医療・介護など社会保障の改悪許すな!(第2回)

(2015年02月12日)

  国による医療や介護保険制度の「丸投げ」反対
    国保や介護保険制度は、これまで市町村へのとりくみでした。医療・介護総合法では、「効率的な医療供給体制」にするとしています。
    国は、2018年までに国保の運営責任を市町村から都道府県に移す計画です。都道府県には、病院の病床(ベッド)数を機能ごとに再編する権限が与えられます。(2015年通常国会提出)。
     超高齢、多死の2025年にむけて強引に病院を「高度急性期、急性期、回復期、慢性期」の機能別病床に振り分け、「入院から在宅へ」、「医療から介護へ」、「施設から地域へ」と患者の流れをつくりだし、<病院へ入院させない、最期は、在宅(地域)で看取り>の実行です。 昨年10月から「病床機能報告制度」がはじまり、都道府県に報告しなくてはならなくなりました。この病院病床の報告には、大きな意味があり、医療供給と需要の計算の下敷きになります。高齢者人口が増えると必要ベッド数も増えていきます。医療費を削減するためには、ふくらんだ急性期病床を大幅に減らし、慢性期病床や介護施設、自宅へと送り出す、こうした仕組みづくりが進んでいます。
▼患者を追い出す
    私たちが、入院して支払う費用はどこの病院でも同じように思います。医療機関にとっての「入院基本料」は、看護師の配置数や重症度の割合と入院日数で高低がきまります。一般の病院では、7対1(患者7人に対し、看護職員1人)ベッドの報酬額が一番高く、10対1、13対1とつづきます。病院側は、生き残りをかけて少しでも高い報酬を受けることができる7対1病院をめざしています。
    しかし、自宅などへの退院割合が75%以上でなければ、7対1病院の認定が受けられなくなりました。病院は、さらなる経営努力が求められます。その「経営努力」の結果どうなるのか。治療途中での退院の強制、次の病院が決まっていなければ、在宅医療へと行きつかざるを得なくなるのです。
▼現場では・・・・
    救急車で搬送されたBさんは、入院中の妻と二人暮らしです。入院が必要な病状であったにもかかわらず、「軽い認知症」のため、検査と点滴を終えると、自宅に戻るよう告げられました。付き添ったケアマネジャーは、入院させて欲しいと窮状を訴えます。担当の医師は、「夜間の看護師は、少なく、見守りできない。一度入院を認めれば、退院してくれない。」と困惑の顔でケアマネジャーの訴えを制止しました。
    医師とケアマネジャーのやり取りの結果、親族の付き添いを条件にして3日間の入院が認められました。そのため深夜にもかかわらず、遠方から高齢の兄弟がかけつけてきました。
    介護を担う現場は、介護だけをすればいいのではなく自己犠牲をともない、過酷をきわめています。
    一方、看護職員をはじめとする医療労働者は、より重症の患者を受け入れることで強労働となっていきます。
    高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅医療それぞれの現場で治療半ばの患者を受け入れていかなくてはなりません。現在7対1病床の治癒率は、4.3%。退院後の受け皿は、看護(医療)の体制がより整っていない病床へと導かれ、患者はベルトコンベアに乗せられた商品でも扱うかのようです。
    救急車で搬送される急性期病床に求められるのは、集中ケアで治癒率を高め、設備とより手厚い看護です。7対1から4対1、3対1の看護職員を配置でき、経営がなりたつ報酬体系が求められます。しかし、今日の制度改悪はこれとは正反対です。
    こうした矛盾を、国や厚労省から都道府県へと責任を移し、厚労省が矢面に立つことを回避する狙いです。保険あって「医療や介護なし」の切り札です(つづく)
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