安倍首相は、七月参議院選挙で「憲法改正を訴える」ことを明らかにしました。「九条」からではなく、与野党が合意しやすい「緊急事態条項」を憲法に加えることから始めようとしています。「緊急事態条項」は、大災害や戦争の緊急時には、内閣が国会に代わって国策を決定し、しかも、国民の権利を制限できるというものです。これは「戦時国家と独裁政治」へ道を開こうとするものであり、立憲主義と議会制民主主義を否定するものです。決して許すわけには行きません。昨秋の国会包囲闘争をさらに上まわる巨大な大衆の自主決起で、安倍戦争政権を打倒しよう.
三、アジア諸国と軍事協力の強化
昨年秋に強行採決された新安保法制は、中東-インド洋-南・東シナ海での主に石油輸送のためのシーレーン(海上交通航路)を軍事的に守るだけではなく、アジア地域を日本の強い影響がおよぶ勢力圏とするためのものです。
安倍政権による目まぐるしく進むアジアでの軍事協力を見ていこう。<br/>
(一) 豪州と「準軍事同盟国」に
今や、日本と豪州は軍事的な「準同盟国」です。「訪問部隊地位協定」を結び、部隊の運用や武器・弾薬などでの協力を強化して、日本国内での日豪共同演習もできるようになりました。
豪州は、「世界一深く潜れて、音が静かで、潜水距離が長い」日本製の新型潜水艦で、海上輸送路の軍事的な確保をめざそうとしています。日・豪にとって、南太平洋の島しょ国海域や南シナ海は、石油・天然ガス・石炭などを輸送する重要な海域です。日・豪は、中国の南シナ海や南太平洋しょ島への進出に対して、この海域での勢力圏を共同して軍事的に対抗するために、準軍事同盟国へと踏みだしたのです。
すでに、豪州は、南シナ海の中国人工島の軍事的な警戒・監視を、米国の駆逐艦につづいて哨戒機で行いました。日・米・豪などによる共同軍事演習も行なわれています。南シナ海での制空と制海をめぐる中国と日・米・豪などの争いは、必ず軍事衝突に行き着かざるをえません。その緊張は日ごとに高まっています。
(二) 東南アジア諸国との軍事協力
この一年、安倍政権は驚くほどのスピードで東南アジア各国との軍事協力を進めています。フィリピン・ベトナム・インドネシアを軸に「防衛装備協定」を結び、南シナ海での中国の人工島建設による領土・領海拡大に、軍事力の増強で介入して対抗しようとしています。
フィリピンでは、自衛隊が基地使用できるようになり、海自の練習機と大型巡視船十隻を軍事供与しています。また、南シナ海・フィリピン沿岸部での米・比軍事共同演習には、陸自隊員が参加しています。
ベトナムでは、南部のカムラン湾海軍基地を海上自衛艦が、中部のダナン基地を海自哨戒機が使用して、自衛隊は南シナ海での活動範囲が大きく広がりました。また、ベトナム軍と初めての海上共同訓練が行なわれ、日米共同演習には、日本からインド洋で演習中の護衛艦と、ソマリア沖からも護衛艦の3隻が参加しました。
インドネシアとは、海洋の安全保障で協力することで一致して、今年に実施される多国間共同訓練「コモド」に海自が派兵されます。
南シナ海での領土・領海をめぐる争いは、日増しに軍事衝突へと向かっています。
(三) 日・印安保は「新たな段階」へ
日・印は「情報保護協定」によって軍事秘密のやりとりを行ない、インド洋のシーレーンを警戒監視システムで防衛協力をすでに行なっています。また、日・米・印によるベンガル湾での定期的な海上共同訓練が、海上自衛隊の艦船十隻が参加して行なわれています。インドは駆逐艦やフリゲート艦、米は原子力空母や原子力潜水艦が参加して、対空戦や対潜水艦作戦、そして、水上射撃訓練が行なわれました。
インドは、中国のインド洋進出に対抗して、東アフリカから東南アジア諸国と共に、逆に中国を封じ込もうとしています。
また、空母と原潜を二隻ずつの体制に強化し、インド艦船がベトナム寄航から自衛隊観閲式に参加しています。さらに、マラッカ海峡でタイ・インドネシアなどの東南アジア諸国との多国間の軍事演習を、豪州とは海軍の共同演習を行なっています。
核兵器保有国であるインドとの軍事協力の強化は、核戦争の参戦への道を開くことになります。また、「日・印原子力協定」は原発メーカーの輸出に大きく道を開くばかりか、インドの核保有を認めることになります。
日・印安保は、インド洋で対中国の戦時体制に突入していると言えます。
(次回は、「四、沖縄・辺野古新基地阻止へ」と、「第三回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』軍隊に」です)
四、沖縄・辺野古新基地の建設阻止へ
●朝鮮有事の最前線基地
●南西諸島への自衛隊配備
第三回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』軍隊に
一、 年のイラク派兵で攻撃された自衛隊
●駐屯地に十三回の迫撃弾砲撃<br/>
●巡回中にデモ隊と一触即発<br/>
二、 南ス-ダンのPKO派兵
●駆けつけ警護で交戦
●警戒・監視活動の治安維持活動で標的に
三、 朝鮮半島沖・東シナ海での船舶臨検
●船舶臨検の戦闘行動
●
四、機雷掃海の戦闘行動
●中東・ホルムズ海峡
●マラッカ海峡・南シナ海
五、 東アフリカのジブチ基地
六、 ソマリア沖の「海賊対策」