2022年12月の記事

権力の部落差別を弾劾して要請行動

お昼の高裁前を「狭山再審」で席巻


 10月の現地調査、要請行動に続いて11月25日、全国連婦人部8名を中心に12名による東京高検、高裁への要請行動、お昼の高裁前訴え行動が闘われた。
 午前中の、高検に対する要請行動では、各地から計7通、狭山事件に貫かれた部落差別を弾劾する要請文が読み上げられ、担当検事の乙部欠席について追及した。
 お昼の高裁前での訴え行動では、午後からのアスベスト訴訟に集まった傍聴者が多かったこともあったが、これまでにない多くの署名や要請ハガキが集まった。
 1時間ほどの間、いたるところで署名やハガキに応じる人達の姿が見受けられた。
 初めて参加したという茨城の婦人は、10月の狭山現地調査に参加し、石川さんの無実をあらためて確信できたことが大きな自信となってがんばれたとのことです。
 署名39筆、要請ハガキ15枚はこれまで最高の成果です。東京高裁へ直接声を届けるマイク街宣にも力がこもりました。
 午後の東京高裁への要請行動では、各地から計8通の要請文が読み上げられました。
 事実調べを行えとの要請は勿論、一審検事論告や判決文の差別性や最近の茨城での差別事件について訴え、要請の時間をこえる集中した要請行動となりました。対応した訟廷管理官は「責任もって刑事第4部に渡します」と約束して終わりました。


逃げるな!乙部検事

婦人部 狭山要請行動に起つ
              11・25 要請行動報告(全国連婦人部)

 まず、乙部検事が出席できないことを知り、とても腹がたった。乙部検事にどう切り込んで話を引き出してやろうか、と色々策を練っていたのに私たちから逃げてしまったこと。そんなに追及されるのがこわいのか。わたしたちも暇で全国から集まっているわけじゃない。検察に乙部検事に直接要請するために上京しているのだ。事前に出席できないことが分かっていたなら早く連絡すれば私たちが調整することもできる。そこをまず、検察への要請とした。
 乙部検事が出席できないのなら、ほかの担当検事がいるだろう、狭山事件の担当検事は乙部ひとりだけなのか? と追及した。
 今回初めて要請行動を担当したのであろう事務官の人が、私たち婦人の話しかけるような口調に思わず口を開き、検察の組織の事情をいろいろ話してくれた。ついつい話にのってしまうところが婦人の要請らしくて素晴らしくもあり、おもしろいと思う。
 昼の高裁前街宣も、今回はじめて要請行動に参加した茨城の婦人が奮闘してくれて、たくさんの署名が集まった。10・30の狭山現地調査に参加して、石川一雄さんの無実を確信したのだと。
 婦人の底力は計り知れない。眠っている婦人がまだまだいるのだと可能性を感じた。参加した婦人で狭山のビラをまき署名を集め、ハガキを集めた。順番でマイクを握り、狭山を訴える。初めてマイクを握った婦人もいた。婦人たち、いけるぞ。久しぶりの婦人だけの要請行動。狭山を絶対に勝利させる気概に満ちている。自分も全国の婦人から元気をもらい、さらに狭山勝利までたたかいぬく決意をあらたにした。



岸田政権の大軍拡・改憲を阻止しよう

-狭山、三里塚はひとつの決戦

 
 狭山闘争は、日々刻々、事実調べをめぐって、緊迫しています。来春早々にも、結論はだされようとしています。後戻りも、やり直しもきかない、文字通りの決戦です。全国連はここにかけて、要請行動貫徹と「大運動」拡大を軸にたたかいます。

「反撃能力」の詭弁で憲法改悪

 岸田政権は、防衛費の倍増・先制攻撃能力の獲得に突き進んでいます。それ自体、国是の大転換であり、文字通りの実質改憲です。野党の一部も、その論議に加わり、貢献しようとしています。
 統一教会の問題自身は重要ですが、軍拡・改憲こそが統一教会の党是であり、奴らの撲滅と改憲阻止は一体のものです。自民党の改憲4項目は、統一教会の従来の主張と完全一体です。そこをあいまいにすることに、統一教会問題をもごまかす抜け道があります。野党を含めて、まんまとその罠にはまっています。
 狭山闘争は、そうした軍拡・改憲とひとつのたたかいです。戦争国家への道は、人権の抑圧、差別強化を不可避にします。

5年で11兆円の防衛費に!

 11月28日、岸田首相が5年先の2027年度に防衛費をGDP(国内総生産)の2%とするよう、鈴木財務大臣と浜田防衛大臣に指示しました。
 今年度の防衛費は6兆1千億円、GDPの1・09%。2%となると11兆円にもなります。あのロシアを抜いて、アメリカにつぎ、中国と並ぶ軍事力となります。
 それだけの大軍拡の核心は、「反撃能力」という詭弁を弄して、先制攻撃能力を獲得する点にあります。11月30日の自民公明の実務者協議で合意し、年内に改定する安保3文書に明記しようとしています。
 それに先立ち、11・13に岸田・バイデン会談で謀議し、11・22にはインチキ有識者会議で提言を出させました。

人殺しのミサイルなどいらない!

 より具体的には、2027年度をメドにアメリカから巡航ミサイル・トマホークを500発導入配備し、同時に、極超音速など10種類以上のミサイルを開発し、2028年度以降に配備すると報道されています。これらの経費は、実に5兆円と言われています。
 その財源はどうするのか。戦費優先がまかり通り、大増税、「戦時国債」の発行が謀議されています。また福祉や医療など社会保障に大ナタがふるわれることになります。消費税は、減税どころか、インボイス制度によって、中小零細事業からも、根こそぎ収奪するとしています。また、マイナンバーの徹底で、それらの実行を可能にし、将来の徴兵制にむけて準備しています。まさに、このままでは、いつか来た道―命、財産、人権をすべて国家に供する、戦時国家の再来です。

三里塚を看過して狭山なし

 大軍拡の最も先鋭な攻撃が、三里塚に襲いかかろうとしています。市東さんの農地を強奪し、軍事空港建設を強行しようとしているのです。この年末年始にも、事態は切迫しています。三里塚を看過して、狭山の勝利はありません。市東さん防衛へ、三里塚にかけつけよう。



歴史と情勢を動かした節目の2022年

<狭山>を柱に いざ勝負の2023年へ

 全国を覆うコロナ禍も三年目。さまざまな制限がある苦しい状況の中、私たちは昨年より総力をあげてその逆風を突破してきました。座していては停滞し、ともすれば逆流するばかりであり、切迫する狭山闘争の勝利も差別撤廃も実現しないからです。
 部落解放運動にとって画期をなし、歴史にその名を刻んだ全国水平社の創立と全国連の創立。その100周年と30周年という節目だった2022年。全国大会以降の奮闘をあらためてふりかえり、くる年2023年にむかいます。

■全国大会――昨年を大々的に上回る結集

 「コロナの第7波がピーク」とアナウンスされていた7月、これまで通り一部リモート参加と必要な対策をとりつつ、大阪で『第31回全国大会』を開催。様々な制約を圧倒するように、全国から昨年を大きく上回る代議員の熱気で大成功をかちとりました。5月までの狭山意見広告運動が大きなエネルギーになったのは言うまでもありません。
 大会では、部落民自身の決起でかちとった水平社の創立から100年に際し、全国連としての「水平社の総括」も提起。また部落解放運動100年のうち狭山闘争が59年を要しているということも再確認。5月の意見広告掲載を実現した運動と影響力を武器にしながら「『狭山全国連』としての本領を発揮して大運動を展開しよう」と決意を新たにしました。
 さらに、ロシアによるウクライナ侵略を弾劾し、同時に国内での憲法改悪策動を阻止する闘いを強めること、ムラびとの生活要求に寄り添うこと、「示現舎・宮部」の居直りや「茨城・土浦市児童クラブ差別事件」など、全国であいつぐ部落差別を徹底的に糾弾することを宣言。また、「本土返還50年」ということもあり、沖縄の人々と連帯して基地と戦争反対を貫くことをあらためて誓い合いました。

■被爆77年――ヒロシマ・ナガサキから訴え

 8・6広島現地で、8・9長崎現地で、それぞれの『つどい』がおこなわれました。ロシアによるウクライナ侵略に乗じた岸田政権の(朝鮮半島・中国情勢をにらんだ)軍拡路線に対して「自国日本の政権が進める侵略戦争国家化・集団的自衛権行使・沖縄基地強化・改憲への明確な反対運動なしに『ロシアのウクライナ侵略反対』を唱えることはペテンである。それは真の戦争反対とはいえない」という立場で、世界の戦争反対に立ち上がる人々への連帯を訴え、発信しました。

■青年と婦人――全青交・全婦大会を貫徹

 困難な状況が好転しない中、青年も婦人も定期的に幹事会をおこなってきました。各地の情報交換も密にしながら青年部は8月27日~28日に『全国青年交流集会』を奈良で、婦人部は9月10日~11日に『全国婦人部大会』を静岡で、どちらも三年ぶりの宿泊開催を敢行しました。昨年同様、現地会場に参加できないそれぞれの各地をオンラインでつなぎ研修し、同時に交流と親睦を深めました。

■安倍の国葬反対――各地で抗議行動

 旧統一教会とズブズブの関係だった安倍。「アベノミクス」で一部の資本家だけをボロ儲けさせた安倍。格差社会を拡大し、低所得者をますます貧困に陥れた安倍。憲法9条の解釈の変更と集団的自衛権行使を容認する閣議決定をした安倍。次々と戦争準備体制の極悪な法律を成立させた安倍。福島原発事故の解決もせず、オリンピック招致には「放射能のアンダーコントロールはできている」と全世界にウソを発した安倍。「森友学園」「加計学園」「桜を見る会」では国家財政を私物のように使った安倍。追及されると、ウソの上塗りをし、官僚たちに忖度させ続けた安倍。そのうえ真面目な公務員を自死に追い込んだ安倍。トランプがアメリカ大統領になったときには真っ先に訪れて媚びを売り、アメリカの兵器を爆買いした安倍。列挙し出せばキリがないほどの悪行を重ねた安倍。なぜこの安倍を弔う必要あるのか! 「国葬」に異議を唱える声は当然にも広がり、9月は全国各地で反対・抗議の行動が爆発しました。

■狭山大運動始動――全国各地で活発化

 5月8日付けの全国紙(毎日新聞)でのカラー見開き二面ぶち抜き狭山意見広告の掲載は想像通り部落のきょうだいをはじめ、たくさんの人々を鼓舞しました。
 7月からは幅広い陣形によって新たに『狭山事件の再審を実現する大運動』がスタート。またリニューアルした機関紙『狭山大運動』も創刊しました。さらに年内3000枚を目標とした裁判長あての要請ハガキの全国展開を開始。同時に8月から毎月、東京高検と東京高裁に対しての再審要請行動をおこなっています。各ブロック参加者がそれぞれの要請文をたずさえ上京し、自分の思いを訴え司法権力を追及しています。また、ビラ・署名を中心とした街宣活動や集会・講演会、戸別訪問など工夫をこらした「23デー行動」も各地で活発におこなわれるようになりました。10月には久々の狭山現地調査も実施しました。
 石川さんがよびかけ訴える20万人緊急署名運動にも連帯し、精力的にとりくんでいます。

■いざ、勝負の2023年へ!

 長野では2019年10月の「台風19号」以来続く大衆の生活をかけた闘いと連動し、県連の中村副委員長を市議会に送り出す選挙闘争が本格的に始まりました。負けるわけにはいきません。そのほか全国各地でも様々な奮闘が続いています。
 私たちの運動の大黒柱は狭山闘争です。この闘いはあともどりのきかない、やり直しもきかない、決戦のゴングが鳴りました。まず、なんとしても「鑑定人尋問・事実調べ」をおこなわせましょう。そして再審を実現しましょう。この決戦に、「勝つためにはどうすればいいのか」すべての闘争の場でそう発想し、あらゆる手段を展開しましょう。きたる2023年もさらに一致団結・総力決起で勝負にうって出ましょう。



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