差別裁判糾弾を徹底的に貫き、第3次再審闘争をたたかおう

(2006年05月10日)

 

部落解放同盟全国連合会・書記長  中田 潔

石川一雄さんへの権力犯罪を暴きつくそう!

 まずはじめに訴えたいことは、5・21狭山中央闘争は第3次再審闘争の突破口だということです。この5月、いよいよ狭山第3次再審闘争がはじまります。ここで、全国連としての狭山闘争勝利にむけた決意と、たたかいの方向をあきらかにします。

  

全国連第15回大会で発言する狭山支部

 何よりも大事なのは、狭山第3次再審闘争は差別裁判糾弾闘争として徹底的にうちぬかれなければならないということです。これが狭山闘争勝利への第1のカギです。
 石川一雄さんは、どのようにして犯人にデッチあげられたのでしょうか。それは、部落差別を総動員して、差別を扇動・組織することによってはじめてできたことです。それは石川一雄さん1人にだけでなく、狭山市内の120人の部落の青年が差別捜査の対象にされました。狭山支部の支部長も、その差別捜査の対象にされた生き証人です。その人たちの立ち上がりが決定的です。40年前の差別の実態、長谷部や関、諏訪部、青木などの警察官がどのようにして石川さんにウソの「自白」を強制したのか、その手口を暴いていきましょう。そのカギになるのは、「公正裁判」の要求でもなければ、「自白」と客観的事実の違いをあきらかにすることだけでもなく、差別糾弾闘争としての狭山闘争を貫くことです。

各地での糾弾闘争と、狭山闘争をむすびつけ

 狭山闘争勝利の2つめのカギは、全国の部落大衆をもう一度しっかりと狭山闘争にたちあがらせていくことです。狭山差別裁判糾弾の部落大衆のうねりをつくりだしていくことが、勝利にとってきわめて重要です。
 これもカギは、各地における差別事件にたいする差別糾弾闘争をしっかりとたたかうことです。これと狭山闘争を結合させていくことです。
 15回大会の組織過程でとりくんできた、「部落差別についての意識調査」のなかでも、圧倒的多くの大衆が何らかの差別体験をもっています。にもかかわらず、糾弾闘争をとおして部落解放運動にたちあがれていない状況がつきだされました。
 この最大の問題は、「差別はなくなりつつある」論や「部落民自立」論、また、絶え間なく再生産される周辺の差別意識。そして、本部派の裏切りと転向。このことによって、部落大衆がたちあがれない状況がつくられています。

最高裁の第2次再審棄却を糾弾する
(昨年5・22狭山中央闘争)

 しかし、それぞれの地域での運動の歴史、本部派との力関係、行政との力関係、そこから規定される大衆の意識、それとしっかりと向き合って決起できる実践と論理があれば糾弾闘争への決起は可能です。それこそが、全国連の差別糾弾闘争基軸の三大闘争です。部落民的自覚をとりもどしていくことに、しっかりとこだわった支部の運動をおこしていきましょう。
 とりわけ、狭山闘争委員会の役割は重要です。狭山闘争委員会は、たとえば狭山署名や宣伝活動を主体的に担っていくことはいうまでもありません。同時に、狭山闘争委員会は、それぞれの支部で差別糾弾闘争の先頭にたつ役割を担わなければなりません。差別事件をほりおこし、差別にたいする怒りを組織し、そして部落民的自覚をつくりだしていくことに、狭山闘争委員会の役割のもう一方の軸があります。
 この狭山闘争委員会のたたかいがやりぬかれてはじめて、狭山闘争のもとに多くの部落大衆の差別への怒りが集中させられていきます。

分断支配うちやぶり、労働者階級との共闘を

 さらに、狭山闘争勝利のためには、もう一つのカギがあります。狭山闘争は一貫して、支配階級の治安弾圧、分断支配の道具として使われてきました。ですから、広範な労働者階級との共同闘争をつくりだすことが、もう一方の大きな勝利へのカギです。
 では、労働者階級との共同闘争はいかにしてつくりだしていくのでしょうか? 分断支配という観点からみたとき、多くの差別事件は労働者階級の内部からうみだされてきています。これにたいして、全国連はあくまでも階級連帯の立場から、「差別を許さない」という労働者階級への叱咤激励という意味をこめて、差別糾弾をとりくんでいきます。
 同時に、部落民の困難は、そもそも資本家階級による搾取と収奪がすべての根源です。それが部落民には差別的に行われているのです。
 全国連は資本家階級の搾取・収奪とのたたかいを、労働者階級との共同のたたかいとします。部落民の要求課題は、決して部落民だけのものではなく、階級全体のものとして存在しています。そういう意味で、部落解放運動の立場から労働者階級全体の要求や課題と積極的に一致させながら共同闘争をたたかっていくという姿勢をより強めていかなければなりません。

改憲阻止のたたかいに全力でたちあがろう!

 とくに、今年から本格的に憲法改悪の攻撃がはじまっています。改憲を許せば、部落解放運動も、労働者のたたかいも根絶やしにされてしまいます。教育基本法や憲法が変えられれば、「格差はあたりまえ」「差別はあたりまえ」という社会にされてしまいます。そうさせないために、改憲阻止のたたかいに全力で決起しましょう。
 改憲反対の広範な運動をつくりだしていくことは、狭山闘争にとっても大きな土台をつくりだします。また、改憲阻止闘争の大きな階級的うねりは、部落解放運動と結合することによって、より大きなものになっていきます。改憲の姿、ねらいがより明確になっていくものだと思います。全国連は狭山闘争と一体のものとして改憲阻止闘争をとりくみます。
 部落解放運動が積極的に改憲阻止闘争をたたかうことによって、労働者階級との中身のある共同闘争がつくられます。同時にそれが、労働者階級の階級としての自覚を促進していくと思います。

支部・県連大会の成功かちとろう!

 最後に、5・21狭山中央闘争には、新たに支部を結成した兵庫・播州赤穂支部、大阪・西郡支部が合流してきます。これは全国連の三大闘争路線の圧倒的正しさをしめすものです。解同本部派の裏切りと衰退、その中で全国連が頑張ってきたことでうみだされた動きです。
 まだまだ小さな動きです。しかし、今後、絶対に増えてきます。これが大きな流れになっていけるかどうか、これからの全国連のたたかいにかかっています。問題は全国連が、この情勢に対応できる方針がもてるかどうかです。
 5・21狭山中央闘争に全力でたちあがりましょう。そして、6月~7月、各支部・県連大会の成功をかちとりましょう。
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