証拠開示と事実調べをかちとろう! 10月狭山中央闘争・東京高裁糾弾にたちあがろう!(連載第1回)

(2012年06月27日)

 

証拠開示、事実調べをめぐる攻防点について、部落解放理論センターに4回の連載で訴えていただきます。

2012年4月19日要請行動 今年5月23日をもって、石川一雄さんは不当逮捕から丸49年をこえました。石川一雄さんは「半世紀になる前に再審開始を」と訴えておられます。期限まで1年を切りました。この重大情勢にあたり、全国連中央本部は、10月に狭山中央闘争を決定しました。今から準備し、各地から東京高裁糾弾へ攻めのぼりましょう。そして再審開始を勝ちとりましょう。

この連載は、第1回で三者協議における証拠開示をめぐる攻防の焦点を明らかにします。つぎに糾弾の具体的内容として、第2回は血痕反応検査について、第3回は雑木林を撮影した8ミリフィルムと被害者の死体に関する写真について、第4回は事実調べについて私たちの見解を明らかにします。

名張毒ぶどう酒事件の再審取消し弾劾!

名張毒ぶどう酒事件で再審を求めていた奥西勝さんにたいして、5月25日、名古屋高裁が再審開始決定を取消しました。30日、奥西さんは最高裁に特別抗告するとともに、保釈を請求して不屈にたたかっておられます。

名張毒ぶどう酒事件は、05年4月に「毒物は自白のニッカリンTではない疑いがある」として名古屋高裁が再審を決定しました。にもかかわらず検察の異議申し立てをうけて、06年12月に再審開始決定が取消されてしまいました。弁護団が控訴し、10年4月、最高裁は「科学的な検討をしたとは言えない」として名古屋高裁に差し戻しました。今回の決定は、この差し戻し審であらためて名古屋高裁が再審の取消しを決定したものです。

一度開始が決定した再審が、ひっくりかえされた。足利事件、布川事件と、あいついだ再審の開始と無罪判決の流れが止められました。この歴史的反動は、狭山第3次再審闘争にも大きく影響すると考えられます(なお、6月7日にだされた東電OL殺人事件の再審開始決定については、次回にのべます)。

検察と裁判所が、名張毒ぶどう酒事件の再審取消しに悪のりして狭山事件の三者協議の打ち切りを策動することなど、絶対にあってはなりません。次回10月までの5ヶ月間を私たちがどうたたかうかが決定的なのです。

狭山再審をかちとるためには、この歴史的反動と真っ向から対決し、うちやぶらなければなりません。私たちは求めます。三者協議を継続させ、その席に石川一雄さん本人の参加をかちとりましょう。新たな証拠開示勧告をかちとりましょう。新証拠の事実調べを開始させましょう。

では、三者協議の攻防点はどこにあるのでしょうか。

門野博裁判長が8項目の証拠開示勧告

2009年12月16日、第2回目の三者協議で8項目の証拠開示勧告がなされました(以下、①~⑧は通し番号)。

犯行現場関係について、4点。

① 殺害現場とされる雑木林内における血痕反応検査について、実施およびその結果に関する捜査書類一切。存在しないのなら、その理由の説明を求める。

② 殺害現場となりの畑で農作業をしていたOさんについて、検察官が3回目に事情聴取した際の捜査報告書ないし供述調書。

③ Oさんを取り調べた捜査官の供述調書案、取り調べメモ(手控え)、調書案、備忘録など。

④ 1963年5月4日付の実況見分調書に書かれている雑木林を撮影した8ミリフィルム。

死体について、⑤ 死体鑑定書や1963年5月4日付の実況見分調書に添付された写真いがいの被害者の死体に関する写真。

筆跡関係について、2点。

⑥ 石川一雄さんが東鳩製菓の工場に勤務していた当時の借用書など筆跡鑑定などのために収集した石川さんの筆跡が存在する書類。

⑦ 石川さんが逮捕・勾留中に書いた本件脅迫状と同内容の文書など、石川さんの筆跡が存在する文書。

取り調べ状況関係について、⑧ 石川さん取り調べにかかる捜査官の取り調べメモ(手控え)、取り調べ小票、調書案、備忘録など。

この8項目が三者協議をめぐる攻防、とりわけ証拠開示の土俵として設定されました。

血痕反応検査、8ミリフィルム、死体の写真をめぐる攻防 一部証拠を開示

2010年5月13日、第3 2012年4月19日要請行動 回目の三者協議(岡田雄一裁判長)で8項目のうち5項目の証拠が開示されました。

② Oさん関係の捜査報告書1通、③ Oさん関係の捜査報告書1通、⑥と⑦6点の筆跡関係資料、1963年5月23日付の石川一雄さんの上申書ほか、⑧ 捜査報告書など19通、取り調べ録音テープ9本の5項目です。

しかし、① 血痕反応検査、④ 8ミリフィルム、⑤死体の写真については「見あたらない」と検察は回答しました。ないわけがないのに、ふざけた話です。

3点の未開示証拠

弁護団は、この3点を追求します。

① 血痕反応検査について

血痕検査を実施したかどうかについて、どのような捜査関係者から事情聴取したのか、どのような書類を調査したのか、釈明を求める。捜査指揮簿などの開示を求める。石川さんのズボン、ジャンパーなど当時の着衣にたいする血痕検査にかんする報告書類一切の開示を求める。石川さんが自白する以前および自白いこうに、犯行現場を特定するために行われた捜査にかかわる報告書など一切の開示を求める。

④ 8ミリフィルムについて

雑木林の実況見分時における8ミリフィルムによる撮影が行われたかどうかについて、どのような書類を調査したのか、釈明を求める。捜査指揮簿などの開示を求める。

⑤ 死体の写真について

死体鑑定書、5月4日付の実況見分調書に添付されたいがいの死体写真が撮影されたかどうかについて、どのような書類を調査したのか、釈明を求める。(つづく)

▲このページのトップにもどる