第28回全国大会に総結集を!
3月30、31日東大阪・荒本人権文化センターへ!

(2019年3月26日)

2019年度の運動の基調(案)

28回全国大会の意義と課題

はじめに

26回大会では、5年を見越した3つの方針を決定しました。一つは、朝鮮侵略戦争・核戦争の危機が差し迫るなかで沖縄県民との連帯を強め、安倍政権による憲法改悪に反対する。二つには、下山鑑定の事実調べを勝ち取り5年で,狭山闘争に完全勝利すること。三つには、住宅家賃闘争を超える生活要求闘争を、「法なき時代」にこそ発展させようと確認し実践してきました。不十分さや力不足に苛立ちながらも、課題をまえにすすめながら、すでに2年が経過し3年目を迎えます。本大会は、5年のおり返し点であり、さらなる奮闘を目指すものです。

そのうえで、これからの3年間の運動は、これまでの2年間にもまして重要な段階に入り、さらに攻勢的で大衆的な運動が求められます。たとえば、狭山見広告運動は全国連にとっては身の丈を超えるような大変な取り組みでしたが、それでも、あえて言えば東京高裁に事実調べを実現させるためにはどうしても通らなければならない通過点にすぎません。天皇代替わりを利用した改憲と戦争国家化、格差の増大と困窮の高まり、頻発する自然災害は、部落と解放運動の存立さえ危うくさせる事態となっています。これからが正念場の段階に入ります。三つの方針のどれもが決定的局面を迎えます。この時、全国連がいかに闘うのかが求められており、特にこの1年の運動の進め方や、方針が大事です。大会での議論をつくし諸課題の勝利のために邁進しよう。

1、 部落解放運動を取り巻く情勢の特徴

一つは、憲法改悪攻撃とのやりあいのただなかに解放運動があるといえます。本年は、憲法改悪の正念場と言えます。これまで安倍政権は、「集団的自衛権容認」の閣議決定、「特定秘密保護法」、「戦争法」、「共謀罪」を強引な手法で強行してきました。改憲の攻撃の当初は「とりあえず、衣の下に鎧を隠して96条を変え改憲馴れしてから自民党草案の通りに持っていく」としようとしたものの、自民党内の支持が広がらないことで、9条に自衛隊を明記させ名実ともに軍隊として世界中のどこでも戦争ができるよう国にしようとしています。中国、朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)の危機あおり5兆円を超える軍事費を増大。イージス・アショアを秋田県と山口県に配備を決定し、ステルス戦闘機の大量導入と護衛艦「いずも」を改修し攻撃型空母を運用しようとしています。軍事大国化、日米軍事同盟を強化させながら「戦争の出来る国」へと変貌させてきました。統一地方選挙、参議院選挙の結果によっては、改憲攻撃はさらに強まるものと考えなければなりません。

二つには、議会制民主主義や地方自治のあり方までも踏みにじる安倍政権の強権政治が横行していることです。 幾度もの沖縄県民の民意を踏みにじり、辺野古新基地建設のため昨年暮れから土砂搬入を強行しています。しかし、沖縄県民は、国家権力の横暴に屈することなく県民投票によって正々堂々と立ち向かっています。今国会が開かれているさなかだが、卑怯にも菅官房長官は、県民投票日の224日を前に、結果にかかわらず埋め立てを続けると言い放ち県民投票に露骨な妨害までしました。「いくら反対しても無駄」と言わんばかりです。民主主義も糞もあったものではありません。政府によって、このような違法、無法を沖縄県民におしつけることは差別以外の何物でもありません。

三つには、天皇の代替わりを利用した天皇制の強化と押し付けの強まりに警戒をしなくてはなりません。現天皇の生前退位と新天皇の即位でこれからの1年は、「天皇漬け」にされることになります。決してオーバーな話ではありません。政府は、わざわざ即位式を5月1日にして、祝日とする事で10連休となり、特別なゴールデンウイークにして、日本社会全体を祝賀ムード一色に染め上げ、労働者の祭典メーデーも、5月3日の憲法記念日も天皇フィーバーとして飲み込もうとしています。10月には即位の礼、11月大嘗祭、翌年4月立皇嗣の礼と儀式だけでも1年がかりとなります。そして、行事と儀式の節目、節目を利用して大宣伝が繰り返されることになります。すでに現天皇の退位を前に現天皇の「おひとがら」「おきもち」「ご功績」がテレビのワイドショウや特番で放送されています。新天皇についても「おきもち」「おひとがら」がとりあげられ放送されることになります。新聞や週刊誌も含め、大宣伝が繰り広げられることになります。天皇制の強まりは、日の丸、君が代、元号の強制だけでなく、差別主義や、排外主義を増幅させることになり、部落解放運動にとって気の抜けない情勢といえます。

 

2、 主要な課題と闘いの方向

安倍政権の憲法改悪攻撃と対決し戦争政治と断固闘おう

安倍政権は議席の多数を背景に強引な国会運営で9条改憲を2020年の施行を目標に改憲の発議をやろうとしています。しかし簡単に許してはなりません。必ず阻止しよう。公明党や維新などの改憲勢力を取り込みながらもそう簡単に進むことなどない。先の国会での安倍の答弁での改憲の理由に「自衛官の募集に自治体の協力が得られないから」「憲法学者に自衛隊を違憲とする学者が多いから」、教科書に「自衛隊が違憲」と書かれているから,9条に自衛隊を明記すれば「空気は大きく変わる」「災害派遣を受けるなら自衛隊に協力しろ」という、低俗で不見識極まりない。官邸前での抗議集会や各地での改憲反対運動と積極的に合流し改憲阻止の一翼を担いましょう。 

今年は統一地方選挙、参議院選挙と安倍政権反対の民意を示す重要な選挙が行われる年でもあります。自民党が不利となれば、衆議院の解散と合わせてダブル選挙となることもありえます。政治決戦として積極的に位置づけ闘うことが大事です。全国連は憲法の改悪に反対する一点で候補者、政党を支持し闘います。すでに統一地方選挙は最終局面を迎えていますが、最も生活と日常にかかわる身近な選挙でもありますが、地方選挙においても改憲反対の民意を示すことも改憲を阻止するためには大事なことです。

大阪では組織内候補の木邨中執の寝屋川市議選に、全力を注いで闘いましょう。三度目の挑戦となり人生を賭した闘いであり、改憲反対を真正面から訴えるとともに住宅問題をはじめ地域住民の要求闘争の発展に欠かせない選挙戦でもあります。東京の杉並区においても共に闘う仲間の、けしばさん、新城さんが戦争反対、改憲反対の議席を守ろうと果敢に闘っています。全国の力を集中して三人の当選を勝ち取りましょう。 また、東大阪の松平さん、茨城の新井さんをはじめ、共闘議員の当選をかちとりましょう。                                                               特に改憲と軍事大国化の攻撃の軸である辺野古新基地建設反対運動に連帯して闘うことが大切です。菅官房長官の「県民投票結果にかかわらず工事はやめない」の暴言は,県民投票そのものを妨害するものでした。国家の金と暴力によって民主主義も県民の尊厳を踏みにじる現実こそ改憲と軍事大国化の表れなのです。あらためて沖縄の歴史、現実に学びこれまで以上に連帯を強めていきましょう。

天皇代替わり攻撃と対決しよう

2016年8月天皇の「おことば」で「気持ち」として譲位を表明して以来、現天皇の生前退位と新天皇の即位が一挙に政治焦点化することになりました。天皇制の強化と政治利用が一層、強められようとしています。断じて認めることなどできません。

全国連が天皇制に反対するのは多くの理由からですが、簡潔にまとめてみましょう。明治維新で誕生した天皇制を中心とした国の体制は、天皇に絶対的な権力を集中し、封建時代のしくみも積極的に利用して国の枠組みを作ってきました。封建時代の身分制度は廃止されたのですが、それにかわって皇族を頂点とする新たな身分制度である華族制度がつくられ、皇族に次ぐ身分の公爵には公家の岩倉具視、伊藤博文などの薩摩、長州の武士たち、薩摩藩主の島津久光と忠義、長州藩主の毛利、にくわえ徳川慶喜と家達も「公爵」として復権し支配権力の中枢を形作りました。一方、民衆にしてみれば封建の圧政に代わって天皇制国家による徴兵制や納税の義務によって、新たな収奪として民衆を苦しめました。資本主義のもとでの前近代的で過酷な労働は、一層民衆を苦しめることになります。天皇制は政府が作り出す矛盾を力ずくで抑える役割を担い、ますます強大化してきました。天皇制は矛盾が多ければ多いほど強権をふるいます。部落差別の歴史においても別府・的が浜部落の焼き討ち事件や奈良の洞部落強制移転等天皇制の強大化のために我々の祖先を辱め部落差別を温存、再生し利用してきたことが今も差別がなくならない最大の原因です。戦後、華族制度がなくなった今でも社会構造の中で文化、慣習として部落差別の温床は存在しています。血筋や家柄の価値観に惑わされることは今でも多く存在します。昔の恨み、怨念で天皇制を否定しているのではありません。  

天皇制は近代日本にとってあまりにも大きな誤りと罪を犯し、血の犠牲の上に成り立ってきましたが、天皇個人はもとより為政者たちは今も、反省と責任を取らずにいることです。特に戦争責任について最高の責任者である昭和天皇は裁かれることなく、そして我々国民もそれを良しとし、自らの戦争責任もあいまいにしてきました。自民党の憲法草案は国民主権を否定し再び天皇を国家元首にしようとしていますが、戦争責任への居直りが根底にあります。「極東軍事裁判は、勝者の論理」、「憲法はアメリカの押し付け」として一級戦犯を靖国神社にまつり、「軍隊慰安婦に軍隊の関与はない」、「軍隊慰安婦は日本軍だけではない。ほかの国でもやっていること」等、安倍政権以来特に居直りはひどいものです。彼らが天皇制と天皇を賛美し持ち上げ権威を高めようとするのは、自らの戦争責任をあいまいにし、戦争国家化への民衆の抵抗感を薄めようとするためです。時の権力者が率先して「天皇を敬愛し」「忠実な臣民」を演ずることで戦争屋の本性を包み隠し、天皇の権威を持って社会矛盾や社会的対立をごまかそうとする役割に利用しているのです。天皇もまた「象徴天皇」を演ずることで天皇制の存続に必死でとりくんできました。戦前の「現人神」であろうと現代の「象徴天皇」であろうと天皇制の本質は何も変わりません。

事実調べ実現で第3次狭山再審闘争に勝利しよう

今年3月には下山鑑定に対する検察の反論が出されます。そして夏から秋にかけて検察の反論に対して弁護団から再反論が出されます。これで弁護団、検察の意見がでそろうことになり、東京高裁・後藤眞理子裁判長の判断を問う段階に入ることになります。後藤裁判長が来年6月で定年退官をむかえることから、今年一年が第三次狭山再審闘争の勝利にとって不可欠な事実調べをめぐって大きな山場を迎えることになります。「事実調べなくして再審開始なし」の原則を肝に銘じて、あらためて今年一年を全国連は、何よりも下山鑑定人の尋問、事実調べの実現のために全力を傾注して闘うことをすべての同盟員、狭山に心を寄せるすべての人々に呼びかけます。

私たちは、これまでの狭山闘争の歴史において幾度もの敗北を経験してきました。特に再審段階では、密室での書面審理となり新証拠の事実調べも一切行われず、勝手な推論やこじつけで真実を捻じ曲げ国家権力の部落差別を擁護してきました。他の冤罪事件でも警察、検察、裁判所のメンツや治安維持の観点から再審が開始されることは大変さを伴いますが、特に狭山事件は国家権力による部落差別を糾弾する闘を軸に発展した大闘争ですから、大衆運動や階級闘争に及ぼす影響の大きさを考えると権国家権力にとって大変、都合が悪いわけですからさらに困難さを極めます。再審開始の前段階である事実調べの実現さえ決して容易なことではありません。まして下山鑑定は、警察による証拠のねつ造を明らかにしたものであり、確定判決である高裁・寺尾判決を根底からひっくり返すものです。いま私たちは、下山鑑定という決定的証拠をはじめ220の新証拠を東京高裁に積み上げています。狭山再審闘争史上最大のチャンスを迎えており決戦段階に突入したといえますが、同時にチャンスとピンチは裏表で存在します。

ピンチとは、決戦の重圧から、新証拠が決定的であればあるほど裁判所への油断や期待論が生まれ闘いの矛先がぶれることです。すでに、「鑑定人尋問をしなくても再審を勝ち取れるのではないか」「下山鑑定は科学的に否定できない鑑定だから(読めばわかるだろう)」という声が一部に存在しています。このような日和見主義、敗北主義の台頭を許さないためにも全国連は、事実調べ・鑑定人尋問を要求する運動を先行的に強力に進めます。最大のチャンスを生かすためには弁護団と、大衆運動・世論が一体となって事実調べを要求して闘う以外にありません。そのためには下山鑑定と証拠のねつ造をもっと広く訴えを広めていく必要があります。再度の意見広告に取りくむことも辞さない覚悟で創意工夫をこらしながら上映運動や学習会、23デーの街頭署名をとうして狭山の共闘のすそ野をさらに広げ,高裁と高検への要請行動を強めましょう。

示現舎糾弾闘争を発展させよう

鳥取ループ・示現社宮部らによる復刻版「全国部落調査」を出版しネット上で販売したことが発覚し鳥取ループ・示現舎による卑劣極まる差別事件の本質は、糾弾闘争と解放運動つぶしを公言した地対協意見具申をよりどころとしています。意見具申以降、差別事件は、警察へ被害を届け解決は、司法の判断に委ねられることとなり、糾弾会は話し合いの場に変化してしまいました。宮部らは、「差別しても糾弾されることはないだろう、糾弾されたとしてもたいしたことにはならない」と解放運動をなめきっているのです。こんな連中は八つ裂きにしても気が済まないのが偽らざる心境です。ではいかに闘うのか。示現舎・宮部らによる差別も、狭山差別裁判糾弾闘争の困難さも同じ根っこにある。それは、「差別糾弾闘争と解放運動が新たな部落差別を生み出している」という差別糾弾闘争つぶしと解放運動の解体を狙う攻撃です。示現舎・宮部らを糾弾できるのはもはや全国連以外にないといえます。                        

28回大会を前に示現舎への公開質問状をつきつけることに方針を決定しました。糾弾状の集中から第二ランドの始まりです。この闘争方針は、公開質問状とすることで、社会的に宮部の本性を暴き、さも部落問題に精通しているかのような見せかけのでたらめ極まりない「部落問題論」を満天下にさらし粉砕すること。「解放同盟は、啓発や研修で利益を引き出している」「全国部落調査の発禁が解除されたら本格的に売って金儲けします」というあくどい狙いを明らかにさせ人格的にも社会から締め出すことにあります。           公開質問状をネット上に公開することで衆人監視の中で宮部の醜悪さが暴かれ社会的にさらされることになります。さらに公開することで全国連だけの闘いだけではなくなり、宮部への怒りの意見や反論という形で共に闘う人々の参加を促すことも可能となります。

こうした闘争方針を選択した理由は復刻版「全国部落調査」出版差別事件がネット上で繰り広げられたことからです。ネットワーク上での差別事件は、その内容のひどさ以上に影響力はこれまでの比ではありません。差別表記や差別映像が一瞬にして何千、何万に拡散し差別情報がいつまでも蓄積され残り続けることです。もちろんプロバイダーの管理責任や規制などの課題はあるもののなかなか追いつかないのが現状です。もちろん裁判で差別者と対峙する闘い方もありだと思いますが、当事者に限られ、ネットワーク上の差別情報の「拡散性」と「蓄積」の仕組みには有効性の点で劣ってしまいます。あえて全国連はネットワーク上で糾弾闘争を闘うことで「拡散」と「蓄積」を武器に鳥取ループ・示現舎・宮部に怒る人たちの共同の闘争として、差別や不条理に怒る力が勝つのか、差別主義者が勝つのか、社会全体に問うこととしました。

 


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