2022年2月の記事

鑑定人尋問・事実調べかちとり

狭山再審の決戦にたちあがろう!


5月意見広告を成功させ

鑑定人尋問迫る大運動を巻き起こせ!


●事実調べ=鑑定人尋問の実現へ

 狭山第3次再審闘争は、いよいよ事実調べ・鑑定人尋問を実現し、再審開始をかちとる最終的な決戦を迎えました。
 弁護団は、今春までに万年筆、殺害方法、自白についての追加鑑定を提出し、それをふまえて鑑定人尋問を請求するとしています。私たちは、全狭山勢力の力を結集して、東京高裁に鑑定人尋問の実施を迫っていかなければなりません。
 これまで、重大事件の再審において、事実調べがなされずに再審が開かれたものは一つもありません。事実調べが拒否され、密室の書面審理だけで判決が出された事件は、ことごとく再審が棄却されています。まさしく「事実調べなくして、再審なし」なのです。
 狭山事件でも、第1次再審からこれまで、実に45年の間、ただの一度の事実調べも行われず棄却決定がくり返されてきました。「権力による部落差別犯罪を闇に葬る」ことが、国家の意思として貫徹されてきたのです。
 これまでも「事実調べを行え」ということは要求してきましたが、今ほどそれが正面課題となったのは、狭山再審闘争の中で初めてです。それは、私たちが下山鑑定という決定的な武器を手にしたからです。

●事実調べの核心は下山鑑定人尋問

 下山鑑定は、石川さんの「自白」にもとづいて石川さん宅から発見された万年筆が、被害者のものではないことを科学的に証明しました。検察は2年間も、世界有数といわれる科警研の総力を挙げて反論の鑑定を試みましたが、ついにあきらめざるを得ませんでした。下山鑑定は、それほどの科学的証明力を持っています。
 しかもそれにとどまりません。重要証拠である万年筆が、ニセ物であったということを通じて、捜査当局が証拠をねつ造したことが証明されました。狭山事件が国家による権力犯罪であることが、明確な科学的裏付けをもって明らかにされたのです。
 私たちが本年1月17日に行った狭山要請行動においても、対応した担当検事は、「下山鑑定が反論の余地なく正しいとされれば、それだけで再審開始になる」と言わざるを得ませんでした。当然です。万年筆の証拠ねつ造が明らかになれば、文字が同じだとか、足跡が同じだとかいう検察の主張はすべて吹っ飛んでしまいます。
 だからこそ、検察、裁判所はなりふり構わずに下山鑑定をつぶそうとしています。検察が科学的反論を放棄して「水洗い論」なる空想的な可能性で下山鑑定を無力化しようとしているのもその表れです。
 私たちは、検察の下山鑑定つぶしに対してさらに科学的な反論をたたきつけ、東京高裁が検察意見書を採用することを阻止しなければなりません。そして何としても東京高裁に鑑定人尋問を実施させていきましょう。

●証拠開示を拒否する検察弾劾

 検察は、弁護団の出す新証拠に対して次々と反論の意見や鑑定を出してくる一方で、本来やるべき証拠開示については、ことごとくこれを拒否しています。
 1月27日に行われた三者協議でも、スコップやタオルに関して弁護団が求めていた証拠開示について、検察は「見当たらない」「開示に応じる必要はない」などと回答。またどこを探したのかという求釈明に対しても、「これ以上証拠を探す必要はない」と開き直っています。絶対に許すことはできません。
 布川事件の国賠訴訟では、検察の取り調べについて「虚偽の事実を述べて強い心理的動揺を与え…自白を強要する違法な行為」だと弾劾しました。また証拠開示についても、「検察官は、公益の代表者として、事案の真相を明らかにする職責を負っている…被告人に有利不利な証拠を問わずに法廷に顕出すべき義務を負う」「具体的に特定された証拠開示の申立てがあったような場合には…開示をしない合理的理由がない場合には、検察官は、その証拠の開示義務を負う」と明確に指摘されました。
 しかし狭山担当検事は、そのようなことはまったく無視しています。それどころか裁判所の開示勧告さえも守ろうとしていません。
 私たちは下山鑑定を武器に徹底してたたかい、警察・検察による権力犯罪を満天下に明らかにしていきましょう。

●意見広告と新たな国民的運動を

 今年の事実調べ決戦を前にして、検察はなんとかして。早期の幕引きを図ろうとしています。先の要請行動の中で、私たちは最終意見書の提出の前に鑑定人尋問を実施せよと迫りました。それに対して検察は「二度手間になるので、これまで出している個別の意見書や鑑定書をもって最終意見書の一部となるならば…」などと、鑑定人尋問なき最終意見書に突き進みたい意向を露骨に述べました。
 事態はギリギリの攻防を迎えています。私たちは、一昨年から第2次狭山意見広告運動を全力で取り組んできました。それは今年5月、毎日新聞で実現されます
 そして、この意見広告運動を母体として、狭山再審を動かし、再審開始を求める新たな、そして大きな国民運動を結成し、たたかいを開始します。
 コロナ禍で、体を鍛えながら無実を訴え続けている石川一雄さんとかたく連帯し、今年の決戦に勝利しましょう。