2023年2月の記事

23年狭山再審決戦の幕開け!

高検・高裁に要請行動の第1弾!

 
                   
     
長野を中心とした要請行動を貫徹

 1月30日、長野県連主体の狭山要請行動をたたかいました。長野から要請団6名(初めて参加した青年1名)、中央本部や茨城県連・江戸川支部などから6名の総勢12名の参加です。

<東京高検要請行動>

 冒頭、滝岡副委員長から「検察の理念にのっとって、積極的に証拠開示に応じてほしい。2月中に意見書出して、裁判所の事実調べを検察は後押しするように」と要請行動の核心点を申し入れました。
 ついで、長野県連から合計5通(県連・婦人部・青年部・二睦支部・豊野支部)の要請文を読み上げ、その後口頭での要請を行いました。
 小林書記長から、「殺害現場の撮影フィルム、死体発見現場の写真、血痕ルミノール検査報告書などを、なぜ開示しない。犯行現場を特定できない殺人事件などない。開示された取り調べ録音テープでは、『自白』の内容を石川さんは体験してないことが明らかになった。『自白』のみの憶測、推測しかない。なぜ証拠を開示してはっきりさせないのか」と追及をされました。
 この追及を皮切りに、検察官の「不見当」に対して「ちゃんと精査しているのか」「証拠は国民の財産だ。全部出せ」「被害者を目隠しするために使ったとされるタオルを、石川さんが入手したとされる確たる証拠は何もない。また、被害者の後ろ手をしばったとされる手ぬぐいも数字が改ざんされている。このようなデタラメで真実に向き合っていると言えるのか」「検察の理念にのっとれば開示以外の回答はないはずだ」など、追及が続きました。乙部検事は「三者協議で答えています」「裁判所が判断することです」と回答にならない回答をするのが精いっぱいでした。
 最後に、県連の要請文の中で高松差別裁判の差別論告を糾弾しているのですが、差別した先輩検事がいたことを知っているのか質問すると「知らない」という。さらに狭山事件の一審検事論告は読んだのかと聞くと「読んでいない」という驚くべき回答でした。自分が担当している裁判の一審の記録すら読まずに、なぜ真摯な対応ができるのかと要請団の怒りがわき、次回の宿題として、「一審差別論告を読んで感想を持ってくること」を伝え、要請行動を終えました。

<昼休み街宣>

 お昼休みにあわせて東京高裁前で街宣行動をとり組みました。袴田事件の支援団体と同時になったので、マイクを使ったアジテーションは時間を区切って交替して行いました。
 1時間弱の行動で署名14名、ハガキ8枚の協力を得ました。狭山市の70代の婦人が「この事件はすごく不思議に思う。なぜ証拠を調べないのか。事件のおきた1960年代は、国も警察も裁判所も悪いことばかりしてきた。えん罪ばかりだ。友人にも協力をお願いするから、ハガキとビラを4枚下さい」と受けとっていきました。

<東京高裁要請行動>

 冒頭、本部から「検察は不見当ばかり。殺害現場の証拠開示もしていない。つまり犯行を裏付けるものはないといういう事。検察に対して裁判所はき然とした態度で臨み、早急に11人の鑑定人尋問とインクの鑑定をしてほしい」と裁判所の姿勢をまず糾しました。 
 最初に、井橋さんから「カモイの模型を裁判長に見せたのか。第四刑事部でどう扱われているのか」と質問。裁判所は「第四刑事部の書記官室に組み立てられた状態でおいてある。裁判官もそこを通るので見ているはずだ」と回答しました。
 長野県連から合計5通の要請文を読み上げ、口頭での要請に入りました。
 小林書記長が「狭山事件は60年という長い裁判。この間、裁判長が何人替わったのか。一人も事実調べをやっていない。こんなことがあるのか! 署名に応じる人たちは誰もが事実調べをやらないことに異議を唱えている。先ほど街宣で70歳の婦人も国や裁判所はひどいことをしてきたと言っていた。証拠を調べないからえん罪をくり返す。しかも狭山事件は単なるえん罪ではない。部落差別に基づく差別裁判だ」と事実調べを要求しました。
 要請団からも「下山鑑定と同じ鑑定を裁判所が行うべき」「検事が何を言おうが、裁判所の職権で事実調べをすることが必要だ」「要請ハガキを裁判長は見ているのか。30万人分の署名の重みをどう考えるのか」等、追及をしていきました。
 訟廷管理官の回答は「皆さんの要請内容、お気持ちなどはきちんと私が第四刑事部にもっていきます。それが私の責務です」とくり返し答えるだけです。具体的には何も回答はできませんでした。
 最後に、長野県連が部落の村を回って集めてきた90名分の再審署名を提出して、要請行動を締めくくりました。

 弁護士会館外での総括集会では、本部から「要請文がきちんと準備されて、追及もするどかった。これを継続して2月からの要請行動をとり組もう」とまとめられました。



三里塚旗びらきに参加して

     大久保支部(準)三宅法雄

 雲ひとつないまさに晴天下で1月8日、三里塚芝山連合空港反対同盟の旗開きが開催された。
 まず目を引いたのが会場入り口に掲げられた狭山意見広告運動のポスターである。まるで私たちを迎え入れるかのように入り口に掲示されていた。誰が掲示してくれたのだろう。私たちはポスターの前でしばし立ち止まり、感激すること止まずであった。
 デモのために一旦会場を離れ、出発点の市東さんの畑へ移動した。ここから旗開き会場までデモ行進だ。色とりどりの各団体の旗や幟が青空にひらめいている。市東さんの住居と耕作地以外は空き地か空港関連施設だ。どれだけ農民は泣かされ、絶望のうちにこの土地を去っていったのだろうかと怒りがこみ上げて来る。すぐ目の前を巨大な飛行機が我が物顔で通り過ぎていく。「市東さんの土地取り上げを許さないぞ」と空へ突き刺されとばかり声を上げる。
 会場へ着くと、旗開きの準備がすっかりできていた。畑にブルーシートを敷きテーブルと椅子が用意されている。 早速旗開きが始まった。まず萩原富雄さん、そして市東孝雄さんから挨拶が述べられた。裁判所が強制収用を認め、いつ執行が来るかわからないという緊迫した情勢の下での旗開きとなった。
 反対同盟と支援者は24時間体制で強制執行と対峙し、泊まり込み体制を継続中とのことである。そんな中で市東さんは「来るなら来い、闘争は楽しくやらなくては」と一歩も引かない決意を示された。
 いよいよビールやジュースが運ばれ宴会の開始だ。次々とあふれんばかりの料理が運ばれて来る。これがまたどれも本当にうまい。
 趙博さん(パギヤン)の歌に続いて各団体からの挨拶。私も全国連を代表してマイクを持った。まず、意見広告への感謝の念を伝え、石川さんへの連帯を訴えた。市東さんの土地へ強制収用がたくらまれていることを見据えて、「洞部落強制移転」について述べた。「100年前に洞部落では『天皇の墓を部落民が見下ろすのは恐れ多い』として部落差別によって強制執行が行われ無理やり移転させられた。その過程で13名の命が奪われた。市東さんへの強制執行は絶対に許せない。全国連は裏切りません。共に闘います」と表明した。
 その後、「いなのとひら・のことば」というフォークデュオが強烈な政治風刺ソングを次々と熱唱。私は初めて聞くお二人でしたがプロテストソングの原点を見たような気がしました。調子に乗ってCDを買いサインまでしてもらいました。
 会場準備、食事の提供、防衛体制と、反対同盟そして現地支援の方達には本当にお世話になりました。聞くところによると、このあとすぐに強制執行に備え泊まり込み臨戦体制に戻るとのこと。
 汗ばむくらい天気がよく暖かな1日でしたが、「団結がんばろう」の頃には寒くなり始め、程よくお開きとなりました。



憲法改悪絶対阻止!

安保関連3文書の閣議決定を許さず、

侵略戦争、大増税につき進む

岸田政権を打倒しよう!


 岸田政権は、戦後の安全保障政策を大転換し、侵略戦争国家への道へと大きく踏みだした。12月16日、岸田政権は、基本指針となる「国家安全保障戦略」、防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」、装備品の数量や経費などを定める「防衛力整備計画」の三文書を閣議決定した。
  それは、「攻撃を受けたときはじめて防衛力を行使し、それも自衛のための必要最小限にとどめる」憲法9条【註1】に基づく「専守防衛」と真逆の方向であり、絶対に許すことはできない。

 ① 「国家安全保障戦略」では、ロシアのウクライナ侵略をあげて危機感を煽り、「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境にある」とし、これに対して「専守防衛を基本戦略とする」とペテン的言辞を弄しながら、軍事大国化を正当化する。また、中国の脅威を煽り、「台湾海峡の平和と安定について・・・・急速な懸念が高まっている」とし、朝鮮民主主義人民共和国に対しても「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」、ロシアを「安全保障上の強い懸念」と記している。
 そして、こうした安全保障の強い懸念に対して、「我が国は日米同盟を基軸としつつ日米豪印(クアッド)や日米韓の枠組みを活用しつつ・・・・東南アジア諸国連合(ASEAN)、北大西洋条約機構(NATO)・・・・などと安全保障上の協力の強化」をかかげ、「防衛体制の強化」として、「今後、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しく」、「相手国から、ミサイル攻撃があった場合・・・・我が国から有効な反撃を加える能力を保有する」とし、相手国のミサイル発射基地などに攻撃を加えると踏み込んだのである。
 政府は、集団的自衛権行使を認めた2015年の安保法制につづき、このたびの「安全保障戦略」の改定によって、アメリカの攻撃を補完し、一体となって相手国に攻撃を加えることを可能としたのだ。
 これは、中国との争闘を戦略課題とするアメリカの世界戦略の一翼を軍事的にも担うことを明確にした歴史的大転換である。岸田政権は、日米、日欧、日米韓などと軍事的結びつきを強めつつ、中国を敵視し、全世界的規模の戦争さえ見据え、準備していると言っても過言ではない。

 ② 「国家防衛戦略」では、「中国の強大化、台湾有事、朝鮮民主主義人民共和国が弾道ミサイルに核兵器を搭載し攻撃する能力の保有、ロシアのウクライナ侵略」は、国際秩序の根幹を揺るがすなどと強い懸念を表明。基本方針として、「力による現状変更には、同盟国、同志国などと連携して抑止する」とし、そのために、重視する能力を具体的に示した。そして、その核心として、「27年度までに地上発射型及び艦艇発射型を含め、スタンド・オフ・ミサイル【註2】の運用可能な能力を強化。国産ミサイル増産体制確立までは、外国製スタンド・オフ・ミサイルを早期に取得する」とし、自衛隊のあり方として、「沖縄で部隊を強化する」ことをあげ、持続可能な防衛産業の構築、販路拡大などをあげている。
 このように、「国家防衛戦略」では、スタンド・オフ・ミサイルの生産、外国からの取得、沖縄の陸上部隊の強化、防衛産業の育成などを明確にしているのである。

 ③ こうした国家安全保障戦略、国家防衛戦略に基づく「防衛力整備計画」において、敵の対空ミサイル射程圏外から敵基地を攻撃するためのスタンド・オフ・ミサイルについて25年度までに陸上発射型、26年度までに艦艇発射型、航空発射型を28年度までに開発完了を目指す。米国製巡航ミサイル「トマホーク」など外国製スタンド・オフ・ミサイルを導入する。10年後までに、スタンド・オフ・ミサイルを運用する能力の獲得とミサイルの十分な獲得。まさに、遅くとも10年後までに、敵基地攻撃を可能とするミサイルを十分に確保し、アメリカなどと一体で、侵略戦争に突入できるミサイルを中心とした兵器の整備計画を記したのである。
 全国連は、全国水平社の教訓に踏まえ、憲法九条を守れ! 侵略戦争国家化阻止! を断固たたかう。

【註1】 憲法9条   日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【註2】 スタンド・オフ・ミサイルとは、敵の対空ミサイルの射程圏外から攻撃できるミサイル。射程は2000キロと言われている。

沖縄県民と連帯しよう!

 この安全保障関連三文書の閣議決定に基づく長距離ミサイルの配備が予想される沖縄の島々の住民からは、「有事の際、戦場になる危険が高まる」などの懸念の声が上がっている。
 政府は中国への危機を煽り、台湾に近い南西諸島へ自衛隊の配備を進めている。沖縄の宮古島に2019年3月、陸上自衛隊宮古島駐屯地を開設し、1年後にミサイル基地を配備、さらに、石垣島にも陸上自衛隊駐屯地を置き、ミサイル部隊を配備する予定。
 今後は、相手国のミサイル発射拠点などをたたく長射程のミサイルの配備も想定されている。また、防衛計画整備計画には、那覇市を拠点とする陸自第15旅団を増強することなども明記されている。
 全国連は、辺野古新基地建設阻止を闘う沖縄県民、自衛隊基地の強化、敵基地攻撃・長距離ミサイル発射基地反対を闘う沖縄県民と共に闘います。

軍事力強化のための大増税に断固反対! 

 岸田政権は、この大軍拡の財源について「2027年までに現在の国内総生産(GDP)の2%にすることを目指す」「2023年度から5年間で総額43兆円とする」とし、毎年度4兆円の追加財政が必要。歳出改革などを通して税金以外の収入を活用する「防衛力強化資金」の創設で3兆円、1兆円を法人税とたばこ税の増税、さらに所得税に上乗されている「復興特別所得税」をも活用すると言っている。
 全国連は、狭山決戦のまっただ中です。東京高裁、高検への要請行動、要請はがき運動、署名運動、街頭宣伝など全力で取り組んでいます。この闘いを軸にしつつも、戦争と大増税の岸田政権打倒の大運動も闘います。労働者、市民と共に憲法改悪阻止! をたたかおう。4月地方選、次の国政選挙に勝利しよう。




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