2007年の闘いの総括と組織建設の課題

(2007年12月26日)

 

部落解放同盟全国連合会書記長 中田 潔

 2007年決戦の総括と、来年第17回大会にむけた全国連の課題について、中田書記長の訴えをもとに編集部でまとめました。(文責は編集部)

三大闘争で天王山の決戦! 社会を変える闘いの先頭に


部落解放運動根絶の逆風を一身にうけはね返した1年


 2007年ものこすところ3週間たらずとなりました。しかし、いまなお狭山第3次再審決戦、住宅闘争の決戦の渦中であり、決して1年の総括というときではありません。
 そのうえで、途中経過ではありますが今年は、私の逮捕という弾圧があり、八尾と東大阪の2つの選挙戦があり、10・31狭山全国統一行動と、激動の年となっています。

選挙戦の敗北

 とりわけ、東大阪市議選は敗北に終わりました。本紙10月号(第199号)の総括をもとに、17回大会でさらにふかめた総括をします。しかし、選挙戦でかちとられた荒本の村の再統一への気運、かつてない支部への支持は消えていません。これを大事にし、荒本支部と国保と健康を守る会、平和診療所労組をはじめとした労働者が真に主人公として、自己解放的にたたかえる体制をつくりだし、4年後の雪辱をあらためて誓いたいと思います。

 弾圧のりこえ

 弾圧とのたたかいでは、全国連つぶしこそが敵・支配階級の部落解放運動根絶やし攻撃の核心であることをはっきりとさせました。
全国連つぶしの弾圧をうち破る!(6月)  実際に起こった事態は前後しますが、参議院選での自民党の大敗で安倍政権が崩壊しました。小泉政権いらいの構造改革路線が破綻、つまり支配階級の側の破綻と矛盾が一気にあらわになりました。それにたいする人民の怒りは、一気にふきだしていました。
 部落解放運動では、飛鳥会問題からの解同本部派の腐敗の表面化によって、なお厳しい差別攻撃がつづいています。大阪市は同和行政の全面否定にまで行き着きました。解同本部派もこれに反撃できない、完全に封じ込められてしまっています。
 そういうなかで全国連がなおも果敢にたたかっています。とりわけ住宅闘争では、「差し押さえ」「明け渡し」と、行政の反動攻撃のエスカレーションにもかかわらず、たたかいつづけています。
 差別キャンペーンで解同本部派をふうじこめた、しかし全国連がのこっては困る、これが弾圧の本質です。
 これにたいし全国連は、当初の構えの甘さを反省し、完全黙秘のたたかいを1から学びなおしました。それと反弾圧統一戦線という大きな陣形のもとでたたかったことがとくに重要です。

 狭山集団登校の復活

 10・31全国統一行動では、とりわけ関西の全国連の狭山闘争が大阪の難波の中心でうちぬかれました。大阪市による差別攻撃の嵐の中で、狭山闘争で部落解放運動へのたちあがりを訴えた集会とデモは、大きな意義のあるたたかいです。
全国連の決起で集団登校を復活(10月 奈良・古市)  さらに、奈良・古市での狭山集団登校の復活を全国連のたたかいのもとでできたことは、この1年のたたかいをとおしてなによりも大きい勝利です。

 新たな支部の結成

 組織建設では、福岡で天神町支部、東京で品川支部が結成されました。天神町では、住宅家賃闘争をたたかう住民との大合流です。住宅闘争にたちあがった村の大衆が、全国連の運動を選択してくれたのです。品川でも、品川の地元の人が「全国連をつくって狭山闘争に勝利しよう」と結成してくれました。どちらもやはり、「全国連でたたかうしかない!」。そういう選択です。
 広島支部では新たな地方のきょうだいとの交流がつづけられています。「これからの解放運動は全国連しかない」と、私たちが考えているより全国連が認知されはじめているということです。
 以上のように、部落解放運動の根絶やし攻撃、刑事弾圧もふくめた激しい攻撃に対して、全国連はこの逆風を真正面から全身に受けてたちむかってきました。
 今後のたたかいを考えるとき、非常に残念なこともおこっています。
 この間のマスコミなどをフルに動員した解同本部派の腐敗を口実とした解放運動バッシングにたいし、解同本部派は屈服し反撃できませんでした。このことが日本社会のなかでの部落解放運動そのもの意義、役割について否定する風潮をおこしています。これに、これまで「左翼」といわれていた勢力も差別的に動員される動きがおこっていることです。
 部落解放運動の意義が否定されるなか、すさまじい差別事件がひきおこされ、臆面もなくひらきなおりがおこなわれる事態がおこっています。

 狭山第3次再審決戦

 これと、どうたたかうのかをあきらかにします。
 来年には衆議院の解散、総選挙があるといわれています。より改憲・戦争の攻撃が強められることはあきらかです。
 全国連にとって、年末から新年にかけて、狭山闘争と住宅闘争の天王山のたたかいが訪れます。全国連はこの情勢を一方では組織拡大のチャンスとしてとらえ、三大闘争での全面的とりくみに決起しましょう。
 なにより、狭山第3次再審闘争での門野裁判長体制との対決です。狭山再審闘争の歴史をふりかえれば、棄却は1・28、2・7、8・9…いずれも極端に寒い時期、あるいは暑い時期にねらっておこなわれています。年末から年始にかけて、第3次再審棄却阻止に全力でたちあがりましょう。

 住宅の明け渡し阻止

 住宅闘争でも具体的な「明け渡し」をめぐっての激しい攻防となります。明け渡しをめぐって村のなかでの激しいやり合いで、住民の怒りのたちあがりをつくりださなければなりません。
 そうした住民のたちあがりを獲得しつつ、これまでにないような部落の地殻変動ともいう大きな変化をかちとりましょう。

 共同闘争の強化

 さらに、全国連自身が憲法改悪反対のたたかい、戦争反対、反弾圧の統一戦線を、より主体的に積極的に担っていくことがもとめられています。
 部落解放運動での組織拡大とあわせて、新たな共闘、共同闘争への積極的な参加によって部落解放運動への理解者、協力者を新たにつくりだしていきましょう。
 おりしも、住宅闘争では権力との激突の段階に入ります。権力による逮捕ということも十分に考えられます。これにたいして反弾圧の広範な広がりを準備しておかなければなりません。弾圧だけでなく、「差し押さえ」や「明け渡し」とたたかう、それを支援する大きな共同闘争としても拡大をもとめられています。
 もう一方で、差別・排外主義とのたたかいが後退していく情勢にあって、全国連こそがこれをつきやぶり改憲・戦争を阻止し、日本の社会を変えていくたたかいの旗振り役となっていかなければなりません。
 全国連の足腰を鍛える組織体制の強化、組織指導の強化がもとめられています。そのためにも階級的共同闘争をさらに重視していきましょう。

▲このページのトップにもどる