川内原発の再稼働を許すな!

(2014年11月18日)

  鹿児島県知事の「地元合意」を弾劾する!
    鹿児島県の伊藤知事は、11月7日、臨時議会で九州電力・川内原発の再稼働に合意を与えました。福島原発事故の被害の大きさ、そして全国の圧倒的多数の人々の再稼働反対、原発廃止の声を踏みにじりました。しかも、近いとされる火山の噴火への対策などかんがえられていません。安倍政権の原発推進ー核開発の意向をうけての暴挙です。私たちは絶対に許すことはできません。原発の再稼働など、百害あって一利なしです。私たちは全力で再稼働を阻止します。このたたかいの一助として、10・26狭山中央集会でのたんぽぽ舎・山崎久隆さんの特別講演の要旨を掲載します。
【10・26狭山中央集会 たんぽぽ舎・山崎久隆さんの講演より】
人格権を侵害する原発は認められない

    まず、川内原発に限らず日本にあるすべての原発が再稼働できる状態ではない。世界から原発をなくしていかなければならない。その根拠は何か。
    昨年、大飯原発の再稼働に対する住民訴訟がおこなわれ、日本国憲法に定める人格権を侵害する原発の再稼働は認められないという判決が出ている。地裁判決なのでまだ確定はしていないけれど、私たち反対運動が長年にわたって主張してきた「原発とは何か」という問いに対して司法の場で一つの結論が出た。 10・26狭山中央集会で特別講演を行う山崎久隆さん この結論を今後も維持していくべく裁判闘争をたたかっています。北は泊から南は川内まで日本のほとんどの原発に対して再稼働または差し止め訴訟がたたかわれている。そのなかのひとつで勝訴判決が勝ち取られた。人格権は普遍的真理であり、人間である限りすべての人に認められる権利です。経済的行為の一つに過ぎない原発の稼働やそれにともなう廃棄物によって人格権が侵されることは認められないとなれば、1原発にとどまらず世界中で認められないことになる。日本の判決がアメリカやヨーロッパに影響を及ぼすことはないが、人格権は地球上に住むすべての人々に与えられている権利だから、その真理に基づいて原発の存在を認めないたたかいがこれからは必要になってくる、ということです。
再稼働までに、いくつもの山
    今年の9月で日本はすべての原発が止まって丸1年を過ぎた。これをこのまま続けられれば政府が何と言おうとも、事実上の脱原発を勝ち取ったことになる。脱原発を宣言しない、現実を追認するという曖昧な形だけれど構わない。なぜなら2~3年も続けば原子力産業が衰退していくからだ。いくらお金があっても仕事がなければ産業としては成り立たない。それを追求できたら私たちの勝利は自ずと近づいてくる。これへの敵の反撃が川内原発の再稼働だ。
    川内原発再稼働への流れはどうなっているのか。5月10日に審査書(正式名称は原子炉設置変更許可申請書)決定。安全の「あ」の字もない。つぎに計画書では9月末に工事許可申請書となっている。新安全基準に合格しても、すぐには再稼働できない。申請した工事を行わなければならないし、その工事の結果をまた原子力規制委員会に審査してもらわなければならない。しかし、まだ工事許可申請書の審査が終わっていなくて早くても11月末までかかる。それが終わってようやく工事。そして1~2ヶ月後に使用前検査が行われる。飛行機や電車など大量の乗客を乗せたり安全性が重大なものは検査に合格しなければ使用できない。
新たな安全神話をねつ造
    問題は地元同意手続。鹿児島県や薩摩川内市(その廻りにもたくさん自治体があるが対象外)の同意が必要。これが使用前検査も終わってから「どうですか」なら、まだ話が分かる。それが現在、10月から11月にかけて県議会と市議会で同意手続きを強引に進めようとしている。原子力規制委員会の田中委員長は「基準の適合性は見ているが、安全だとは私は申し上げません」と言い、安倍首相は「安全性が出れば立地自治体のご理解を得ながら…」と言っている。薩摩川内市長は「国が審査した基準ですから安全だと思っております」と。これを見てどう思われますか。これは新たな安全神話ではありませんか。安全なんて誰も保障していないのに、安全だと思うしかない。思うとは単なる信仰だから安全神話です。福島原発事故を経てなお安全神話がまったく変わっていないから恐ろしい。
周囲にも直下にも断層が
    地震活動の評価はどのように行われるのか。
    まず地震。川内原発にどの程度の地震が来るのかが審査された。3・11まえの評価の540を620に引き上げた。しかし想定されている地震のマグニチュードは6クラス。中規模地震しか想定していない。ここは地震多発地帯です。97年5月にも鹿児島県西部で地震が起きている。断層図を見てください。甑(こしき)断層、市来(いちき)断層、出水(いづみ)断層など川内原発の周辺にはたくさんの断層がある。原発は川内川の河口付近にあり、断層の延長線上に位置している。地質調査結果を書き込んだ地図にもたくさんの断層帯と破砕帯があり、原発の直下を通っている。問題は、これが活断層かどうか。活断層だったら原発は動かせないので九州電力は活断層ではないとしている。しかし、もし活断層ではなかったとしても地震によって地盤がずれる可能性は高い。ずれれば配管が裂けたり破水したり、配線が切れて電源が動かなくなったりする。柏崎原発も活断層ではないが敷地内 の地盤がずれている。だから敷地内を断層が通っている川内原発は非常に危険である。
30年以内に大噴火の可能性
    次に噴火。南九州では火山噴火も多発する。古くは2万5千年前、桜島を含む姶良カルデラの破局噴火によって南九州の文明は消滅し、縄文遺跡は残っていない。噴火にともなう火砕流によってもたらされた火山灰が、川内原発の南2・8キロでは高さ10メートルの壁になって迫っている。桜島は1914年にも大噴火(大正噴火)しているし、原子力規制委員会が定めた基準である運用期限の30年以内に噴火する可能性がある火山が30以上もある。だから川内原発は安全対策としてモニタリングで危険性を察知したら使用済み燃料棒を担いで逃げることになっている。しかし、その具体的な方法は何も示されていない。九州電力の社内規定にあるそうだが一般公開されていない。
10センチの火山灰で第2のフクシマ
    朝日新聞が火山学者にアンケートしたところ、噴火で1番危ない原発として川内が上がっている。回答した学者の半数以上が再稼働に反対している。桜島がいつ噴火するかは専門家でも予想できないからだ。史料によると桜島の噴火の間隔は短くなってきている。西暦765年の噴火から約700年後、次は約300年後、その次は132年後で、その最後の噴火から現在は100年たっている。原発の運用期限である30年以内に大噴火する可能性は高い。大正噴火規模の場合、川内原発付近でも火山灰が10センチ以上も降る。3センチ積もるだけで車両通行不可になる。10センチも降って原発が大丈夫なのか。送電線にたくさんの火山灰が付着すると重さで垂れ下がり鉄柱にくっついて漏電する。そうなると原発は外部電源を失う。非常用ディーゼル発電も火山灰が降ってくる中で機能するかどうか分からない。海面にも大量の軽石が浮いて海水が吸い上げられなくなる。福島第1と全く同じ現象が、火山の噴火によって起こりうる。川内原発が爆発すれば飛び散る放射能で西日本が壊滅する。
フクシマをくりかえすな!
    3日前のNHKニュースです。えびの高原の火山噴火の可能性が高まってきている。新燃岳も噴火するかもしれない。霧島山系に火山活動の活性化にともなう警告がだされた。川内原発から40キロ位しか離れていない。川内原発は、原子力規制委員会が定めた基準によっても、 すでに運転中止の状態にある。福島第1と同じ事態をもう一度川内原発で起こすわけにはいかない。何としても差し止めていかなければならない。
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