今こそ事実調べを! 7月下旬の三者協議に向けて7・23要請行動、要請ハガキ、署名に取り組もう

(2013年07月12日)

  河合裁判長は現場検証を!
   
狭山再審に取り組む人なら、誰でも知っている「鴨居の上の万年筆」。二度の家宅捜索で発見されなかった「被害者のもの」とされる万年筆が、石川さんの自白によって鴨居の上から出てきたという話です。実際の鴨居と、その上に置かれた万年筆は衝撃的です。想像以上です。これが見えなかったなんてありえません。万年筆は警察によってしかけられたに決まっています。
    しかし、無期懲役の確定判決を下した寺尾裁判長や、その後再審請求を棄却してきたすべての裁判官は、この鴨居の上を「人目につきにくい場所だ」なんて言っています。だから「二度の家宅捜索で発見されなかったとしても不思議ではない」というのです。
    たった一人だけ、判決の中で「鴨居は人目につきやすい場所だ」と言った裁判官がいます。それは第一審で死刑判決を下した内田裁判長です。この裁判官は「そのためにかえって捜査の盲点になった」と言っているんです。冗談やないで!  なんでもありか!
    しかし、どうして内田裁判長だけが「人目につきやすい」と言ったのか。それにはちゃんと理由があります。内田裁判長だけは、現場検証をしているんです。実際に鴨居を見た内田裁判長は、それが人目につきにくいとは言えなかったのです。 かたや、寺尾やその後の裁判官は鴨居を見ていません。見もしないで「人目につきにくい」なんてデタラメなことを言っている。許し難い連中です。
     「現場を見もしないで判決が書けると思うなよ!」、河合裁判長に言いたい第一のことはこれです。
事実調べをしない裁判は裁判じゃない!
     怒りを通り越してあきれるとはこのことですが、寺尾裁判長とその後のすべての裁判官は、一個の証拠調べも、一人の証人尋問も行っていません。寺尾裁判長の前任の井波裁判長は、狭山差別裁判糾弾の闘いに押されて、死体に関する弁護側鑑定人の証人尋問をやると決定しました。ところが、後任の寺尾裁判長は、この約束をひっくり返して、証人尋問を全部却下して、有罪判決を出したのです。こんなことが許されていいはずがありません。
     2009年の門野裁判長の証拠開示勧告以降、寺尾が書いた確定判決を揺るがす数多くの新証拠が裁判所に提出されました。47年ぶりに開示された逮捕当日の石川さんの上申書(脅迫状の筆跡とは似てもに似つかない!)、殺害現場とされる雑木林のすぐ近くで農作業をしていた0さんの「悲鳴は聞いていない」という供述調書(殺害現場も警察の作り話だ!)、自白に基づいて発見されたとされる時計が被害者のものではないことを証明する専門家の鑑定、「殺害現場」では血液反応は出なかったという鑑識官の電話応答を記したメモ、死体やスコップの土壌に関する新たな鑑定等々、その数はなんと106点にものぼります。
    裁判所がやろうと思えばいつだって、Oさんや鑑識官、鑑定人を法廷に呼んで、証人尋問を行い、真偽のほどを確かめることができます。それをしない裁判なんか、もはや裁判じゃない!
脅迫状のX線鑑定を!
    弁護団は、新証拠の事実調べを要求すると共に、脅迫状や封筒の筆記インクをX線分析顕微鏡を使って嘱託鑑定するよう、裁判所に求めています。これは とても大事です。
    確定判決によれば、石川さんは、ボールペンで脅迫状と封筒の宛名「少時様」と書いて持ち歩き、犯行後に被害者から奪った万年筆で「少時様」を斜線で消して、「中田江さく」と書き直したことになっています。
    ところが、第二次再審請求で、元栃木県警の鑑識官だった斉藤保さんの鑑定によって、「少時」は万年筆で、「様」はボールペンで書かれたものだということ、さらに「中田江さく」という宛名書きは、「少時」が書かれる以前につけペンで書かれたという新事実が明らかにされました。鑑定の方法は省きますがきわめて科学的なものです。もし裁判所が斉藤鑑定の事実調べを行っていたら、確定判決は粉々に崩れていたと思います。
    しかし、裁判所は「肉眼で観察したところでは、『少時』と『様』の文字が違う筆記用具で書かれているとは認めがたい」(特別抗告棄却決定)などと言って、事実調べを行わずに、再審請求を棄却してしまったのです。「肉眼で」ってなんだ?!  裁判官の主観で有罪か!  って言いたくなります。
    X線分析顕微鏡を使えば、封筒や脅迫状に付着している元素まで特定することができると言います。これ以上客観的な証拠はないでしょう。しかし、検察は、今年3月27日付け意見書でこの鑑定に反対しています。とんでもない!  検察も、裁判所も、事実から逃げるな!
    7月下旬に迫った三者協議に向かって、要請行動、要請ハガキ、署名など、あらゆる方法で、裁判所に現場検証、事実調べ、嘱託鑑定を迫ろう!(投稿H)
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