総選挙の結果について

(2009年09月15日)

  労働者・民衆の手で自公政権を打ち倒した
8月30日投開票の総選挙は、300議席を越える民主党の圧勝、政権政党であった自公の惨敗という結果となりました。
ここで、わたしたちが、とくに注目すべきことは、民主党の新人候補が、元首相、大臣経験者など、これまで政権の中枢にいた自民党の大物政治家を打ち破っ たことです。また、比例区で復活当選したとはいえ、麻生政権を支える現役閣僚も、選挙区において民主党の新人候補に惨敗しました。
この、新人候補は、たとえば、薬害肝炎訴訟の原告団長として運動に取り組んできた福田衣里子氏(長崎2区)に示されるように、いわゆる「政治家」ではな く、労働者・民衆の一員であり、ある意味で労働者、民衆の「代表」とも言える人たちでした。また、民主党に投票した労働者・民衆は、民主党を政党として支 持したというよりも、自公政権を打ち倒すために、ひとまず民主党を選んだということではなかったでしょうか。
つまり、こんかいの総選挙は、労働者、民衆の手で、自民党による政治支配(自公政権)を打ち倒した歴史的な政変だということができます。いったんは民主 党を支持するという形をとったものだとはいえ、政治を動かす主人公が、既成政党などではなく、ひとりひとりの労働者、民衆であることが、ここに、劇的に示 されたのです。
しかし、これは、終わりではなく始まりです。民主党政権(あるいは連立政権)の紆余曲折のなかで、いったんは民主党を勝利させた労働者・民衆の力は、必ず、それを乗り越えて、労働者・民衆の本当の利益を実現していく政治をみずからの手で打ち立てていくに違いありません。

民主党への期待ではなく、わたしたちの運動が政治の流れを決める

民主党を勝利させるという形で動いた、この選挙にかけた労働者、民衆の意志とは、どのようなものだったでしょうか。それは、〈改憲と戦争に反対〉という 意志であり、もうひとつは、「新自由主義」といわれる無制限の労働者からの搾取・収奪、社会保障の打ち切りなどにたいして、「もう、許さない」という意志 です。
しかし、こうした願いは、民主党政権によってかなえられるようなものではありません。それは、労働者・民衆じしんのたたかいによってこそ実現されていくものです。
実際に民主党は、選挙過程から、「政権政党としての現実的対応」と称して、「自衛隊によるインド洋での給油活動打ち切り」や、「米軍の沖縄・名護基地建 設見直し」など、これまで民主党がうたっていた政策をマニュフェストから削除しました。アメリカによるイラク、アフガニスタン侵略戦争をはじめとした戦争 政策への協力というこれまで自公政権の政治を、民主党もまた引き継ぐという表明です。
しかも、民主党は、自民党いじょうの改憲推進勢力です。ある意味で、民主党政権の樹立は、改憲に向かって一挙に政治が動き出していく危険、改憲への総翼賛情勢がつくりだされていく危険をもはらんでいるのです。
しかし、今回の選挙結果を規定したのは、やはり、労働者、民衆の力です。民主党への支持という形で動いた力は、この労働者・民衆の意志に民主党が反したときには、必ず、民主党を打ち倒すより巨大な力となるに違いありません。いや、そうならなければならないのです。
そして、そのためには、民主党への期待ではなく、労働者・民衆はみずからの手で、労働運動や部落解放運動などのみずからの運動の力で、そのなかから本当 の自分たちの政治を体現する政治勢力、政党をつくりあげていくことです。なによりも、いまこそ、改憲と戦争の流れをぶっとめる決定的なチャンスです。自公 政権を打ち倒した労働者・民衆の力で、いまこそ改憲への動きを葬りさらなくてはなりません。
これまでの自公政権という反動体制が崩壊しました。わたしたちを縛る鎖の一端がぶち切れたのです。今こそ、労働運動や部落解放運動などの、労働者・民衆の運動を大きくつくりあげ、わたしたちの手で政治の流れをつくりだしていこうではありませんか。
(『部落解放新聞』第222号 2009年9月10日)
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