2017年11月の記事
衆議院選挙の結果と全国連の態度
(2017年11月30日)
この選挙にたいする全国連の方針
10月22日、衆議院選挙が行われた。この選挙にたいして、全国連は次の見解、方針で臨んだ。①比例区は社民党、選挙区は社民党をはじめ「野党共闘」の候補に投票しよう。②小池(希望の党)は安倍と同じ穴のムジナ、改憲派。安倍と小池の演出する翼賛選挙にはさせない。
結果は、社民党2人当選(改選前の議席維持)、立憲民主党55人当選(躍進)。全国各地の事情(選挙区の事情)によって、いくらかの異相はあったが、おおむねこの方針は貫徹された。各支部・県連は、選挙戦の一角に食い込むとりくみをした。
「自民・公明で3分の2」をどう見るのか
周知のように、全体の議席数では、自民・公明で3分の2以上、希望は惨敗であった。確かに、国会の議席数でみると、暗い、重い気分になる。それは当然だ。
だがしかし、安倍首相の表情は、開票日10月22日は確かに満面の笑顔だった。だが、翌日から冴えない顔に変化した。
台風の影響で得票数も含めた全貌は翌日に判明した。言うまでもないが、小選挙区制では、選挙区は定数1人であり、得票率が30%程度でも、他の候補より1票でも多ければ当選する。その場合、70%の民意は結果に反映されない。他方、比例区では、ほぼ民意が結果に反映されると言える。
比例区の得票数に注目してみると、自民1855万票、立憲1108万票。自民は議席数で見るほどの圧勝では決してない。むしろ、小池(希望)によって、野党支持票が分散した効果によって、かろうじて勝利したのだ。
第1ラウンドのゴングは鳴った!
安倍は希望の党も含め、9割以上を改憲派が占める翼賛国会を狙っていた。希望の党の登場―民進党「大合流」の策動は、安倍、小池らの、その為の演出だった。自民、公明だけでなく、「国会の総意
と言える形で改憲の発議にいきたかった。その点では、決して安倍らの思うようにはいかなかった。この点が、総括の核心なのだ。
また、安保法制に反対し、9条改憲には反対する民意が、今回は立憲支持に流れたが、以前として根強いことを示した。
憲法改悪をめぐる、第1ラウンドのゴングは鳴った。「来年にも発議する」と安倍は表明した。第2ラウンド、第3ラウンドが必ずある。
民衆行動で大統一戦線をつくろう
最も大事なこと―政治の主人公は国会ではなく、民衆の行動にある。行動を始めよう。「安倍はどうこう、小池はどうこう、枝野はどうこう」など二の次だ。
米日の朝鮮侵略戦争・核戦争をやらせない。沖縄に基地はいらない。
憲法の改悪に反対する。
民衆行動が主体になって、たたかう大統一戦線をつくりだそう。今回の選挙でも「本当に入れたくなる党は存在しない」と言う嘆きの声が多数聞かれる。もっともだ。だが、だからこそ今は巨大な民衆行動、そのための統一戦線がまず必要ではないか。
既成政党、既成勢力の延長からは、何も期待できない。民衆行動を基礎にした統一戦線の新たな運動こそが、「入れたくなる党」を初めてつくりだす。沖縄はその先例を示しているではないか。
全国連は、その一翼を担う。住宅、労働、教育、医療、介護などの生活防衛や、狭山闘争はじめ差別反対の個別課題と、大きな政治課題が掛け算になり、第2ラウンド、第3ラウンドにむけ、民衆の政治的分極化と活性化は不可避だ。
心から強調したい。狭山再審闘争の勝利も、その展望にたった新たな運動から見えてくる。部落解放運動の未来もそのなかにある。
2017年10月26日
紹介・・・・狭山意見広告運動のよびかけ
(2017年11月30日)
権力犯罪をうち破ろう
狭山事件は権力犯罪です。司法の舞台で、冤罪性をあばき、無実を証明することと、もう一つ、権力犯罪とたたかう大きな運動が必要です。
事件当初、身代金を取りに来た犯人を、警察官40人が張り込んでいながら、まんまと取り逃がしました。シェパード・警察犬一匹、連れていたら、済む話だったのに。
ほんの一月前、東京での吉展ちゃん事件に続く大失態でした。
警察にたいする批難が沸騰し、警察庁長官が辞任しました。警察はおろか、政府まで吹っ飛びかねない政治問題に発展しました。
当時池田内閣の国家公安委員長が「死んだものに用はない」「生きた犯人をふんづかまえる」と号令。首相夫人の被害者宅への弔問。そこからすべてがはじまるのです。
狭山市内の被差別部落への集中した見込み捜査が行われ、マスコミをフル動員して「部落ならやりかねない」と露骨に部落差別を煽り、その国家ぐるみの謀略のなかで、犠牲にされたのが石川一雄さんです。
狭山事件は、権力犯罪であり、現代日本の差別の壁です。
部落差別解消推進法ができても、この差別の壁を無くさなくては、部落差別は無くなりません。示現舎をはじめ、各地で悪質な差別事件が増え、差別者の居直りは目に余るものがあります。やはり、狭山で勝たないと、差別し放題の状況は後を絶たないのです。権力犯罪、差別の壁を、大きな運動のうねりでうち破ろう。
「決めての物証」万年筆は警察のねつ造!下山鑑定の事実調べを
現在、狭山事件の3回目の再審が東京高裁にはかられています。
第3次再審になって、裁判官、検察、弁護士の三者による協議が始まり、そのなかで、新証拠として、「被害者のもの」とする万年筆のインキがだされました。下山博士が鑑定した結果、インキの違いは明白、万年筆は被害者のものではなく、警察のねつ造であるという結果がでました。
狭山事件では、血痕などはないとされるなかで、この万年筆・インキの科学的鑑定は、DNA鑑定にも匹敵します。
この事実調べの実現ぬきに、狭山事件の再審はありません。どんなに有利な材料があっても、裁判官に期待するのでは勝てるものも勝てない、狭山では何度も煮え湯を飲んできました。石川一雄さんは、78歳。もうこれ以上は待てません。
下山鑑定―万年筆問題での事実調べの実現、その一点で世論を喚起し、裁判を監視する国民運動が必要です。そのための一石を投じたい一念です。
よびかけ、賛同への御参加を、心よりお願いします。
2017年10月
狭山意見広告運動
●よびかけ人
酔虎智伝(すいこちでん)・部落解放運動家
森島吉美・広島修道大学名誉教授
長谷川直彦・弁護士
大口昭彦・弁護士
新井滄吉・狭山事件と人権を考える茨城の会代表、利根町町会議員
山本隆久・水戸・狭山事件と人権を考える会代表
福岡「SAYAMA」上映実行委員会
木幡(こわた)ますみ・福島県大熊町町会議員
山中幸男・救援連絡センター事務局長
ノジマミカ・http://www.facebook.com/sayamajiken管理人
武者小路公秀・反差別国際運動(IMADR)共同代表理
桜井昌司・布川事件本被告・再審無罪
知花昌一・元沖縄反戦地主・真宗大谷派僧侶
菅孝行・評論家
中村益行・熊本県山都町元町会議員、背梁の原生林を守る連絡協議会代表
松平要・東大阪市議会議員
金聖雄・映画「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」監督
趙博・歌手
青柳行信・原発止めよう!九電本店前ひろば村長
安次富浩・名護ヘリ基地反対協共同代表
伊藤健一・元自治労茨城県本部委員長
21人 参加順 11月15 日現在
●連絡先
東京―〒105-0003 東京都港区西新橋1-9-8
南佐久間町ビル2階 むさん法律事務所内
℡070-3127-0011
関西―〒577-0809 東大阪市永和2丁目14-11
松平要東大阪市会議員事務所内
●メールアドレス
Sayamajiken_koukoku@yahoo.co.jp
●意見広告の掲載は、来年5月23日前を目途に、東京新聞で交渉中です。
以上のように、21人の各界の人士から、狭山意見広告運動のよびかけがなされました。部落解放同盟全国連合会はその趣旨に心から賛同し、その目標の達成のために、全力を挙げてともに取り組んでまいります。
石川さんの再審無罪の実現は、私たちの長年の悲願です。そのためなら人生をかける、全国連の多くの同盟員はそういう想いです。
とりわけ、第3次再審の現段階で、「下山鑑定の事実調べなしに再審なし」と確信します。その点、今回の趣旨には、まったく同感です。
時間は半年と限られています。5月意見広告掲載にむかって、これから様々なことが必要になるでしょう。要請があれば、全国組織一丸で、とりくみましょう。
部落解放同盟全国連合会中央本部
2017年11月15日