長野の婦人(85歳)からの東京高裁への要請

(2012年04月26日)

  狭山事件の石川さんは無実です。石川さんには脅迫状は書けません。文字の書けない人が「脅迫文」という文章を書くということは考えられません。 私も、石川さんと同じ生い立ちです。部落差別によって家が貧乏で、小学校すらあげてもらえませんでした。子守奉公やひろっとり(農家の仕事を手伝って働いた分の小遣いをもらうこと)をやって、親の生計を助けてきました。たまに、学校へ行っても、授業の途中で親に「帰ってこい」といわれ、勉強に集中することはなく、教育がほとんど奪われました。だから字も書けませんでした。成人してからも、愛知県の紡績工場へ年季奉公に行かされました。文字が書けないことで本当に苦労してきました。 字を覚えたのは、解放運動をやるようになって、識字学級に通ってからです。

私は生きるために必死で覚えました。字を覚えると世の中が明るくなった思いがしました。

石川さんは、獄中で字を覚えたといいます。それは自分の無実をはらすために必死で覚えたのです。そのように生きるために覚えた文字を犯罪なんかに使うでしょうか。よく考えて下さい。

裁判所は、石川さんが「社会に出てから字を覚えたから脅迫状は書ける」といいますが、それは、字の書ける人の発想です。石川さんの書かされた「上申書」の字はたどたどしいです。ひらがなも漢字も正確に書けません。しかし、犯人の書いた「脅迫状」は、書き慣れた人の文字です。専門家の人の鑑定でも筆跡は違うといっています。私たち素人が見ても、はっきり違うとわかります。

裁判長は、事実調べをして下さい。筆跡をよく調べて下さい。石川さんが無実だとわかります。この私の要請を直接、裁判長に届けたいのですが、行かれませんので、娘に託します。どうぞよろしくお願いします。

追記

私は、高齢でこの先何年生きられるかわかりません。でも、今は、町の老人クラブに入って、押し花教室やマレットゴルフなどサークルで自分の趣味を楽しんで余生を過ごしています。また、解放運動の方でも、全国連の大会や集会に参加して、勉強をさせてもらっています。 石川さんも、一日も早く無実を勝ち取って、晴れて自由の身になってほしいです。両親の墓参りをして下さい。もう青春時代は取り戻せませんが、家族のみなさんとともに、残された人生を幸せに過ごして下さい。 絶対に再審は開かれると固く信じています。

(口頭での要請を後に文章にして頂きました)

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