5・23 石川一雄さん不当逮捕48ヵ年を糾弾する!

(2011年05月18日)

 

証拠開示、事実調べを実現への正念場
5〜7月、要請行動に立ち上がろう!


3・17要請行動 本年の5月23日で、狭山事件において石川一雄さんが不当逮捕されてから、まる48年がたちます。
狭山事件における、石川一雄さんの逮捕、起訴、一審での「死刑判決」、二審での「無期懲役判決」(確定判決)という一連のできごとは、部落差別による犯人でっち上げという、許すことのできない国家犯罪にほかなりません。無実の石川一雄さんは、「仮釈放」されてなお、完全無罪判決をかちとるために再審(裁判のやり直し)を求めて不屈にたたかいつづけています。

狭山事件の再審を実現し、石川一雄さんの完全無罪判決をかちとることは、石川一雄さんの人生をとりもどすたたかいであるとともに、部落差別による犯人 でっち上げという国家犯罪をただし、部落差別を根絶するための絶対的な課題です。わたしたちは、石川一雄さんの不当逮捕から48年となる本年の5・23を 迎えるにあたって、あらためて石川一雄さんとの血盟を誓い、狭山第三次再審の勝利へ、すべての力を結集して立ち上がっていかなくてはなりません。
さる3月23日、東京高裁において、第6回目の三者協議が行われました。この場で、狭山弁護団は、筆跡鑑定などの新証拠とともに、再審請求理由補充書、証拠開示勧告申立書を提出しました。
筆跡鑑定は、小野瀬鑑定人(鳴門教育大学教授)によるもので、昨年5月に検察から開示された「石川一雄さんの逮捕直後の上申書」をもとにしたものです。 昨年の12月にも、検察から開示された証拠にもとづいた筆跡鑑定(遠藤第2鑑定、魚住第2鑑定)が出されていますが、それにつづくものです。確定判決で採 用された筆跡鑑定は、脅迫状の筆跡に似せるために、何度も警察官に強要されて石川さんが練習させられた文字にもとづいて行われたものですが、こんかい出さ れた筆跡鑑定は、石川さんが逮捕された直後の石川さんの、誰も、何も手を加えていない石川さんの筆跡にもとづくものです。一目瞭然、誰が見ても、脅迫状は 石川さんとは別人が書いたものだとういうことが完全に明らかになりました。
また、証拠開示勧告申立書は、「殺害現場」とされる雑木林での血液検査報告書など、裁判所による証拠開示勧告で「出しなさい」といわれながら、いまだに 検察が隠しつづけている証拠について、あらためて証拠開示勧告を出せという申立を行うとともに、新たな重要証拠の開示勧告を求めたものです。このなかで、 とくに重要なのは、「スコップ」の指紋検査の報告書です。
狭山事件において、犯人を取り逃がした警察は、被差別部落にたいして集中見込み捜査をおこない、部落の青年を犯人にでっち上げることで、失墜した威信を 回復させようとしました。このなかででっち上げられたのが石川一雄さんでした。この、部落にたいする見込み捜査の手段となったのが、当時、石川さんをはじ め多くの部落の青年が出入りしていた「石田養豚場のスコップ」だったのです。警察は、死体発見現場の近くで見つかったスコップを、「石田養豚場のスコッ プ」だと一方的に断定、これをテコとして「部落に犯人がいる」という差別捜査に踏み切りました。
しかし、このスコップが、石田養豚場のものかどうかについての正確な鑑定はまったく行われていないのです。しかも、当時の新聞によれば、「スコップの指 紋検査が行われた」とされているのに、この指紋検査の報告書は出されていません。なぜ、もっともわかりやすい指紋検査の結果を出さないのか。それは、石田 養豚場の関係者の指紋がなかったからにほかなりません。そうだとすると、スコップはにせもの、部落にたいする見込み捜査は、何の根拠もない警察のでっち上 げのための手段だったことが明らかとなるのです。
この、3月23日の三者協議の場で、新たに、3点の検察官による鑑識課の技師にたいする聞き取り報告書が開示されています。弁護団によると、このうち2 点には、鑑識課の技師が、雑木林での「ルミノール検査をやった」「陰性だった」と言っているという報告が走り書きされていたといいます。きわめて重要で す。
これまで検察は、この雑木林でのルミノール反応検査(血液検査)について、「不見当」(見あたらない)といい、最近では「やっていない可能性が高い」な どと言って、必死に言い逃れようとしてきました。しかし、検察官じしんの当時の鑑識課の技師にたいする聞き取り調査によって、ルミノール反応の検査が行わ れ、しかも「陰性だった」つまり、「血液反応は出なかった」ということが明らかとなったのです。
これは、ふたつのことを意味します。ひとつは、確定判決のいう「殺害現場」が、じつはまったくのでたらめ、真っ赤な嘘だということです。確定判決では、 被害者はここで頭から大量に出血したとされています。もし、ここで血液反応が出なかったとしたら、この「殺害現場」はまったくにせものだということにな り、事件は最初から見直さなくてはならなくなるのです。もはや、この検察官の聞き取り報告書だけで、確定判決の「殺害現場」の認定は崩れ、石川一雄さんの 「有罪」の根拠は崩れています。
もうひとつは、鑑識の技師が「やった」と言っているということは、間違いなくその報告書は提出されているはずだということです。ということは、この提出 された報告書は必ずあるということ、そして、誰かが、意図的に隠したということです。いったい、いつ、誰が、どこに、この報告書を隠したのか。検察は、こ のすべての事実を調べ、その責任者の氏名を公表する義務があります。大阪地検特捜の証拠偽造が問題になりましたが、これと同じことを、狭山事件において検 察は行っていたのです。かならず、このルミノール検査報告書を出させ、これを隠した事実のすべてを、明らかにさせなくてはなりません。
次回の三者協議が重要です。検察によって隠された証拠の全面開示、発掘された新証拠にもとづく事実調べの実現、いずれも、次回の三者協議において、一定 の方向が出されます。次回の三者協議は、狭山第三次再審の行方を決する決定的な焦点となっているのです。しかも、もはや、検察も、裁判所も逃げられませ ん。
わたしたちは、この三者協議を、裁判長、検察、弁護団の三者による密室のやりとりにせず、弁護団はもとより、石川一雄さんをはじめとするすべての部落大 衆、労働者市民の共同のたたかいとして、この場でのやりとり、決定を大衆的なたたかいの力でたたかいとっていかなくてはなりません。裁判所にたいして、再 度の証拠開示勧告、あるいは開示命令を出させ、検察によって隠されたすべての証拠を開示させましょう。そして、発掘された新証拠の事実調べをかちとりま しょう。
血液検査報告書といい、スコップの指紋検査報告書といい、検察にとって都合の悪い、石川さんの無実を立証する重要な証拠を検察が執拗に隠していること が、いまや完全に明らかになっています。ことここに至って、なお、裁判所があいまいな態度をとるとすれば、もはや裁判所は「法の番人」などではなく、検察 の下僕に完全に成り下がったことを、みずからが認めるに等しいことです。
こうしたなかで、東京高裁の狭山再審の担当裁判長が、再び変わるという事態となっています。門野裁判長の退官にともなって新たに担当となった岡田裁判長 は、就任後わずか1年で、東京地裁の所長に転任しました(後任は、小川正持裁判長)。次回の三者協議は7月といわれています。きわめて重要な局面で、裁 判長がころころ変わる、いったい、何ということでしょうか。要は、「たらい回し」、時間稼ぎによって、何とか狭山再審の流れを断ち切ろうとしているという ことです。
しかし、東京高裁がどのような体制になろうとも、一昨年の6月いらいの三者協議の開始、証拠開示勧告(一昨年12月)、一部の証拠開示(昨年5月)とい う狭山再審への流れを止めることは断じてできません。この流れは、48年におよぶ石川一雄さんの不撓不屈のたたかいが実力によってたたかいとったものであ り、同時に、足利事件、布川事件など国家権力によるでっち上げとたたかい、正義を打ち立てようとする幾多の人々の血と汗がつくりだしたものです。裁判長を 変えるような小手先の手段によって押しとどめられるようなものでは断じてないのです。
いまこそ攻勢に打って出るときです。裁判所の態度を待つのではなく、大衆的な差別裁判糾弾の力で、次回三者協議の早期開催、隠された全証拠の開示、そして新証拠の事実調べをたたかいとろう。5・23狭山全国統一行動から5・23要請行動(首都圏のきょうだいを中心に)、7月(日時未定)、全国から高裁、高検にたいする要請行動に続々と立ち上がろう。

5・23狭山要請行動
ごご1時 弁護士会館前集合
ごご2時 東京高裁要請行動
ごご3時15分 東京高検要請行動  

▲このページのトップにもどる