10・28基調報告 狭山第3次再審闘争の勝利へ

(2012年11月28日)

 

(中田書記長の基調報告をまとめました)

再審実現へ、ついに決戦のときを迎える。全国連の総力をあげて波状的な要請行動にたちあがろう!

全国連が狭山中央闘争をおこなうのは3年ぶりです。私たちが、あえて今年はな 青年部の力強い音頭で、差別徹底糾弾のシュプレヒコール んとしても中央闘争をやりきろうと思いましたのは、第3次再審をめぐる情勢が煮詰まっているからです。この10・31を経由して、これから1年間ぐらいの間に大きな流れ、あるいは第3次再審に決着がつくのではないかという危機感から中央闘争を提起しました。

先般、10月3日に全国連は東京高裁と検察にたいする要請行動をおこないました。ちょうどその日は、11回目の三者協議の開催の日でした。すでに、弁護団の報告などで三者協議の概要は公表されています。そのなかで私たちがとくに見ておかなければならないのは、検察の態度ではないかと思います。すでに三者協議が始まって3年です。前任の裁判長である門野裁判長は8項目にわたって開示勧告を出しました。しかし検察は、石川一雄さんの無実に係わる証拠については、いまだに隠し持っています。証拠開示勧告いらい、証拠開示をめぐって裁判所、検察との厳しいやりあいがつづいてきました。検察もこの過程で4通の意見書を提出しました。本来、検察があらためて意見書を提出するなどということはあり得ないことです。それほど、石川一雄さん、狭山をたたかう人々のたたかいによって、確定判決が大きく揺らいでいることの証拠です。

ところで、証拠開示をめぐるたたかいは、今、大きな転換点にむかっています。11回目の三者協議のなかで、検察は「証拠開示については新規明白なものに限る」、そして、「新規性があるのか、明白性があるのかは検察が判断する」などと、証拠開示について全面的な拒否の姿勢をしめしています。

一方、弁護団は、これまで開示をされた一定の証拠にたいして新たな鑑定書・意見書を来年早々にも出すと言われています。

第3次再審は、これらの意見書や新証拠について、裁判所がどういう判断をするのか、という段階に移行していくというのが、この10・31から来年1年間の情勢ではないでしょうか。ここで、弁護団が出した新証拠にたいして裁判所が事実調べをかちとらなければ再審開始はありません。狭山再審は、いよいよ決戦、第3次再審の決着にむかって、切羽詰まった状況に来ています。ですから、全国連は全組織を挙げたたたかいとしてこの1年間をたたかいぬくのだという、この決意を全員のものにしましょう。

実力で勝ち取られた全国連の要請行動

そして具体的な取り組みへ、基本的な考え方を提起します。私たちは第2次再審の過程で日比谷公園でハンスト団をくんで1週間~10日と、連日のように東京高裁・東京高検に要請行動をたたかいぬきました。また、善枝さんの人形をつくって、東京高裁に持ちこんで、「実際に担いでみろ」という追及もやりました。また、鴨居の実寸大の模型をつくって裁判所に持ち込んで、「万年筆がはっきりとわかるだろう」と追及したこともありました。これらは、請願という枠をこえた厳しい要請・糾弾をおこなってきました。また、ときには、私たちの要請行動に主任書記官をださない、あるいは、私たちが要請に10分~15分遅れたことをもって、30分の要請を「残り時間15分でおわれ」という裁判所の不誠実な態度がありました。これにたいして、私たちは「とうてい認められない」「こんな態度に我慢ならない」と、裁判所15階の第4刑事部に上がって「主任書記官をだせ」と、 要請行動をたたかってきました。こうした、時には実力行使もともなう要請の繰り返しによって、私たちの差別に対する怒りの声、糾弾の声を裁判所や検察にたいして直接ぶつけてきました。東京高検では実際に狭山の担当検事が、私たちの要請行動に対応するというたたかいいを積み上げてきました。こうしたたたかいで、私たちは第3次再審闘争において大きな役割を果たしてきました。

部落差別への怒りがにじみ出る要請に!

これから1年間、第3次再審闘争の最大の山場のなかで、わたしたちも改めて、この要請行動が勝ち取っ 検察要請行動に参加した全国連と共闘(10月3日) てきた成果、地平をしっかりと大事にして、さらに徹底的に強化していかなければならないと思います。

例えば、寺尾判決(確定判決)の中に「例え小学校を満足に出てなくて、字が書けなくても、社会に出たらおのずと字を覚えるようになるのだ」「だから脅迫状が書けない事はない」といっています。本当にそうでしょうか? 私たちの親や兄弟にも、字の読み書きのできないお父ちゃん、お爺ちゃん、おばあちゃんがいますよね。その人たちが社会に出て字を覚えたでしょうか。自然に字が書けるようになったのでしょうか。そんなことはないです。字が書けなければ、できるだけ字の書く必要のない仕事を選び、字を書くような場面はできるだけ避けて、生きてきたわけでしょ。 社会に出たら字が書けるようになるというのは、嘘です。これまでの要請行動の中で、茨城の婦人が識字学級のなかで狭山のことを勉強し、字の読み書きのできない自分の半生を振り返りながら、その思いや怒りを裁判所や検察にぶつけていく要請行動をやりました。部落差別を受けてきた、字の読み書きのできない生活の実感のなかに、真実があるわけです。

いま、新しい意見書や、新しい証拠の発掘も大事ですが、しかし、要請行動のなかでなにより必要なのは、やはり「差別裁判を許せない!」という部落大衆の怒りです。そして、この怒りを体現するのはやはり、私たち全国連ではないでしょうか。私たちはこの集会を契機にして1年間、要請行動を波状的にたたかい、裁判所や検察を追い詰めていきます。それを部落差別徹底糾弾の立場から裁判所や検察の悪さを徹底的に叩いていく、こういうたたかいがさらにレベルアップされることが必要だと思います。

要請行動はぜんぜん難しいものではありません。なかにはたった一人で要請行動をたたかっている人もおられるようです。1年365日、毎日、裁判所や検察に、「なぜ証拠開示をしない」「なぜ事実調べをやらないのか」と、要請行動が連日のように起こっていくことが必要だと思います。

全国連がその先頭に立つことによって、全国の部落のきょうだいたちの差別にたいする怒り、狭山への思いにしっかりと火をつけ、大きなたたかいをつくっていきましょう。これが3次再審勝利への突破口となっていきます。全国連の全力をふりしぼったたたかいに全員が立ち上がっていきましょう。

▲このページのトップにもどる