辺野古に基地はつくらせない 山城博治さんの講演

(2014年05月26日)

  沖縄戦の歴史をくり返させない!
    今日は、皆さんと連帯して戦争と差別、搾取と収奪のない世の中を願いながら、沖縄の現状を報告してまいります。
    辺野古に象徴されるように沖縄は今、安倍内閣が進める戦争政策の最前線に立たされている。前の野田内閣によって尖閣諸島が国有化されたことによって、日中関係は1972年の国交回復以前の状態に戻ってしまった。尖閣の近海は、まさに一触即発の状態におちいろう 全国連第23回全国大会で講演する山城博治・沖縄平和運動センター議長 としている。政府はそれを良しとして南西諸島全域に基地をはりめぐらせる島しょ防衛を進めようとしている。とりわけ台湾に近い先島諸島に自衛隊基地が作られようとし、日中戦争の最前線にされようとしている。同時に、戦後69年におよぶ米軍基地がさらに強化されようとしている。その象徴が辺野古です。 1945年4月にはじまった沖縄戦で、沖縄の住民が一人残らず地獄の戦場に投げ出されたのは日本政府の命令によるものです。その戦争が再びやってくるという恐怖が、私たちにはあります。安倍内閣はもう一度沖縄を盾に戦争をやりかねない。もう一度沖縄戦を強制されかねない。権力者の意のままにさせないためには、今、声をあげなければならない。それが沖縄のおかれている現実です。腹をくくって闘わなければなりません。 知事の裏切りを許さず
    辺野古に基地を作らせないために、この間、県民が大同団結して闘ってきました。県知事も国会議員のすべて41市町村の首長たちがみんなが雁首をそろえて一昨年、2012年9月に10万人の県民大会をひらいた。東京にみんなで上京して平成の大一揆と呼ばれる政府への請願行動を行った。日比谷公園に5000名の労働者市民が集まって会を開いた。右翼がきて「沖縄のどぶネズミ、反日勢力かえれ」とヤジを飛ばしてきた。政府からの圧力を感じた。
    ところが、昨年12月27日に県知事が転んだ。基地の県内移設を容認する、辺野古基地建設を容認するという事態に陥った。今まで県内移設に反対してきた県知事が裏切った。
    この国の民主主義、選挙はペテンなのか。勝った時の選挙公約を反対の方向に転じるのであれば一旦辞職すべきだ。戦争か平和かが問われた選挙で、戦争への道はとらない、基地建設は許さないと公約して当選した知事が政府の圧力に屈して自衛隊基地、米軍基地建設にカジを切るのならば一度辞めるべきだ、というのが私たちの要求です。それが民主主義の最低限のルールです。政府の圧力に屈した政治家たちを許さず、自分たちの要求を堂々と自らの道を歩んでいきたいと思います。
権力の脅しに屈せず、命をかけてたたかう
    新年度から政府は辺野古基地建設で米軍に提供した用地や提供水域に入って反対行動をした者を刑事特別法でしょっぴく、と脅しをかけている。そういう情況で5月に入札が行われ、6月から実際の基地建設がはじまる。われわれは全力を尽くして基地建設を許さない行動に立ちます。政府はさまざまな手で県民をだまし、刑事特別法、公務執行妨害あるいは威力業務妨害で逮捕するぞと脅しているが、止めるわけにはいきません。権力者たちの横暴に黙っていては、必ず未来はありません。私たちはかつての戦争で地獄を味わいました。もう一度そういうことを政府がやろうとするのならば、私たちは命をかけてたたかうよりありません。
    今年11月に県知事選挙を控えています。もう一度しっかりと県民の思いを伝えて、沖縄の思いを支える人を県知事に選んで陣形を作り直して沖縄丸ごと政府とぶつかっていこう、と決意を新たにしています。この県知事選挙は、間違いなく全国の課題と直結しています。人々の命と暮らしを守るために、戦争の道へと突き進む安倍内閣と対決し、政府を引き留めてこの国が憲法を守って平和を守る国でありつづけられるように訴えていきます。全国の平和と人権を守る人々と連帯しながら11月県知事選挙を闘い、世界中で戦争に入ろうとしている政治家たちを止めようと思います。
    1月29日に名護市長選挙がありました。政府から凄まじい圧力がある中で「名護市のことは名護市が決める」と言って敢然と声をあげ稲嶺さんを市民は圧倒的な票差で選び、再選させました。この力を11月に向けてさらに大きくし、カネに屈しない、権力に屈しない、そういう政治勢力を作って全国の皆さんに勇気を発信していきたい、と私たちは考えています。
憲法改悪を許すな! 安倍政権を倒そう
    今朝駅前で配っているビラを見てびっくりしました。「従軍慰安婦はなかった。強制連行はウソだ。反日のためにする宣伝だ」という内容です。こういうビラが堂々とまかれるような時代になってきたんだ、と感じずにはおれません。
    この人たちが最初にやったのは2007年に高校歴史教科書で「沖縄の集団自決に日本軍は関与しなかった。削除せよ」という改竄です。第1次安倍内閣の時です。その時、沖縄は総結集して15万人の県民大会を開いて沖縄戦の歴史改竄は許されないと声をあげ政府と対峙しました。しかし残念ながら教科書は「軍の関与なし」と書き換えられた。沖縄の人々が自ら自分の子、孫、祖父や祖母を手にかけた歴史的事実を安倍内閣によって消された。今度は、「強制連行されてきた慰安婦はいなかった。自ら商売のためにきた。日本をおとしめる反日行為だ。」と。信じられない!
    このようにして事実が消し去られていく。そして都合の良いことだけが言われる。「日本はアジア侵略などしたことはない、アジア解放のために闘ったんだ。天皇陛下はその先頭にたったんだ」こう言うに決まっている。私たちは、またぞろ、こういう人たちの使い手になるわけにはいかない。そのために沖縄で声をあげつづけるつもりです。そのことを肝に銘じながら全国を回りたいと思っています。
    2年後に衆参同時選挙がやってきます。この時、ぼろ負けしたら必ず憲法が変えられる。安倍内閣に3分の2以上の議席を与えれば、必ず憲法を変えるでしょう。そして多くの弾圧立法をしてくるでしょう。そうなってからでは遅いんです。戦争へ向かってひた走る内閣を止めるためには、なんとしても3分の1以上の議席を取らなければならない。戦争反対、原発も反対、差別反対、労働者を使い捨てにする政策反対、自らの生活を守るためにこの選挙に勝たなければならない。政治を私たちの手に取り戻すしかない。安倍内閣を倒すしかない。それを呼びかけながら運動していきましょう。
死んでいい命、差別されていい命はない!
    沖縄は1607年に丸ごと薩摩に併合されてから、この国の差別と国内植民地の位置に甘んじてきました。今でもそうです。つねに差別と犠牲の対象にある。私たちはこの国の内実をしっかりと見つめ、沖縄から平和を発信していきます。
    立派な日本人にしてくれ、とは言いません。琉球人で当たり前。この位置から平和を問い、人々の暮らしを守っていきたい。差別されつづけるこの位置で、なぜ言われなき差別を受けるのか、その権力による不条理をただしながら向かうべき道に進もうではありませんか。人々は皆平等です。死んでいい命なんてないはずです。差別されていい命なんてない! このことを怒りを込めて訴えていきます。沖縄はこれからおこるであろう政府の圧力と向きあっていきます。沖縄を丸ごと差別し戦争の犠牲にして恥とも思わない、一つの痛みも感じない連中と対決しながら、平和を発信しつづけてまいりたいと思います。
    先日、石川一雄さんとご一緒しました。30年以上も獄中で闘い、今なお半世紀も闘い続けている。個人のレベルで、そのような闘いができるだろうか、と思わずにはいられませんでした。是非、一人ひとりが力強く闘って参りましょう。私も沖縄の現場からずっと声をあげています。しょっちゅう警察にしょっ引かれます。ゲート前で阻止闘争を闘った時、総領事ケビン・メアから「警備員に暴力をふるった」と訴えられました。冗談じゃない。やれるなら、やってみろ。堂々と裁判所でやり合おうじゃないか。
    反対運動をつぶすためなら、この国は何をするかわかりません。何でもやってきます。しかし、たじろいではなりません。毅然として闘っていきましょう。自分たちの命と暮らしを守るためです。「命どぅ宝」。そのために全力を尽くしてまいりたいと思います。
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