2020年04月の記事

3.17狭山要請行動報告

 

 3月17日の狭山要請行動は、東京高検から「新型コロナウイルス感染症対策」として要請団の人数を制限する旨の申し出があり、4人の代表に絞って、東京高裁と高検に対する要請行動を闘いました。

 午前の東京高裁の応対は刑事訟廷管理官の遠藤氏を含め3人が出席。6月の後藤裁判長定年退官までに下山鑑定の鑑定人尋問を実現させるよう強く求めました。

 後藤裁判長のもとには、被害者が書いた日記、ペン習字の浄書があり、検察の調書には発見万年筆で書いた数字が残されている。東京高裁が、鑑定を依頼してその結果で判断することはできる。

 後藤裁判長が定年退官すればまた振り出しに戻ってしまう。三者協議を粛々と行っただけで退官など許されないと追求しました。「高検に対しては時期を区切って反証の時期を明確させること」「下山鑑定を採用し鑑定人尋問を求める」「裁判所の職権で下山鑑定の鑑定を行うよう」要請しています。

 午後からの東京高検は、担当の北検事ほか2人の検察事務官が出席。門野裁判長から証拠開示を勧告されている(死体のカラー写真、ルミノール反応検査、8ミリフィルム)証拠が未開示のままになっている。北検事は、狭山警察署に行き証拠を探したと言っていたが、狭山署以外にも検事自らが出向いて証拠を探すよう再度要請しました。大阪府警では、見つからなかった証拠がロッカーから見つかったケースもあった。「不見当」とする回答では、不信が大きくなるばかりである。

 北検事からは、「要望としては聞いておきます。狭山署には何も残ってなかった。捜査の応援した場合は捜査資料はすべて狭山署に置いて帰ると思う」と回答。クロム入りのジェットブルーインクについては「三者協議の場で返答する」と回答。

 要請団はインク鑑定は可能だ、すでに鑑定を行っているのでは、と追及しました。東京高検は、科学的な下山鑑定を前に追い詰められていると感じました。

 

 

新型コロナウイルス問題による

差別の拡大、首切りに反対しよう

 

 新型コロナウイルス問題が私たちの生活全体に重大な事態をもたらしています。私たちも手洗いなどをこまめに行って、自分が感染したり、人に感染させたりすることのないように、充分気をつけていきましょう。

世界でコロナにともなう差別が拡大

 新型コロナウイルスが最初に確認されたのは中国の武漢市でした。そのことから、欧米などで中国人や日本人も含むアジア人への差別排外主義が一気に強まり、国の指導者やマスコミの差別をあおるような言動が、それをさらに拡大させています。

 世界的に広がるウイルスについては、かつて差別偏見を生んだために、特定の土地名はつけないことになっています。しかしアメリカのトランプ大統領は、これをわざと「中国ウイルス」と呼び、「そう言って何が悪い」と居直りました。

 そのアメリカでは、「国に帰れとののしられている」と言った差別や暴力が多く発生しています。ある日本人女性は「ドラッグストアに入った途端『武漢、武漢』と白人男性が叫び店内を追いかけてきたので逃げた」「地下鉄駅で白人女性に唾をかけられた。誰も助けてくれなかった」と言っています。

 3月にはアジア系の家族3人が「新型コロナウイルスを感染させようとしていると思った」という犯人に刺される事件も起きました。

 ヨーロッパの国々も同様です。フランスのニュース番組は、中国での犠牲者追悼行事を伝えた際「ポケモンを埋葬している」と言いました。ポケモンのピカチュウが黄色であることから、黄色人種を差別した発言です。

 ドイツでも、かかりつけの病院内に入れてもらえなかったり、ある日本人女性は駅で「ウイルス」と呼ばれ暴行を受けたなどの事件が起きています。

 欧米社会に潜んでいたアジア人への差別意識が、感染拡大を機に顕在化したと言えます。

 「長い目で見ると、新型コロナウイルスよりも人種差別の方が怖い。ウイルスは治るときが来る。しかしアジア人差別、黒人差別などの人種差別はアメリカ建国以来根強く、終わる時がない。このコロナ危機が過ぎても、アジア人差別が固定化する懸念さえある」という指摘もあります。

日本国内でもデマや差別が広がる

 さいたま市は幼稚園や保育所にマスクを配布する際、朝鮮学校幼稚部を配布対象から排除してしまいました。その後批判を受けて配布しましたが、市の措置を受けて「国に帰れ」「厚かましい」「日本人と同じ権利と保護があると思っているのか」などの差別電話やメールが連日学校に寄せられました。

 国籍や人権にかかわらず、地域で暮らすすべての住民の命と健康を守ることが地方公共団体の責務です。それが逆に差別をあおっているのです。

 日ごろから外国人排斥を訴えている差別者団体は、コロナ問題に便乗したヘイトデモを銀座で実施しました。

 横浜市の中華料理店には「中国人はゴミ」「出て行け」と書かれた手紙が送りつけられました。愛知県では、クルーズ船のウイルス感染者を受け入れた病院に「外国人に税金を使うな」「中国人、韓国人を追い返せ」と言った抗議電話が相次ぎました。

 また感染者が入院したり診療した病院で働いている医療関係者が近所の人から避けられたり、子どもを保育園で預かってもらえなくなるという事態も起きています。

 差別とヘイトはウイルス以上の感染力で日本社会を汚染するのでしょうか。

差別を許さない、明確な発信が必要

 日本では、ハンセン病患者に対して非科学的な恐怖をあおり、地域から排除してきた歴史があります。また関東大震災の時には「朝鮮人が井戸に毒を入れる」というデマが広がり、たくさんの朝鮮人が虐殺された歴史があります。

 私たちは、そのような歴史をしっかり見据え、教訓としていかなければなりません。

 社会的パニックが起きるような状況の中で重要なのは、行政や政治家が、明確に差別を許さないというメッセージを発することです。この点で安倍政権は新型コロナウイルスに伴う差別の問題に対して明確なメッセージを発したことなどありません。

 私たちは、デマや差別を決して許さないという姿勢をしっかりもっていきましょう。

非正規労働者のクビ切り許すな!

 さらに重要な問題は、仕事がなくなることで、特に非正規労働者がクビを切られたり、一人親方や零細事業者が生活できなくなることです。弱者切り捨てを許さない取り組みを進めていきましょう。