26回大会基調報告・要旨

(2017年07月22日)

     部落解放同盟全国連合会 中央本部中田潔書記長 部落解放運動は大きな転換点にあります。安倍政権は、いよいよ憲法の改悪にのりだし、「共謀罪」などで、部落解放運動も含めて、ものも言えない世の中にしようとしています。このままだと、どんどんそうなって、差別糾弾闘争もできない、そんな風にされてしまいます。 憲法改悪に反対し、戦争阻止を柱に  戦争のできる国、そういう国にしたてあげるには、様々な改悪や、弾圧をへて進められます。そのなかで、われわれはどういう運動をしていくのか、そこをはっきりさせてたたかわねばなりません。部落解放運動の柱に、絶対に戦争をさせない、そのことを打ち立てて闘いましょう。  全国連は、三大闘争のあらゆるとりくみにあって、差別糾弾闘争を軸にしてきました。そこをしっかりさせることで、部落解放運動を再生・復権しようとしてきました。  今、若い層になかなか部落解放運動に魅力を感じてもらえない、そんな時代です。 担い手の高齢化問題も確かにあります。  しかし、では、もう部落解放運動はいらないのかと言えば、決してそうではない。 昨年の大会でも触れましたが、就労状況をみても、非正規労働者がどんどん増やされ、犠牲の集中する部落の就労をはじめ生活は非常に悪くされています。しかも、その肝心なところを支える運動は、どんどん弱められています。全国連は、そういうところとしっかり向き合い、こんにちの部落差別の有様としっかり向き合った運動を求められます。   この5年で狭山必勝へ  狭山闘争でも、そういうところをしっかりやっていく。差別糾弾闘争を軸にしてたたかっていく。そこがなければなりません。これまでの10年をふりかえって、われわれの弱点も見えてきて、その総括のなかで「新たな挑戦」をうちだしました。また、新たな挑戦のなかで、様々な人と繋がり、一緒にとりくんでいくことで、今までより広範な新たな人々との出会いがありました。  そういう努力の積み上げのなかで、狭山の決定的な新証拠をつかみとりました。石川一雄さんが、殺人犯にされてしまった、決定的な証拠とされた、万年筆が、実は、警察のでっち上げであるとはっきりわかる、下山鑑定がだされました。  我々自身は10年たたかうこともやぶさかではないけれども、石川さんの年齢を考えると、5年が勝負です。事実調べを必ず実現させることが必要です。下山鑑定を武器に、事実調べを実現し、この第3次で再審を実現しましょう。  その過程を通して、部落解放運動を元気にしていく、そういうことが求められます。勝つためには何をしてでも勝つ。目の色を変えて、やりましょう。  同和対策事業うちきりで何がおこったか  本部派は、同和対策事業のうちきりに、屈服したのだということを忘れてはなりません。  「一般対策を軸にして、それを活用していく」と言いながら、大衆的な要求闘争はどんどん闘われなくなっていった。そんななか、実際に、部落のなかでは、どういうことがおこってきたのか。  例えば、介護保険制度の改悪で、これまで利用できていた人がサービスを利用できなくなっていく。この制度が始まる時点で、我々が心配していた通り、「保険あって介護なし」にされていく。  住宅問題ではどうでしょうか。公営住宅法の改悪、応能応益制の導入、本部派はそれを認めてしまった。それから20年たって、部落の住宅にかかわる権利は、どんどん削られています。「住む権利を保障しろ」と正面から掲げ、家賃にとどまらず、いろんな点から、要求闘争がたたかわれなくてはならない。それが低下しているが、むしろ逆に、これからこそしっかりやっていかなければなりません。  同対事業うちきり以降のこうした流れ、関係性のなかで、「部落差別解消法」も見なければなりません。    お上まかせでなく、大衆運動の発展が必要  昨年の12月に、部落差別解消法が成立しました。「今さら、なんで?」我々は国に頼らない団体だし、何より同対法うちきりで何がおこってきたのか知っていますから、今度の法律はうさんくさいなと感じています。  ここ東大阪では、同対法打ち切り以降、部落やしょうがい者、在日など、それぞれが持っている特殊性やしんどさを無視して、行政は、とりあえず「人権」でくくって、いわば何もしない、されていない状態が続いてきました。あげくには、もう法律で部落が無いのだから、対応しません、そういう行政の態度です。  そこへ、今度の法律では、部落差別はあるし、国はそれを解消する責任があると書いています。これで、「これまで、部落は無いのだから対応しませんという行政に対しては、文句を言っていける」と思うのは当然かも知れません。  しかし、よく見ると、本来的に、部落差別を残しているのは、国や行政など権力なのに、遅れた意識の人が勝手にひどいことしていると捻じ曲げています。  この法に期待するとえらい目に合う。本部派は、事業の要求はしないと、言い切っています。自由同和会は「部落差別をした者には、罰があるとつけてくれれば、もう解放運動は無くてもいい」と言っています。  労働運動や様々な大衆運動が法の改悪で縛られ、小さく小さくされていくなかで、わが解放運動がこの法律のもとで、どんどんお上頼みの運動にされていく。それは、われわれが、融和運動と言っていたことです。  部落解放運動は、国・行政、お上まかせの運動ではなく、あくまで自主解放を基本にした大衆運動であらねばなりません。  そのための方針として、3つの軸<改憲反対><狭山必勝><要求闘争>をしっかり確認して闘っていきましょう。
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