取り調べ録音テープを分析した浜田鑑定(1)-狭山再審闘争

(2014年10月27日)

  「自白」調書は誘導によって作られた
    浜田鑑定は2010年5月に開示された取り調べ録音テープ11本と活字化した(反訳)ものをもとにして「請求人取り調べ録音テープの心理学的分析」を行ったものです。
    たとえば、被害者の遺体をいったん芋穴に逆さづりしていたものを農道の穴に運ぶところの話は、6月25日付警察側調書では「それから私はYさんの身体を引きあげると自分のもものところへ押しつけて持ちあげ、Yちゃんの頭を右の方にして運び、お茶の木の反対の麦畑の方の側から穴の中へYちゃんを落としました」となっている。
   しかしこの部分の録音テープでは、石川さんははじめ、芋穴から農道の穴まで「引きずって」運んだと取調官がなんど聞いても繰り返しています。
    取調官は「そらあなあ、よくな、考えて話しなさいよ。こういうふうに、えー、これが穴蔵か。な。これが穴蔵。こっちからか?」と具体的場面をイメージさせた上で「今言うようにな、あー、そういったふうに、こう、引きずってきたんだから、背中へ泥が***(テープがよく聞き取れないところ)じゃ、」と遺体に引きずったあとがないことを指摘され、石川さんは「抱いてきたです、わかんねえ。」と突然自白の中身が変わっています。取調官は「そういうふうに言われても私は困るんだよ」といいつつ、むしろ「抱いてきた」と繰り返す石川さんに「いいでしょう。そこまで言うんじゃ」とこの場面の調書が前述のように固められました。
    犯行を自白したにもかかわらず客観的状況とあわないものが数多くあります。次号では具体的なやりとりを見てみます。
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