第28回全国大会に総結集を!
3月30、31日東大阪・荒本人権文化センターへ!

(2019年3月26日)

私たちをとりまく情勢 

 アメリカのトランプ大統領が就任以降3年目を迎えました。アメリカの停滞・没落からの脱出をかけ、自国第一主義をかかげ戦争と排外主義、差別主義の攻撃をますます激化させています。

 201925日、トランプは中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を宣言し、核軍事力の強化を鮮明にしました。このような軍事力を背景にして対中国を軸に、対欧、対日貿易戦争を仕掛け中国市場、世界市場を席巻しようとしています。

 これに対して中国をはじめ、西欧各国、日本なども必死に対応し、世界経済の深刻な危機、戦争的危機を一気に深めています。とりわけ中国、アジア全体の軍事的緊張は一気に高まっています。

 メキシコ国境に壁を建設するという、排外主義の攻撃をアメリカ人民の反対を押し切り、壁建設の予算化のために、515日非常事態を宣言しました。排外主義の扇動をますます強めているのです。

 トランプ政権による朝鮮侵略戦争は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と韓国人民の民族統一、新たな民族解放の闘いによって、いったん封じ込められています。この朝鮮人民の民族統一と新たな形の民族解放の盛り上がりはアメリカの朝鮮侵略戦争攻撃と根底から対決しています。私たちは、この朝鮮人民の闘いと連帯し侵略戦争と真っ向から対決していこう。

軍事大国化を急ぐ安倍政権

  安倍政権はアメリカ・トランプ大統領に追随し、軍拡、排外主義、差別主義の攻撃を強めています。軍事予算は毎年、大幅に増やし続け、53,000億円超になっています。しかも来年度から5年間の防衛装備関連費の上限を撤廃し、アメリカの兵器を言い値で買っていくと決定しました。

 2基で6000億円以上のイージス・アショアを地元住民の猛反対にもかかわらず秋田、山口に建設し、人体と環境に取り返しのつかない被害を与えようとしています。また、最新鋭ステンレス戦闘機F35A42機購入するなど、アメリカ製兵器を言い値で大量に購入し続けているのです。さらに重要な問題は憲法違反の戦艦出雲を空母化し、米国製の短距離離陸垂直着陸(STOVL)F35Bステンレス戦闘機を搭載することです。空母を持つことは世界のどこでも侵略戦争することの決断です。

侵略戦争のための9条改憲

 第2次安倍政権以降、政府は「集団的自衛権容認」の閣議決定、「特定秘密保護法」、「安保法」、「共謀罪」を強引な手法で推し進めてきました。これと結びついて自衛隊を世界のどこにでも派遣し戦闘することができるようにするために、憲法9条を改悪しようとしているのです。

 220日自民党大会で安倍首相は「いよいよ立党以来の悲願である憲法改正に取り組む時が来た」と訴え、それに先だつ29日、自民党憲法改正推進本部・下山博文本部長は「統一地方選が改憲に向けた大きな流れになるようにお願いし、党本部としてバックアップしたい」と危機感丸出しで訴えました。まぎれもなく憲法改悪をめぐる決戦の到来です。

 4月統一地方選、7月参議院選を全力で闘って、国会発議そのものを粉砕しましょう。 

 沖縄の民意を踏みにじり辺野古に新基地 

 沖縄県知事選で辺野古新基地絶対反対を真正面からかかげた玉城デニーさんが、政府・自民党が総力でおした候補を、9万票もの大差で破りました。この沖縄県民の民意を踏みにじり、安倍政権は1214日土砂投入を始めました。どこまでも青い辺野古の海が土色に染まる様は全国、全世界に流れ大きな怒りを呼びおこしました。

 また218日には、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、「国土交通省による埋め立て承認撤回の効力停止を決定したのは違法であり、取り消しを求めた」県の審査申し出を却下しました。沖縄県は提訴して戦うことを明確にしています。

 辺野古の軟弱基盤をめぐる工事で、今までの政府の工事計画では埋め立てできないことが判明してますが、違法なやり方で強行突破を狙っています。これにたいし、224日県民投票があり、反対が434273票、投票総数の717%を占め。賛成票の3・8倍に達した。見事なまでの、沖縄県民の歴史的圧勝です。敬意を払い、ともに喜びたい。

 ところが、菅官房長官は結果にかかわらず辺野古移設を進めると表明しました。また、NHKは公共放送の立場をかなぐり捨て、反対派に悪意ある放送をしました。弾劾・抗議を集中しましょう。

 これ程までの明らかな民意を、政府に示した自治体は他にはありません。それでも、工事を強行することは、まさに差別であり、「日本に民主主義はない」と宣言することです。

  沖縄県民の自己解放のたたかいと連帯し、辺野古新基地建設を全力で阻止しましょう。

 天皇代替わり攻撃と全力で対決しよう

 今年1年を通して天皇代替わりをめぐる天皇制攻撃、差別主義・排外主義との闘いが大きな課題です。

 代替わりをめぐって201688日天皇自身が、「気持ち」として表明しました。

  その中身は 「次第に進む身体の衰えを考慮するとき、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています」

 また「象徴天皇の務めが常に途切れることなく安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」ということです。

 ここで表明していることは、単に高齢だから皇太子を天皇にするということではありません。皇室典範4条では「天皇が死んだときには、皇嗣が直ちに即位する」とのみなっており、憲法4条では「天皇は国政に関する機能を有しない」となっています。違法・違憲の可能性が強いのです。安倍政権は今回限りの特別法で対応しましたが、天皇は違法・違憲の疑いが強い「気持ち」を何故表明したのでしょうか。

 戦後天皇制は危機に直面していました。昭和天皇は戦犯天皇として絶えず責任を問われ続けていました。戦後憲法で象徴として存続したものの、天皇制は絶えず危機に直面していたのです。

 もう一つの危機は現天皇(アキヒト)の後、天皇制はどうなるのかという問題です(皇位継承問題をめぐる危機)。天皇(アキヒト)は即位以来、天皇制の存続をかけ必死になって「象徴」としての役割を担い、血塗られた昭和天皇像を払しょくし、平和を求める天皇像を作り上げると同時に国民に寄り添う天皇として「腰を低く」、沖縄、南太平洋の島々など国内外の戦争被害者とその子孫、災害地域被害者を訪問したり見舞ったりしてきたのです。まさに象徴として生き残った天皇制維持のために必死だったのです。

 さらに皇位継承問題でも天皇(アキヒト)が健康なうちに「安定的に」続く道筋をつけておくということです。実際、女性天皇など様々な論議がありましたが、天皇退位後、皇太子が即位し、秋篠宮が皇位継承1位となり、2位に秋篠宮の息子(悠仁)がつき、天皇制存続の道筋をつけました。また、天皇の即位が労働者階級の祭典、51日メーデーの日であることから明らかなように、労働運動つぶしの反動攻撃です。

 部落解放運動は差別の元凶として天皇制をとらえ、日の丸・君が代の教育現場等々の強制と闘ってきました。天皇制と部落差別との関係を学習しながら天皇制代替わりと対決しましょう。

 部落の置かれた現状

  アベノミクスは格差を拡大し、新たな貧困をひどいものにしていくことが、政府の不正統計によっても明らかになりました。部落の置かれた状態はどうでしょう。特に深刻なのは、若者と高齢者です。

 部落の若者の不安定就労―非正規労働は、一般の2倍近くにのぼっています。また、20代~30代の層でも、最終学歴が中学校の割合は10人に1人、一般の2倍です。そうしたなかで、「差別を受けることへの不安」が半数にのぼり、結婚年齢も全国平均より5年早い人と、未婚のまま中高年をむかえる人に両極化しています。

 また、高齢者も深刻です。大阪では、高齢者の7割がひとり暮らし、それでもムラに住み続けたい人が7割を超えています。ここに、安倍政権の医療・介護・福祉のきりすてが限界点を超えて襲いかかります。介護認定で要支援とされた人は、ムラの団結で自治体に声を上げ、受け皿を作っていく以外に生きられません。

 こうした部落の現状に加え、安定した層のムラからの流出、より困難を抱える層の部落への流入があります。新たな貧困化が、部落に集中する度合いはますます増大しています。

 公営住宅法・応能応益制度は、この状態に決定的な拍車をかけつづけています。まさに、このままでは、「同和事業」以前のムラに、逆転現象が進んでいきます。 

 部落差別事件の特徴

 若者が、最も熱中しているのは、インターネットです。そこでは、SNSなどの普及によって、コミュニケーションのあり方も様変わりしています。ラインなどのなかに自分がいなければ、職場や友人関係のコミュニティからも疎外されてしまう時代です。

 そのネットの世界で、悪質な差別事件が爆発的に増えています。その多くは、差別を扇動する、激しいものです。ネット上では、行為者不明のものが多く、差別行為へのハードルが現実世界とは格段に低くなります。他方、それを見る側も、差別にたいする抵抗感を弱め、それを差別だと認識できないし、反撃しにくい状況があります。

 その影響は、丁度、特別法の期限切れ、2000年以降、人権意識の逆転現象をひきおこしています。大阪府の意識調査では、「結婚に際して相手が同地区出身かどうか気になる」

という回答が、自分の結婚の場合で2000年には181%、2005年には202%。子供の結婚の場合で2000年には206%、2005年には232%。いずれも増加しています。

 市場原理主義による経済的格差の増大をもとに、差別主義、排外主義のイデオロギーが台頭し、確信犯や愉快犯がはびこり、攻撃、挑発、扇動などの動機、目的の差別事件が続発しています。格差拡大による社会的不満の鬱積が、社会的弱者に向き、ここにネット上の差別が重なることによって、差別事件の爆発的現象が起こっても不思議ではありません。

 その典型的な例が、示現舎による「新たな地名総鑑」事件です。示現舎・宮部らは、「ネット時代の新たな差別主義者」です。

 全国連を核に新たなムラの団結を

 このように、生活も差別も、明らかに法打ち切り以降、逆転現象が進んでいます。このままでは、早晩、限界点を超えます。

 しかし、他方では、「差別は少なくなっている」「部落部落と言うのはもう古い」という意見を、特に若者から多く聞かされます。それは果たして本当でしょうか?

 実際は、述べてきたように、差別は悪質、かつ増大しています。しかし、部落大衆の多くがインターネットとは無縁なアナログ世界にあって、一見、見えにくくなっていることも事実です。しかしそれは、「一見、見えにくく」なっているだけで、部落も部落差別も間違いなく存在し、悪質、増大しています。この倒錯した状態は、非常に危険です。

 この状態で、激しい政治の流れに放り出されます。ムラで生きていくしかない、しかし個々にはムラで生きていけるかどうか、ギリギリにまで追い詰められようとしています。この状態が長く続くと、一人では声を上げることもできません。

 部落解放運動の衰退が、その大きな原因です。部落大衆にとって、運動の姿が見えない、たたかいの声が聞こえない、その結果、魅力を感じられず、運動との距離もどんどん広がっていきます。

 団結しないと、生きていけない。そこまでの時代が目の前にあります。その団結は全国連が核になるほか、解放同盟も誰もあてにはなりません。団結の心棒になるのは、差別糾弾を軸にした三大闘争です。三大闘争を自己満足ではなく、ムラの団結づくりに軸足を置いて取り組みましょう。狭山闘争や示現舎糾弾は、その希望の星として輝くでしょう。

 

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