、今年九月の国会で強行採決された十一本の安保関連法=新安保法制であることは、あまりにも明らかです。 2.閣議決定による「解釈改憲」は憲法違反  安倍政権は内閣の独断で、憲法に禁止された集団的自衛権の行使を、憲法を改正するのではなく、憲法の条文の解釈を変えて合憲と認めたのでした。このような「解釈改憲」という考え方ややり方は、独裁政治のあり方であり、憲法のどこにも認められていません。これが憲法違反の第一の理由です。  第二の理由は、憲法で定められた憲法改正の手続きをまったく踏まずに、憲法の内容を変えたことです。  憲法の改正は、憲法の第九六条に決められています。「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し」、「国民に提案してその承認を経なければならない。承認には、国民投票の過半数の賛成を必要とする。」というものです。  安倍政権は、憲法で定められた国会発議も、それによる国民投票もやっていません。内閣や自民党の都合のいいように憲法を得て勝手に解釈をして、憲法の内容を無視して実質的に変えたのです。憲法改正の手続きを踏まない、この「解釈改憲」による「実質改憲」は、憲法違反そのものです。  また、憲法の第九九条には、「天皇、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」とあります。安保関連11法案に賛成して強行採決した国務大臣と国会議員は、明白に憲法を尊重し擁護する義務を果たしていないので、この憲法第九九条に違反したことになります。  こんな閣議決定や新安保法制には、微塵の正当性も正義性もありません。明白な憲法違反であり、閣議決定や国会決議は無効であることは明らかです。新安保法制の撤廃と廃止を実現しましょう。 3.安倍政権のデタラメな「合憲論」  安倍政権は、集団的自衛権行使を認めた閣議決定も、新安保法制も合憲だとしています。  その根拠に、「最高裁・砂川判決」(五九年)と「七二年政府見解」をあげています。しかし、これほどむちゃくちゃなウソとデッチアゲの根拠はありません。  まず、「最高裁・砂川判決」は、「集団的自衛権行使は争点になっておらず、行使許容を読み込むことは『まったくの暴論』だ」と、元内閣法制局長官が怒りをもって安倍政権を弾劾しました。  また、「七二年政府見解」は、結論を「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」としています。元最高裁判事も「(集団的自衛権行使を)普通に理解する人なら、とてもそのような(合憲である)読み方はできないと表明しています。  「憲法の番人」と言われる内閣法制局は、戦後一貫して集団的自衛権行使は憲法違反であると国会で明らかにしてきました。しかし、安倍首相は、集団的自衛権行使を違憲ではなく合憲とする内閣法制局長官を選任して、閣議決定と新安保法制を強行したのです。  安倍政権の合憲論は、かくも根拠のないデタラメなデッチアゲです。百名以上の憲法学者などが、国会の憲法審査会の参考人表明に続いて、年内にも「憲法違反の集団訴訟」を起こそうとしています。正当性も正義性もない安倍政権の憲法改悪・軍事大国化を阻止しよう。 4.「徴兵制」の復活も  安保関連11法案は「憲法違反の戦争法案」だと、多くの国民が猛反対する中で、9月に国会で強行採決されました。しかし、その後も、この新安保法制の撤廃・廃止を求めて、数万人規模の集会とデモが全国で巻き起こっています。  新安保法制を国会通過させた安倍政権・自民党の次の狙いは、戦争を禁止した憲法第9条を改悪して、自衛隊を「国軍」に、天皇を「元首」に、「愛国心教育」を復活した戦争国家をつくり上げることです。  また、「徴兵制」の復活も狙っています。安倍は「まったく考えていない」「隊員は高度な専門的技術が必要なので、『徴兵制』では役立たない」とウソぶいていますが、とうてい信じることなどできません。これから起る海外での戦死や虐殺という現実に、自衛官も予備自衛官も募集人数がさらに不足し、今後の海外派兵の部隊増強や交代制にとって、徴兵制でなければ兵員確保や部隊運営が困難になることは明白です。  そして、安倍政権は、来年夏の参議院選後に、憲法の一部を改正する国民投票を行ない、憲法全面改悪への地ならしをやろうとしています。  安倍政権の憲法改悪と戦争政治との闘いは、いよいよこれからが本番です。「ふたたび、侵略戦争の過ちをくり返すのか!」という歴史的問いかけに、私たちは水平社の敗北の教訓を今こそ生かして全力で闘いぬきましょう。