北朝鮮にたいする侵略戦争許すな!

(2009年04月23日)

  麻生政権が自衛隊にロケットの「破壊措置命令」
4月5日、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、実験用通信衛星をうちあげたことを発表した。アメリカは、「軌道に乗らず、衛星打ち上げは失敗」と発表している。しかし、わたしたちは、これが、一触即発の戦争の一歩手前まで行ったことを徹底的に見据えなければならない。
国家ぐるみの戦争体制に突入
その原因は、日本の露骨な戦争挑発とも言うべき対応に他ならない。
日本政府は、衛星写真などのアメリカからの情報によって、こんかいの打ち上げが、衛星とその運搬用ロケットであることを早い段階で知っていた。にもかか わらず、これを「弾道ミサイルだ」と決めつけ、マスコミを組織して情報を操作し、北朝鮮にたいする敵視を国民に植え付けようとした。
さらに、3月27日、麻生内閣は、この衛星を打ち落とすための「破壊措置命令」を出した。およそ、よその国の衛星を撃墜するなどという行為は、戦争布告 もなしに戦争に突入するに等しい行為だ。実際に、この命令を受けて、自衛隊は、イージス艦3隻を日本海と太平洋に展開させ、航空自衛隊のPAC3ミサイル を首都圏から東北にかけて配備、警察庁は、東北の6県警にヘリコプター、機動隊、テロ対策班などの出動を指令した。さらに、東京都、秋田県、岩手県などを はじめとした自治体は、「危機管理対策本部」などを設置、職員の非常動員体制が敷かれた。まさに、国、自治体、自衛隊(軍隊)、マスコミなど、国家ぐるみ の総動員態勢が敷かれたのだ。事実上の戦争体制が発動されたということだ。
憲法を踏みにじった麻生政権を倒せ!
「衛星の打ち上げ」について、それが結果的に軍事技術の向上につながるものであれ何であれ、衛星打ち上げそのものを非難する権利は日本にも、アメリカに も、どこにもない。衛星打ち上げが「弾道ミサイルの開発につながる」とすれば、日本が種子島で打ち上げているH2ロケットは、そのすべてが弾道ミサイル開 発のためだということになる。
こんかいの事態にたいして、中国や韓国などは、「衛星打ち上げ」と冷静に報じ、「軍事的に対応することには反対」という対応をしていた。また、アメリカ も「迎撃の計画はない」としていた。このなかで、日本だけが「弾道ミサイル発射」だと決めつけ、マスコミを使って大騒ぎし、北朝鮮非難の大合唱を組織し た。そして、事実上の戦争体制に突入し、「迎撃ミサイル」の発射一歩手前までいったのだ。憲法は、麻生の泥靴で踏みにじられた。この一点だけをもっても、 麻生政権は打倒されなくてはならない。
かつて、「大本営発表」なる、国による情報管理と情報操作によって戦争に動員された歴史を思い起こしてほしい。また、中国による鉄道爆破をでっちあげて 中国侵略戦争を引き起こした関東軍による「満州事変」を思い起こしてほしい。これと同じことが、目の前で繰り返されようとしたのだ。
排外主義を許すな!
麻生政権は、国連安保理に、北朝鮮にたいする制裁を加えるための決議を提出しようとしている。また、4月13日に期限が切れる北朝鮮への経済制裁措置を 延長し、北朝鮮への全面輸出禁止や在日朝鮮人の資産凍結などをエスカレートさせようとしている。3月から4月にかけてとられた戦争体制の開き直りと継続で あり、北朝鮮にたいするあからさまな戦争政策そのものだ。わたしたちは、この戦争行為を絶対に許してはならない。排外主義のエスカレートと徹底的に対決し ていかなければならない。
(『部落解放新聞』第217号 4月10日)
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