不屈のたたかい『前例』やぶる! 高検、手持ち「証拠」リストを開示!

(2015年02月12日)

  44点の未開示証拠が存在
    1月22日付けで、東京高等検察庁は、高検に領置されている狭山事件関係の証拠物279点のリストを開示した。リストに  はこれまで存在が明らかでなかった44点の証拠物が含まれており、石川さんの筆跡がわかるハガキも含まれているという。
    2009年の東京高裁・門野裁判長による証拠開示勧告以来、160点余りの新証拠が開示されてきた。それらの中に含まれている証拠物の領置番号が飛び飛びになっていることから、弁護団は、検察が持っている証拠物の全リストを開示するよう求めてきた。今回のリストの開示で、「番号飛び」問題は解決された。
捜査関係書類は含まれず
    今回開示されたリストは、高検に領置されている証拠物のリストであり、門野裁判長が開示を勧告しながら未だ未開示のままである「ルミノール検査報告書」「死体の写真」「実況見分フィルム」をはじめとする捜査書類や、弁護団が開示を求めている石川さんの否認時の取り調べ録音テー 1974年9月26日2審東京高裁の石川さんの最終意見陳述に10万人の人々が結集 プ等の供述書類関係証拠は含まれていない。
    1月23日に開かれた三者協議で、弁護団は 、今後、リストにある証拠物の開示を求めていくと共に、リストに含まれない捜査書類等の全証拠の開示を求めていくことを裁判所に伝えたとされる。
再審開始への大きな一歩にしよう
    証拠リストの開示は、異例のことである。「検察は証拠を隠しているのではないか」との社会的批判の高まりがリストの開示を余儀なくさせた。石川一雄さんをはじめ、すべての狭山再審を願う人々の「証拠開示」を求める訴えの力は決して無力ではない。石川さんはその不屈の意志で再審実現へのなくてはならない階段をまた一歩昇ったのである。
    同時に、検察は証拠物のリストを開示したが、捜査書類や供述書類等を開示しなかった、あるいはできなかったという事実にも目を向けなければならない。門野裁判長がルミノール検査等の捜査書類の開示を勧告したのは、それらが現行の刑事訴訟法ならまず真っ先に開示を義務づけられるはずの証拠であるからだ。
すべての証拠を開示せよ!
    冤罪・狭山事件の核心は、被差別部落に対する見込み捜査と石川一雄さんに対する虚偽自白の強制である。言い換えれば、警察は犯行現場や犯行態様を裏付ける証拠がとれなかった。犯行現場とされる雑木林のルミノール検査報告書や死体写真、実況見分フィルムが今なお開示されないのはそのためである。
    警察は、自白の裏付けをとるかわりに、万年筆やカバン、時計等の証拠をねつ造したのである。
    年末に刊行された浜田寿美男著『虚偽自白はこうしてつくられる 狭山事件・取調べ録音テープの心理学的分析』(現代人文社)を読むと、有罪判決が根拠としてきた石川さんの自白調書と、実際の「自白」がどれほどかけ離れたものかがよくわかる。供述調書そのものが警察によるねつ造である。にも関わらず署名捺印さえあれば本人の供述調書とされてしまう。そのようなでっちあげを許さないために捜査書類を含む全ての証拠の開示が絶対に必要なのだ。
    すでに手拭いの配布リストでも捜査書類の改竄が明らかにされている。検察が今なお隠し持っている捜査書類の中には、警察による事件のねつ造を示す証拠がまだまだあるはずだ。
    「リストは開示しない」という検察の「前例」は崩れた。今こそ、「狭山事件の全証拠を開示せよ」の声を全社会に巻き起こしていこう。
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