2015年 新年のたたかう方針について

(2015年01月13日)

  部落解放同盟全国連合会 書記長 中田潔
安倍政権の反動政治と対決する部落解放運動へ
    新年明けましておめでとうございます。 昨年、突然の衆議院の解散総選挙は、安倍自公政権の圧勝という結果になりました。改選国会議員の約7割弱が「集団的自衛権の行 「新たな挑戦」の継続を訴えた昨年の23回大会 使容認」勢力と言われ、安倍政権は本格的に憲法改悪攻撃をさらに強引にすすめてくるに違いありません。しかし、だからと言ってそう簡単に安倍政権の思いどうりには進むはずがありません。なによりも今回の選挙は、戦後最低の投票率で、5割弱の人たちが投票に行かなかったのですから、国民の支持を得たとは言えません。フクシマの教訓をないがしろにした、安倍政権が進める原発再稼働においても6割を超える人々が反対をしています。原 発をなくそうという意見も8割を超えています。さらに沖縄県での衆議院選では、基地建設推進を掲げる自民党候補が比例で復活したものの、小選挙区では、全員落選したではありませんか。辺野古への基地建設を争点に県知事選に続いての大敗北です。民主党の自民党化と既成野党のだらしなさが小選挙区制のもとで、安倍政権を圧勝させただけであり、私たちが負けたわけではありません。
    安倍政権の唯一の人気取りが「アベノミクス」という景気対策と財政再建ですが、決して新しい考え方ではありません。歴代自民党政権の手法と変わりはなく大規模な公共事業の投資と借金。その穴埋めを介護や医療の負担増と、年金の切り下げ等、社会保障の切り捨てと消費増税でまかなうというものです。わずかに、求人倍率が上がったといっても非正規職が大半であり、「大企業のおこぼれでそのうち給料が上がる」と嘘に騙されている間に格差はますますひどくなります。大資本が肥え太り民衆は、その犠牲にされるということです。
    そもそも安倍政権は、大資本の番犬であり大資本の利益を守るためには、外国との戦争もやりかねません。そのためには、ナショナリズムを煽り人権を抑圧し、いつでも戦争の出来る国にしようと企んでいるのが安倍政権の本当の姿です。
    部落解放運動の困難さ、厳しさは、ここに原因がありますから反動政治との闘いが大きな柱とならなければなりません。安倍長期政権を許さず諸反動攻撃と闘い抜きましょう。
村の決起と労働者との共同闘争の拡大で狭山勝利を!
    そのうえで部落解放運動全体の再生と全国連の飛躍をかけて、本年の闘う課題を確認しましょう。
    課題の第一は、狭山第三次再審闘争の現局面をしっかりと踏まえ、昨年を上回る力で闘わなければならないと言うことです。一月末には、21回目の三者協議が開かれようとしています。これまで以上に証拠開示が焦点化することになります。東京高検は、これまでの証拠開示を小出しにするだけで、裁判所の「うながし」にも応じない頑なな姿勢を崩しておりません。「証拠リスト」の開示にも頑強に抵抗し、弁護団の開示要求をとことん妨害しているのです。一方、東京高裁も検察側の卑劣な態度に毅然として臨まず開示されたわずかな証拠から無実を明らかにした新証拠、新鑑定書に対し事実調べや証人尋問すら行おうとしていません。
    確かに私たちの闘いは、早期棄却攻撃を粉砕しつつ「開かずの門」と言われてきた困難な再審闘争で、わずかではあるが勝利の一筋の光を感じるところまで来ましたが決して楽観できるものではありません。証拠隠しをつづける東京高検、新証拠、新事実に向き合おうとしない東京高裁をさらに追い詰めていくためには、波状的要請行動の闘いによる部落内での立ち上がりをさらに拡大すること、共同闘争としての狭山闘争のすそ野の広がりにもこれまで以上に力を注ぎ労働者、民衆の共同闘争を発展させることが重要です。
寝屋川市議選に勝利しよう 「新たな挑戦」の推進を!
    課題の第二は、きむら選挙闘争に何としても勝利するために奮闘しようと言うことです。
    きむら選挙は確かに大阪を軸にした関西の闘いではあります 4年前の雪辱へたたかう きむら秀幸中執 が、全国的な課題として闘うことが重要だと考えます。昨年の衆議院選挙では安倍、自公政権が圧勝しましたが、安倍政権は、憲法改悪に向かって本性をむき出しにしてくるでしょう。4月統一地方選挙は、この安倍政権に対して、県知事選に勝利した沖縄県民の基地反対の心、原発の再稼働に反対するフクシマをはじめ全国各地で闘う人々の安倍政権に反対の意思を示す民衆行動の場であり一つの政治決戦としての意味があります。全国連は、その一翼を担って具体的に、寝屋川市議選の場で闘います。
    さらに、きむら選挙は「新たな挑戦」そのものであります。とくに寝屋川支部にとっては、「まちづくり」という団地、平地(一軒家)双方にかけられた大問題に対して、もう一度村全体の新たな団結を一からつくりなおし村の力関係の大転換を実現し住民の声を社会的影響力を持ったものに組織する闘いでもあります。
    寝屋川支部は、これまでも果敢に闘ってきたけれども、この選挙闘争を通じて大衆的支部に脱皮することが求められています。選挙まであと三カ月です。きむら君と寝屋川支部は、猛然とこの課題に取り組んでいます。選挙戦に勝利することは決して生易しいことではありませんが、全国大会を挟んでの前半の最大の闘いとして、全国の力できむら選挙に絶対に勝利しましょう。
住宅闘争を軸に、生活と権利を守ろう!
    課題の第三は、住宅闘争を軸に生活と権利を守る闘いです。
    これまでの行政による改良住宅、同和住宅からの追い出しの本質は、家賃値上げ反対闘争に対する報復と、部落そのものの解体と部落住民の地区からの追い出し、分散によって解放運動の存在そのものを否定しようとするものです。とくに西宮、奈良での追い出し攻撃の実態は、これまでの同和行政の建前すら踏みにじり、「部落差別は関係ない」と、まるで部落差別が存在しないかのような行政の振る舞いは、権力による部落差別の煽動であり差別そのものであります。
    部落住民のために建設された改良、同和向け公営住宅で、明け渡しを強制された空き家は、西宮市では公募にかけられ低家賃の市営住宅として住宅困窮者に再分配され、行政の貧弱な「福祉」に利用されています。奈良市では強制執行された空き家が放置され、地区内の住民の入居希望にも一切受け付けず、「建ち枯れる」のを待っているかのように放置されています。この二つの市の対応に違いはありますが、共通している点は、部落問題の解決に何の責任も取ろうとしないことです。しかも無意識ではなく意識的なのです。このような現象は、決して二市だけではなく地対協攻撃の現れとしてしっかりと見なければなりません。
    追い出されてもなお村の近くに住居を構え悔しさと、生活が大変な中で「絶対に負けない」と支部の旗を守る芦原のきょうだいを全力で支え、西宮市糾弾、住宅奪還を共に闘う事を去年に引き続いて取り組んでいくことが大事です。
    奈良市でも去年に引き続いて追い出し攻撃との闘いの渦中にあります。さらに改良住宅への新たな応能応益家賃制度の導入の策動の中で奈良市内の9部落のうち5部落の大同団結を実現し、力ある大衆闘争の復権の可能性が生まれています。西之阪婦人部結成から奈良市内の部落ぐるみの大衆決起の始まりは、全国連の新たな境地を開くことになります。
被爆70年の8・6広島へ! 反戦・反核闘争の強化を
    第四の課題は、反戦、反核の共同闘争を重視して闘う必要があります。
    本年は敗戦から70年の節目の年となります。安倍政権による憲法改悪と戦争国家化がより強められようとする中で、これまで以上の運動が求められています。青年部による毎年の沖縄連帯行動や原発再稼働反対の闘いも積極的に取り組む必要があります。
    そのうえで特に重視していきたいのは全国連広島支部が中心となる8・6ヒロシマの取り組みです。被爆から70年をむかえ、被爆者の高齢化と被爆証言の抹殺攻撃に対して広島県の最大の部落である福島町の解放区を目指した取り組みが提起されています。これまでの8・6の成果を継承し福島町を主会場に住民の反戦、反核、反差別の声を大きなものにしようとするものです。全国各地から創意ある取り組みをしましょう。
    これらの課題のほかにも取り組まなければならない事はたくさんあります。新年早々から全力で闘う情勢と課題の多い年となりましたが本年もしっかりと闘いましょう。

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