広島差別事件 2・24関西真相報告集会 詳報 3

(2008年02月24日)

 

森島吉美さん  真相報告集会での森島吉美・広島修道大学教授の発言の要旨を紹介します。編集の都合上、お話を大幅に割愛せざるを得ませんでした。とくに先生が深くかかわっておられる島根県のある地方のことなど、非常に大事な問題も紹介できませんでした。別のかたちで紹介したいと考えています。「報告ビデオ(DVD)」をつくる予定です。

「僕自身のたたかいとして とことん一緒にたたかう」  森島吉美さん(広島修道大学教授)

目の前にいるAさんを 彼らは何も見ていない

 Aさんは、僕がつとめている大学の学生です。僕は大学に来て自らの出身をぶちまけて苦しみを僕の前で話してくれて、たたかう気持ちで僕に接してくれたら、僕はその学生ととことんたたかうとこの十数年決めています。
 自分の関係してくるAさんにかかわる差別のことですから、僕自身の怒りも沸騰しています。彼女の怒りと僕の怒り、彼女以上に今僕は怒っています。
 僕は、差別問題で一番大事にしているのは、具体的に差別問題にかかわるということを自分の原点にしています。(学生たちが)あれだけはっきり差別発言しているのは、Aさんの顔を見ていないのですよね。目の前に彼女がいるのに、何も見ていないのです。全国連を否定する。親を否定しているんですよ。差別糾弾闘争を否定する。たたかう武器を否定しているんでしょ。住宅闘争を否定する。今現在たたかわれている闘いそのものを否定しているんです。彼女を全部否定しているんですよ。
 僕は差別問題にかかわるときに、目の前の人を助けるんですよ。みんなをなんて助けられないです。宣言しておきます。でも、目の前にAさんがいる。彼女の問題はとことんかかわります。

差別とたたかうために  具体的な武器がいる

 僕は学生の前で、講義のなかでも部落差別の話をします。結婚差別の話をします。
 結婚差別は僕は年に何件か相談を受けます。何人か来ます。僕は結婚差別問題にかかわる関わり方は大変簡単なんです。2人がやってきて、互いに結婚したいといったらすぐに役場に連れて行きます。早い子で3時間です。僕の所に相談に来て結婚しましたよ。
 学生らは、どこかで家族のなかで結婚差別の話を耳にしています。そして自分にもおこるかもしれない。しかし、そうなったらあきらめるとフタをしている人がたくさんいます。僕がこの話をしたら、「人権問題の話、もっとしてくれ。結婚差別の話、もっとしよう」と、感想文がたくさん出てきます。
 ある一人の女子の感想文で、僕は気がつきました。「私のお母さんは手強いぞ…。結婚を反対するときには出刃包丁をもって絶対に反対するとやってくる。その出刃包丁をもったお母さんと、先生に今日聞いた話のかぎりでは、私に楊枝でたたかえというようなものだ。せめて同じ武器をくれ」。
 差別とはたたかう武器がいる。たたかう武器は具体的なものです。

差別糾弾闘争の否定は  共に闘うことの否定だ

 差別糾弾闘争に僕もかかわってきました。差別糾弾というのは相手をやっつけていく。しかし、その相手が自分の仲間となって共にたたかってくれる。その信頼がありますよね。はねのけるのは簡単です。無視すればいいのだから。でもやっぱり、僕は最終的にはたたかう仲間となってくれる姿を何度も見ています。
 結婚差別で自分の子どもを殺されたその親が相手の確認・糾弾会をしている。くやしい思いで、血を吐くような思いで、握り拳の爪が身にささって真っ赤な血を流して怒っているお父さん。それでも、お父さんはこの相手が自分と一緒に将来たたかってくれると信じていました。
 差別糾弾闘争って、そんな闘いじゃないですか。それを否定してしまうということは、もうはじめからたたかいはしない、と宣言しているようなものです。
 最後に、彼女のたたかいに、彼女が迷惑に思おうとも、僕自身の自分のたたかいとして、とことん彼女と一緒にたたかいます。誰が来たって、どうしようが、それはもう知り合った以上は仕方がない。それが僕のやり方だから、彼女とともにたたかっていきます。

 

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