2023年4月の記事

狭山春夏決戦を全力で闘い

      事実調べかちとろう


昨年からの死力を尽くしたたたかい

 私たちは昨年から、死力を尽くした狭山決戦をたたかい抜いてきました。それは、「この第3次再審が最後のたたかい」という石川一雄さんの決意を真正面から受け止め、私たち自身としてもまさに人生をかけた最後の狭山決戦として、心の底からの決意をしたからでした。
 5月までの意見広告カンパ決戦、5月8日の毎日新聞二面ぶち抜きカラーの意見広告掲載、連続要請行動実現のための再度のカンパ決戦、7月からの毎月の要請行動と息継ぐまもなくたたかってきました。
 そして今、毎月毎月、要請団が東京高裁と高検に押しかけ、「事実調べを行え」「証拠隠しをやめろ」と大野裁判長や担当検察官に迫っています。
 この全国連の必死のたたかいは、良心的な解同本部派の人々や共闘の労働者にも伝わり、昨年秋から始められた事実調べを求める全国署名は50万人となりました。
 またこの間、再審開始決定が、日野町事件(2月)、袴田事件(3月)と続き、えん罪・再審に対する国民的関心が大きく高まっています。検察は厳しい批判にさらされて袴田事件の特別抗告を断念しました。
 私たちのたたかいは裁判所や検察を動かすことができる、そのことに改めて確信を持つことができます。
 ただ、検察も東京高裁も、権力のメンツにかけて必死の巻き返しに出てくることは明らかです。それをも上回るたたかいが絶対に必要です。

事実調べ実現の春夏決戦

 昨年8月末に、弁護団は東京高裁に対して、11名の鑑定人尋問とインク鑑定の実施を求める「事実調べ請求」を提出しました。狭山再審では、第1次再審請求以来、これまで46年以上、ただの一度の事実調べも行われていません。いま狭山再審闘争史上、初めて「事実調べ」が真正面から争点となったのです。
 これに対して検察は、2月に「鑑定人尋問もインク鑑定も必要ない」「再審を棄却せよ」という意見書を出してきました。故意に証拠を隠し、ねつ造し、真相を明らかにするための事実調べに反対する、この検察こそ犯罪者集団です。絶対に許すことはできません。
 検察と弁護団双方の意見書の提出が終わり、大野裁判長は5月からはいつでも決定を出せる状況に入りました。12月には定年退官を控えています。今現在のたたかいが、勝敗を決するのです。
 「東京高裁・大野裁判長は鑑定人尋問とインク鑑定を行え!」。この旗を高く掲げて、春夏決戦をたたかいぬきましょう。

証拠ねつ造を暴き、検察意見書を粉砕しよう

 東京高裁が再審を棄却しようとすれば、検察意見書に依存する以外にはありません。第3次再審闘争の新証拠の核心は下山鑑定ですが、大野裁判長が再審を否定するには、検察意見書を採用する以外にないのです。
 従って再審勝利の道は、下山鑑定を否定するためのペテン的な検察意見書を徹底的に粉砕することです。
 特に焦点は、「証拠のねつ造」です。袴田事件でも、証拠のねつ造の認定が再審開始に直結しました。狭山再審では、万年筆という重要証拠のねつ造が下山鑑定によって明らかにされました。ここが権力の最大の弱点であり、権力犯罪を徹底的に暴いていくことが再審勝利の道なのです。

春夏の狭山決戦の具体的な方針

 第1は、東京高裁に直接迫る毎月の要請行動を全力でたたかうことです。要請行動は、11月まで延長します。また昨年はカモイの実物大の模型を受け取らせましたが、さらに創意工夫した要請行動を展開していきます。
 特に6月の要請行動は、早ければ決定が出されることもあり得る重要な時期となります。高裁前座り込みも含めて、最大限強化してたたかいます。
 第2は5・23石川さん不当逮捕60カ年糾弾闘争を青年中心の狭山現地調査闘争(21日)としてたたかいとることです。「狭山を基軸とした三大闘争」の実践、また全国連の未来をかけた青年部づくりの実践として、組織建設的にたたかいとりましょう。
 第3は、狭山再審を実現する大運動(狭山大運動)の強化拡大のたたかいです。現在、会員が450口に増えていますが、1000口会員を早期に実現するために奮闘します。狭山大運動を、全国的で独自の大衆団体として発展させていくために、全国連は責任を持って支えていきます。
 第4に、全国各地での署名、情宣、映画会や集会などの草の根の取り組みです。新しい統一ビラと署名を作ります。それを全国の部落や街頭、職場にどんどん持ち込みましょう。

 第3次再審の勝敗が間違いなく決まる本年、全国連は死力を尽くして石川一雄さんとともに勝利をかちとりましょう。 


  青年のみなさんへ

今こそ、5・21狭山現地調査

  ―5・22東京高検要請行動へ

  石川一雄さんの再審をかちとろう!


 全国の部落のきょうだいと仲間のみなさん。
 全国連青年部は、5・21―22全国青年交流集会として、狭山市内の現地調査、翌日の東京高検への要請行動と連続したとりくみを行います。
全国からの結集を訴えます。

 狭山事件発生から今年で60年、石川一雄さんはずっと無実、無罪を訴えているにもかかわらず、いまだ身に覚えのない殺人犯の汚名をきせられています。

 石川さんは埼玉県狭山市の被差別部落で生まれ育ちました。
家の貧しさや差別の厳しさから、学校にも満足に通えず、幼い頃から働きに出て生計をたてていました。
 1963年5月1日、石川さんが24歳のとき、狭山市内で女子高校生殺人事件が起こります。
 犯人逮捕にあせった警察は、被差別部落に集中捜査をかけ、5月23日石川さんを別件逮捕。
 連日刑事に囲まれ「おまえがやったと言え!」と迫られるも、石川さんは身に覚えはないとして抵抗をつづけます。1か月ほど経つ頃、「お前がやったと言わないのなら、兄を逮捕するぞ」と脅され、家計の中心を担う兄が捕まれば大変だとして、石川さんはウソの「自白」を始めたのです。
 さらに裁判も一審で死刑、二審では無期懲役と、とんでもない重刑をつきつけられています。
 無実の部落民を生贄にして、「部落民ならやりかねない」と世間の差別意識をあおってきた国家権力の責任は、とてつもなく重大です。
 この事件、差別裁判を、断じて許してはなりません。

 いま第三次再審請求で、今年中にも再審か否かの決定が出る重要な局面を迎えています。

 そこで、私たち青年部は5月21日、実際に狭山市を訪ね、石川さんのウソの「自白」をたどる現地調査をおこないます。
 そこには実際にはありえない矛盾だらけの「自白」の中身、そして石川さんの無実を実感できる内容となっています。
 また翌日は、東京高等検察庁に、証拠の開示、反省と謝罪を求めて要請行動を行います。
 差別を許さない思いを、直接届ける絶好の機会です。
 石川さんの無罪への思いとともに、再審への扉を切り開きましょう!
 ぜひ5・21―22は狭山現地、そして東京高検へ!


3・23狭山要請行動報告

 狭山要請行動が3月23日に取り組まれた。今回は九州を中心に茨城、東京、本部の計12名が参加。あいにくの雨模様だったが、最後までやりぬいた。
 11時から東京高検要請行動。当初乙部担当検事は出席予定だったが、事前連絡で欠席が伝えられた。この間の要請行動で乙部検事との激しいやりとりがあり、さらに袴田事件は東京高裁で再審開始決定直後であり、東京高検が乙部検事を欠席させる政治的対応をとった可能性がある。
 東京高検は、萩原検察事務官と公判事務課・高橋の2名が出席。要請団は怒りの高検前シュプレヒコールを行い、介助者を含め11名が参加した。
 要請文4通の読み上げと、口頭の要請を含め制限時間を超える要請となった。
 東京高裁前の昼休み宣伝活動は、雨が降り続く悪天候の中、マイク宣伝とビラ配付のみの取り組み。大阪から来た青年から「狭山の話を聞きたい」と話しかけてきたのをはじめ、袴田事件弁護団の村﨑修弁護士から「狭山事件も再審をかちとって」との激励など、悪条件下で反応が寄せられた。
[村﨑修弁護士とは、本人の了解のもと後日電話取材を行った。要旨は、会報「狭山大運動」第10号(4月号)掲載] 
 午後2時から東京高裁要請行動。東京高裁から今井訟廷管理官、小寺訟廷副管理官、総務課西田の3人が出席。要請団は12人全員が参加。冒頭、今井訟廷管理官から「この後予定が入っており、30分間で終えたい」と申し入れがあった。4通の要請文読み上げと口頭での要請で時間内で終了。
 弁護士会館での総括集会では警察の証拠ねつ造にまで踏み込んだ袴田事件の再審開始決定のもつ意味と、狭山再審へ毎月の要請行動の重要性を確認した。






▲このページのトップにもどる