「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」を観て

(2014年01月19日)

 

奈良・北浦裕樹久
   
ネットなどを通じて長い間PRされ、一部マスコミでも取り上げられてきた「新しい狭山映画」がようやく完成しました。ということで、11月に大阪で開催された上映会に行ってきました。
    観た人それぞれとらえ方はあると思います。文字・文 上映運動を成功させ再審の実現を 章にすると良し悪しは別としてそれが、まだ観ていない人への先入観になってしまうような気がするので、あえて映画についての個人的な感想は語らないようにします。
    ただ、言えることは「みんな必ず観たほうがいい」「若い世代や狭山を知らない層にもぜひ観てほしい」ということです。
    内容は、集会やデモなど「活動家」中心の、そのための記録映画というものではありません。また、昔の『狭山の黒い雨』『造花の判決』や、全国連が作った紙芝居映画『私は無実!』のようなものでもありません。石川さん夫婦、兄の六造さん夫婦の私生活を中心とした3年間の(130時間のフィルムを105分にまとめた)ドキュメンタリーです。もちろん事件当時の様子、再審闘争の経過、警察・検察・裁判所の悪行等々も織り込まれています。
    上映後(これは各地で必ずあるらしいのですが)キム・ソンウン監督の話がありました。彼は大阪・鶴橋出身。でも「運動経験」がなく、狭山の事もつい最近までほとんど知らなかったそうです。(話の内容は省略しますが色々とおもしろいです)特に「運動色やかたよりのある映画にはしたくなかった、というのが一番大きかった」と語っておられました。

    しかし、冤罪事件をテーマにした映画『それでもボクはやってない』の周防正行監督との対談でそう言うと周防監督に「僕もそう思ってあの映画を撮った。けど上映され、ヒットして、人々に与えた影響を考えると大きな運動の映画になった。この映画も立派な運動の映画ですよ」と言われたとのこと。
    私たちはここ何年か、テレビ局が特集を組んだ映像を録画し、それを集会や学習で用いてきました。それしかないし、しかたがありません。映画でいうと、小名木証言を取り上げた『18年目の新証言』から実に32年ぶりの本格的なものなので、待ちに待ったという人もきっと多いはずです。
    全国的なスケジュールはネットで公開されています。ぜひ、各地の上映会に一人でも多く足を運んでいただくようおすすめします。また、自主的な上映会を企画し、文字通り運動として広げていくべきだとも思いました。
▲このページのトップにもどる