「新たな挑戦」で陣形と闘争の強化・拡大へ
【部落解放同盟全国連合会・奈良県委員会】同和住宅家賃の一方的な値上げ、応能応益制度の導入、部落大
衆の生活破壊。この15年にも及ぶ一連の攻撃に真っ向から対決し、「同住連運動」の先頭で闘ってきたきょうだいを狙い撃ちしている国、行政、そして裁判所…。住宅闘争・生活防衛闘争は新しい段階に突入した。
先月号の速報に引き続き、奈良における同和住宅明け渡し強制執行「11・12抗議行動」のドキュメントレポートを紹介する。今後の闘いについても共に考えていきたい。
ドキュメント 11・12
▼朝7時30分ごろ。
西之阪集会所に大衆が続々と詰めかける。40人、50人、60人…。8時には大広間が満員となり廊下まで人があふれる。地元の住民を中心に、関西、関東、中四国、九州の仲間も合流してくる。怒りと熱気が充満する。同住連の事務局長であり、全国連の中央執行委員である大橋さん、そして家を取られる家族がお礼と決意をのべる。「きょうは朝早くから本当にありがとうございます。家をとられることへの悔しさは言葉には言い表せません
。ただ言えることは西之阪で闘い続けるということ。そして絶対に自分たちの家をとりもどすということです!」。駆けつけた参加者から割れんばかりの拍手が起こる。次々と激励・連帯のあいさつが続く。
全国連中央本部を代表して立った中田書記長は「西之阪で、自分たちの団結で生活と権利を守る新しい闘いをつくり出す第一歩としましょう!」と呼びかけた。
重要な意思統一点「激しい闘争が予想されるが、弾圧をさせず一人の逮捕者も出さない」「新しい闘いの出発点として怒りを爆発させ元気に貫徹する」ということを確認。
▼8時50分
全員で執行現場となる団地の前に移動。団地の正面には大阪のきょうだいや全国連婦人部の仲間が作ってくれた仲川市長を糾弾する特大の立て看板と横断幕が目を引く。掲示板やドアには無数の抗議の貼り紙。
トラメガで「我々の先輩が血と汗を流して建てさせ、かちとった我が家・住宅を奪う差別行政を許さず断固闘うぞ!」大きな声がムラじゅうに響き渡る。さらに地元住民が集まり出す。「抗議団」の数は80人を超えた。
▼9時過ぎ
部屋(団地の3階)に通じる棟の階段やエ
レベーターに支援者が陣取る。そうこうしている間に執行代理人と業者のトラックが4台やってきた。少し遅れて奈良市の職員3人がコソコソと様子を見にきた。続いて裁判所の執行官もやってきた。
大衆が詰め寄る。弾劾、怒号が飛び交う。「執行官は帰れー!」「我が家を奪うなー!」「生活破壊をやめろー!」「仲川市長糾弾―!」「差別行政を許さないぞー!」。シュプレヒコールの連呼。市の職員はムラの外の道路まで追いやられ、執行官にいたっては震え上がって警察に電話をするしまつ。待ってましたとばかりに私服警官が10名近くやってきた。しかし、警察官も弾劾。さらに住宅をめぐる経緯を説明。警官はやむなく後退、待機。3時間におよぶ抗議と弾劾が続く。支援に来てくれた壮年と青年がみんなに熱い飲み物を差し入れてくれた。喉を潤し、再度抗議のシュプレヒコール。住民らはあくまでも意気軒昂。強制執行徹底弾劾の声を上げ続けた。
結局、抗議行動が続くなか執行官らは警察に守られながら、部屋から一番遠い団地の南端の階段から入っていくのがやっと。鍵の付け替えや荷物の搬出作業は昼過ぎまでずれこんだ。その間、奈良市の職員は近づきもできずムラの外でずっと立たされたままだった。
▼午後1時
昼食をはさみ鋭気を養って、再び集会所に集合。全体で市役所に乗り込む。1階ロビーに集まる人々の顔は皆、元気満々。
まずは4階にある住宅課。西之阪の住民が最先頭に立って「課長、出てこい!」「責任者出てこい!」。住民たちの怒りが噴き出る。課長も係員も対応不能。騒ぎを聞きつけて「法令順守監察官」なる男がやってきた。「静かにしてください!」と言いつつ、つついたり恫喝的言辞を吐いて住民を挑発する。それが住民の怒りの火に油を注ぐ。そのまま全員5階へ上がり市長室前で弾劾行動。「市長、出てこい!」の連呼。職員がカラダを張ってみんなの入室を阻止する。市長は出てこな
い。監察官は大衆パワーに圧倒され、顔面蒼白になって後ずさり。約一時間の押し問答の末、やむなく「副市長が対応します。応接室を用意します。代表の方だけで…」と秘書課の課長。しかし「はい、わかりました」となるわけがない。「全員入れる部屋を用意せんかい!」という当然の要求でさらに抗議の声が大きくなる。監察官をはじめ幹部職員たちは右往左往。結局、全員が入れるよう1階にある会議室を用意させた。
▼2時30分
「請願行動」というかたちで津山副市長へ怒りをぶつける。請願書は実に30通を超え、口頭でも一人ひとりの追及が続く。市外から来てくれたきょうだいも副市長の前に立ち、差別行政を糾弾。請願行動は二時間におよんだ。
最後に、みんなの訴えを受けてひとこと回答を、と求められた副市長は「一言では表わせられないほど、みなさんのご意見、お気持ちを本当に重く受け止めました。横に秘書課長も記録しておりますし、たしかに市長に伝え、市としてしっかりと考えます」と応じ、回答書も出すことを約束した。
もちろん、これで終わりではない。自分たちの生活と権利を守っていく新たな大衆的団結をつくり出す闘いの始まりであり、そして何よりも奪われた我が家を奪い返す闘いの始まりである。
「新たな挑戦」を具体的に体現するたたかいとして
今後、国・行政の締め付け、弱者切り捨て、差別政策は強まりこそすれ弱まることはないと考えられます。だからこそ我々は今年4月の全国大会であらためて確認し合った「新たなる挑戦」の路線をもって闘争の発想・手法を転換しなければなりません。「橋下型」「仲川型」の首長が台頭し、ワンマン経営的な政策をゴリ押ししてくるわけですから、特に大衆の日常生活を防衛する分野ではそのことが強烈に求められます。
奈良では具体的に、① 西之阪や古市を中心にしながらも奈良市内10部落へ直接大胆に分け入り、大衆の怒りを組織していく。② 各会派の議員ともコンタクトを取り、仲川市政を変えるための「共同の取り組み」を模索する。③ 労働組合、反戦・平和を掲げる市民グループなど様々な団体と一致点を見出して共闘を強め拡大する―。ということを柱に運動を展開していきます。逆にとらえ返せば「新たに挑戦する」ということではなく、「あらためて挑戦する」ということだと言えます。
時間的余裕はあまりありません。全国各地で論議を巻き起こしましょう。きょうだいの意見や助言なども奈良に集中していただくことも重ねてお願い致します。
共にたたかった全国のきょうだいに感謝します西之阪支部長 大橋昌広
生活と権利を守る新たな村の団結をつくりだすぞ!
11月12日の奈良市による「追い出し強制執行抗議行動」に早朝から現地に駆けつけていただいた、全国のきょうだい・労働者・仲間のみなさん! 心から感謝とお礼を申し上げます。
そして、自分たちの力で生活と権利を守っていく新たな村の団結を作り出して、仲川市長による差別市政を必ずや打ち砕く事を宣言いたします。
当日、全国から駆けつけたきょうだい・仲間は、今期一番の冷え込みをもろともせず、怒りと糾弾の火柱に包まれた炎のような熱気で西之阪のムラを包み込みました。執行官は、警察に救援を求め、警察に守られながらこそこそと強制執行を進めようとしましたが、警察官は、住民の体を張った抗議行動に執行現場に近寄ることさえできず、奈良市の住宅課職員は、ムラに入るやいなや「差別行政糾弾! 差別者は出て行け!」と住民のシュプレヒコールにムラの外に追い出されて一歩もムラに入ることができません。100人近くの抗議行動の声は、奈良市内の玄関口の三条通まで響き渡りました。強制執行は、昼を過ぎても終わることができませんでした。昼からの抗議行動は、奈良市役所に移りました。仲川市長は、市長室に逃げ込み中で震えて出てきません。そして、法令遵守官が私たちの前に立ちはだかり、抗議行動を潰そうとしましたが、そんなデタラメは通用しません。「現役の警察官も怖ないのに警察やめたヤツのどこが怖いねん!」住民の怒りは頂点に達しました。とうとう副市長が市長の代理として請願行動を受けなければならなくなりました。次々に住民の怒りの声が副市長に叩きつけられ、30通以上の請願書が叩きつけられました。請願書の回答と今後の話し合いを約束させ、副市長から「皆様の思いを重く受け止め、市長にちゃんと伝えます。」と返答をさせました。闘いは、始まったばかりです。差別行政を徹底糾弾して、自分たちの生活と権利を守っていく新たな村の団結を作り出す闘いがはじまりました。団結ガンバロウ!
追い出しへの怒りの声
住民Aさん「大橋さんは、西之阪にとって絶対必要な人なんや! こんな仕打ちは許さんで!」
住民Bさん「仲川市長は、絶対許さん! お前に何がわかるんや! 元の家を返せ!」
住民Cさん「仲川市長だけやないで! 仲川のやり方をやめさせられへん他の職員も同罪や!」
住民Dさん「うちらは、トコトン闘うで! 仲川倒すまで絶対死なれへん!」
住民Eさん「これからもできることあったら言うてや! 自分が動けへんかっても友達や身内に言うからな」
東口博・同住連世話人「奈良の強制執行を目の当たりにして、憤りを感じました。強制執行は絶対に許せません。居住の権利を守ろう。仲川市長を皆の力で打倒だ!