第15回全国大会・運動方針

(2006年03月05日)

 
部落差別の悔しさ、怒りを共有し
部落民の自己解放闘争にたとう!


提案:全国連中央本部書記長・中田潔

解放運動の基盤うばう改憲を絶対に許すな!

 全国連にとって15回大会という節目の年ですが、部落解放運動にとっても、正念場をむかえています。本格的な憲法改悪の攻撃がはじまっています。
 自民党は、今の「平和憲法」とは正反対のものにしようというのです。憲法9条を改悪して、自衛隊を自衛軍にし、前文では戦争の放棄、平和、基本的人権よりも、天皇制を大きくかかげています。つまり、戦争のできる国にするための憲法だということです。
 戦後の部落解放運動がよってたってきた平和と基本的人権の尊重、平等主義が否定されています。また、天皇制が前面にだされることは、その裏返しとして部落差別が強められるということです。こんな憲法がまかりとおってしまっては、部落民の生きる権利がうばわれてしまいます。だから、全国連は組織の総力をあげて、憲法改悪を阻止するたたかいにたちあがりましょう。
 小泉政権は「構造改革」攻撃をいっそう強めてきます。昨年の郵政民営化につづいて、教育労働者への攻撃、公務員労働運動をつぶす攻撃が強まっています。戦争と差別に反対し、人権を語る「抵抗勢力」を破壊しようというのです。寝屋川への弾圧、連帯労組・関生支部への弾圧は、まさにそういうことです。
 小泉は「構造改革」の中で、「国がつぶれてもいいのか」と、私たちの権利や生活をドンドンうばう攻撃をかけています。定率減税の廃止、扶養控除の廃止、介護保険料の値上げ、たばこ1本あたり1円の値上げなど、絞るだけ絞る攻撃をかけてきています。部落大衆の生活の苦しさは、同和対策がなくなっただけではなく、この労働者全体を搾取する攻撃が強まっていることが原因です。小泉の「構造改革」が原因です。

アンケートで聞いた怒りと結びつこう!

 法がなくなってまる4年、厳しい状況が続いています。全国連は昨年から、「部落差別への意識調査活動」アンケートをほとんどの支部でとりくみました。
 「部落差別を受けた体験があるか、ないか?」を聞いたところ、8割のきょうだいが、差別体験をもっていることが明らかになりました。なかでも、結婚や恋愛に際して差別を受けたと、約半分の人が語っています。現在20代、10代の後半の人も差別を受けたと答えています。国や行政がいう「差別は今はない」というのは、全くのでたらめだというのが明らかになりました。
 「生活で困っていることは?」ときけば、「住宅家賃の値上げ、保育料値上げで、払えない。子どもが2人いるのに、1人しか保育所にあずけられない。くやしい」という声があがっています。「奨学金がなくなって、子どもを高校にいかせられない。奨学金を復活してくれ」という声も多くあがっています。
 新聞報道でも、「4人に1人の子どもが援助を受けないと学校にいけない」ということが一般地区でも起こっています。ところで、大阪府が実施した実態調査では、一般地区と同和地区の年収の格差は200万円という実態です。同和対策事業がなくなり、小泉の「構造改革」でドンドン搾り取られていくなかで、悲鳴に近い声があがっています。これは、全国の部落に共通です。
 わたしたちは、部落差別に苦しみ、生活のきびしさにやり場のない怒り、悲鳴をあげている部落大衆を全国連のもとに組織していかなければなりません。その場合、部落民的自覚をどこまでしっかり打ち立てられるかで、たたかいの強さ、組織の強さが決まります。
 解同本部派が屈服、行政の手先となっている厳しい状況のなかでも、部落大衆は「部落差別は国・行政の責任」「差別に腹がたつ」とアンケートで答えてくれています。部落大衆のなかに、差別に泣き寝入りしない、強い怒りが厳然と存在することがアンケートで明らかになりました。この怒りとむすびつくことができたとき、5万人組織建設はできます。

各地で、支部活動の大変革をかちとろう

 一方で、アンケートによって全国連の課題もうかびあがりました。
 「差別をうけたとき、また生活に困ったとき、誰に相談するか?」との質問に、6割の人が「自分で解決する」あるいは「親兄弟、友達に相談する」といっています。解放運動に相談する人はほとんどいないとの調査結果がでました。
 本部派の支部は、「たよりない」という一方で、「全国連に相談する」という回答もきわめて少ないのです。
 6割の人が「役所に交渉にいかなあかん」と思っているにもかかわらず、実際には6割の人が「自分で解決」か、あきらめてしまっているのです。一方で、「生活がしんどいのは自分の甲斐性」と思わされている人たちもいます。そう思わされている人が部落の中に圧倒的に多いのです。
 差別の原因がどこにあるのかをあきらかにしきれていない私たちの運動の弱さのあらわれです。また、これだけ部落差別が増えているのに、「部落差別が増えていることを知っていますか」との設問に、8割が知らない現実。自分たちの部落で、ビラや新聞がだされ、部落差別についてしっかり訴えられ、取り組まれていないのが原因と反省させられます。
 「全国連を知っていますか?」のといかけに、4割の人は「知っている」と答えてくれています。しかし、「支部長が誰か、知っていますか?」との答では、「知っている」人は3割にもとどきません。全国連をまったく知らない人も3割います。全国連の支部における日常活動のあり方、地域でのたたかいに大きな課題が残っています。
 要求闘争で、「この村はみんな人任せ。集会にもこない」との不満をよく耳にします。はたしてそうなのでしょうか。「全国連を知らない。支部長を知らない」という人にとって、全国連がどんな運動してるのかわかりようがありません。
 大衆がわるいのでなく、私たちがどれだけわかりやすく、やる気になるたたかいをしめしているのか、部落差別の仕組みをどれだけはっきりさせられているのか、ということです。

5・21狭山中央闘争に総決起しよう!

 厳しい状況のなかに、チャンスがあります。
 昨年、兵庫・播州赤穂で新しい支部が結成されました。解同本部派が差別事件をでっち上げたことに、そんな運動はおかしいとたちあがりました。インターネットで全国連を知り、結集してきました。こういう支部はこれから、どんどんでてきます。全国連がしっかりした運動をやれる組織であるかどうかが重要です。3大闘争に断固たちあがりましょう。
 昨年の14回大会で「差別糾弾闘争の復権」を訴えました。西郡の「エッタ」発言にたいする差別糾弾闘争、西宮のインターネットの差別書き込み糾弾闘争、荒本の駅名変更をめぐる差別事件のとりくみなど、意識的に差別糾弾闘争をとりくんできました。しかし、まだまだ少なすぎます。こんなはずではないと思います。きちっとやれば露骨な差別の現状が明らかになります。差別は絶対に許さないという全国連の気概をしめしていきましょう。「糾弾の全国連」といわれるまで、もっととりくみましょう。
 差別糾弾闘争は解放運動の原動力です。水平社は結成までには博多毎日差別糾弾闘争、そして結成後も高松差別裁判糾弾闘争など、激しい糾弾闘争をつみあげました。それが、差別をゆるさないという社会的な力関係をつくりました。差別はいけないという社会の認識をつくりました。
 憲法改悪がたくらまれ、基本的人権や平等主義や平和主義への攻撃を許さず、私たちは糾弾闘争を復活させて、差別を許さないという力強い部落解放運動を、全国連によってつくりだします。
 その全国連の最大の糾弾闘争が、狭山闘争です。国家権力による差別犯罪を糾弾する狭山闘争が労働者との連帯をつくりだし、差別を許さないという共通の認識をつくりだします。同時に、この狭山闘争は、差別をあおり、差別を新たにつくりだす国家権力と対決するものです。石川一雄さんのたたかいにこたえ第3次再審闘争にたちあがりましょう。5・21狭山中央闘争に全力で決起しましょう。

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