西宮・芦原からの20戸50人の追い出しを許すな!

(2014年03月02日)

  上告棄却決定を弾劾する! 芦原地区自治会連合
(兵庫・西宮芦原地区住民に対する住宅追い出しを認める最高裁の上告棄却決定に対し、芦原地区自治会連合が弾劾声明を発表しました。全文を掲載します)
はじめに
    2014年1月16日、最高裁判所は私たちの上告を棄却しました。上告からわずか128日の決定は、多くの関係者が「これまで経験したことがない」と言う早さです。時あたかも最高裁に和解勧告を出させるための上申書の文面が確定し、さあ最高裁宛に郵便 住宅追い出しを許さない! 西宮市に申し入れ 最高裁の反動決定を許さずたたかいぬく(2・5市役所で) で出そうとしていた矢先のことでした。
    長いたたかいで、寝たきりになり自分では食事をとれない人、名義人はガンで手術を受け働けなくなり、妻が10万円に満たない収入で家計・通院費を支えてる人、長引く不況で仕事が激減し、貯金を切り崩すことでなんとか生活を維持している人、月の年金は3万円強という今年92才になる一人暮らしの人、ケガや発病によって退職を余儀なくされ、貯金を切り崩すことでなんとか生活している人、姉が脳梗塞で半身不随になり、自分たちの住む団地に呼び寄せ、ようやく手厚い介護ができるようになった矢先の人、子どもが高校生になっても収入が20万円に満たない母子家庭、定年退職し、貯金を切り崩す生活をしている人、夫婦とも2級の障害者手帳を持っている世帯、障がいを持つ叔父を扶養しながら母も住宅からの退去を求められている人、生活保護費と年金あわせて月8万円の収入で生活している人・・・。
    西宮市はこれらの住民を問答無用に追い出そうというのか! 住民一人ひとりの生活に想いをはせることすらせず、路頭に放り出す判決を良しとする最高裁というところに血も涙もないのか! あらためて怒りがわいてきます。
家賃値上げ反対のたたかいの中間的総括
    私たちは今、2度の最高裁決定をはね返して、さらに前に進もうとしていることを誇りに思います。力を合わせて、なんとしても住宅からの強制追い出しをやめさせましょう。
    わたしたちは応能応益家賃と、1997(平成9)年から17年間にわたってたたかいぬいてきました。部落差別を生み出してきた国の責任で部落差別を撤廃するためにはじめられた同和対策事業のうち、改良住宅 団結しぬくことを誓い団結ガンバロー を建設するなど住環境の整備は非常に大きな位置を占めていました。部落差別の撤廃が国の責任であるからこそ、予算上も特別な措置が執られ、改良住宅は一律低家賃制度が維持されてきました。応能応益家賃は、その家賃制度を根本から変えてしまい、過去に遡って同和対策をなきものにしようとする大改悪であったため、全国で反対運動が巻き起こりました。全国一斉に供託運動がはじまり、政策の大本である国土交通省へも乗り込み、ぐいぐいと攻め込むたたかいを繰り拡げてきました。
    芦原と番町では一審で「値上げは違法」との判決をもぎりとりました。この画期的な判決は訟務検事(検察官や裁判官が国の代理人を務める制度)を送り込むという国の圧力によってひっくり返されましたが、同和住宅への応能応益家賃の適用はやはり間違っていると今でも私たちは考えます。
    全国の同和(改良)住宅の現状を見て下さい。働きざかりの世代やわずかばかり所得が高い世帯はムラから出て行かざるを得ず、同和対策住宅としての位置づけをやめ、一般募集をかけた結果、隣の人がなにをしている人なのかすらわからない現状も多くなっています。古くなっても建て替えは戸数を減らして別の場所に建て、もとの団地はつぶしてしまい更地にして、別用途で使用したり売却したりするなどということが全国の自治体でほぼ横並びで行われています。
    応能応益家賃は部落差別であり、とうてい認められるものではないこと、そしてそれに対して自分たちがムラに住む権利をかけてたたかいに立ち上がり、たたかってきたことは圧倒的に正しかったと、やはり私たちは総括します。
    この17年間、共にたたかってこられた供託会員のみなさん、および全国の仲間には心から敬意を表します。
    芦原でも当初、供託者は130名を数えました。しかし、「親戚一同に取り囲まれるようにして止めるように言われた。勘弁してくれ」などの有形無形の圧力に負けることなく守ってきた団結とたたかいは本当にすごいと思います。
    住む住宅が奪われるかもしれない、ということをかけて17年間もたたかいを継続すること自体、部落解放運動の歴史からいっても特筆すべきたたか 住民の生活実態を西宮市につきつける いを私たちはたたかってきたと言っていいと思います。 130名のうち、苦しいながらもなんとかお金で解決できる人は、西宮市が「滞納金を三年以内で全額支払え」と言ってきたときなど、それぞれの事情に応じて解決をしてきました。つまり今、最後までたたかっている住民は、たたかって勝つしか生活の展望すら見いだせない住民がほとんどです。強制追い出しなど絶対に許されないのです。
強制追い出し反対の署名を圧倒的に集中してください
    最高裁の決定をもって、応能応益家賃とのたたかいは終わるのでしょうか? 断じて否です。特に全国的な同和(改良)住宅の建て替えをどう迎え撃つのかはこれから大問題になっていくでしょう。
    何よりも、住宅からの強制追い出しを、なんとしてもやめさせなければなりません。阪神大震災での教訓をひもとくまでもなく、高齢者にとって転居は、それ自体が命にかかわる大問題です。ましてや強制追い出しなど許されるはずがありません。20世帯50人の住宅からの強制追い出しをやめさせるという前人未踏ともいうべきたたかいに、力をあわせてたちあがりましょう。
    裁判所にわたしたちの生活をどうこうされてたまるか! わたしたちは今、この怒りで一杯です。たたかいは西宮市とのせめぎ合いという原点にもどりました。トコトン団結してわたしたちの生きる権利を守りぬいていきましょう! わたしたちは今、この決意にあふれています。
    棄却決定の報を聞き、ただちに全国から、たいへん心暖まる激励が寄せられました。最後の一人の解決まで、一人はみんなのため、みんなは一人のため、団結してたたかいましょう。「強制追い出しに反対する署名」の集中を心から呼びかけます。
芦原地区で住民集会
【芦原支部】
最高裁の許せない棄却決定を受け芦原地区の供託者は1月26日(日)に改良住宅10号棟集会室で緊急集会を行いました。司会を梶野さん、議案の提案を東口さんがつとめました。集会では、「そもそも裁判所ということころは、私たちの生活のことなどなんにも考えていない」「力づくでふるさとを奪うなど許されない」など怒りの意見が表明されました。住宅が奪われるかもしれないという不安についても、みんなで口々に意見をだしあいました。
    当面の方針として、2月5日(水)に西宮市役所都市局に対して要請行動を行うことと、「強制追い出し絶対反対」の署名を芦原全戸から全国に拡げ、西宮市議会に届けることを決定しました。行政交渉を経て、もういちど2月の第2週に集まることを団結ガンバローで確認しました。
3月に再度の交渉を約束させるー西宮市都市局と交渉
【芦原支部】
1月26日(日)の緊急集会の決定を受け2月5日(水)、芦原地区の供託者は西宮市都市局に押しかけました。同和住宅家賃値上げ反対運動を支える会の家会長や関西各地からも仲間が、我がこととしてかけつけてくれました。
    対応に出たのは、西宮市の部長と課長。東口・自治連会長がまず要望書を読み上げ、① これからどのような手続きをとるつもりなのか、② 個々人の住民の実情についてどのように認識しているのか、③ 西宮市の公表されている要綱の解釈について、④ 強制追い出しをせず話い合いで解決をすることの四点の要望にそって討議を進めました。芦原地区住民からも「今いる家から出て行けと言われたら生きていけない」「なぜ和解すら拒否するのか」と口々に抗議を叩きつけました。
    ところが部長は、具体的な追及に入るやいなや「今ここで、個別具体的な回答することは無理がある。できない」、「要望書に書いてあるとおり、2月末日までに文書にて回答する」と回答。「それまでに強制追い出しをするのか」との住民の追及に対して、「2月末日までに何かをするということはない」と明言し、次回3月末に再度交渉の場をもつことを約束しました。
    交渉終了後、芦原の住民たちは口々に関西各地の仲間の応援をたいへん心強く思っている感想を述べました。交渉の力でいったん大きく押しかえしました。住民の生活実態でトコトン勝負して、なんとしても勝利をこじ開けましょう。署名の圧倒的な集中を心から呼びかけます。
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