第二回 侵略戦争へ突進する安倍政権(前号のつづき)

(2016年02月28日)

 

安倍首相は、七月参議院選挙で「憲法改正を訴える」ことを明らかにしました。「九条」からではなく、与野党が合意しやすい「緊急事態条項」を憲法に加えることから始めようとしています。「緊急事態条項」は、大災害や戦争の緊急時には、内閣が国会に代わって国策を決定し、しかも、国民の権利を制限できるというものです。これは「戦時国家と独裁政治」へ道を開こうとするものであり、立憲主義と議会制民主主義を否定するものです。決して許すわけには行きません。昨秋の国会包囲闘争をさらに上まわる巨大な大衆の自主決起で、安倍戦争政権を打倒しよう.



三、アジア諸国と軍事協力の強化

昨年秋に強行採決された新安保法制は、中東-インド洋-南・東シナ海での主に石油輸送のためのシーレーン(海上交通航路)を軍事的に守るだけではなく、アジア地域を日本の強い影響がおよぶ勢力圏とするためのものです。

安倍政権による目まぐるしく進むアジアでの軍事協力を見ていこう。<br/>


(一) 豪州と「準軍事同盟国」に

今や、日本と豪州は軍事的な「準同盟国」です。「訪問部隊地位協定」を結び、部隊の運用や武器・弾薬などでの協力を強化して、日本国内での日豪共同演習もできるようになりました。 

豪州は、「世界一深く潜れて、音が静かで、潜水距離が長い」日本製の新型潜水艦で、海上輸送路の軍事的な確保をめざそうとしています。日・豪にとって、南太平洋の島しょ国海域や南シナ海は、石油・天然ガス・石炭などを輸送する重要な海域です。日・豪は、中国の南シナ海や南太平洋しょ島への進出に対して、この海域での勢力圏を共同して軍事的に対抗するために、準軍事同盟国へと踏みだしたのです。

すでに、豪州は、南シナ海の中国人工島の軍事的な警戒・監視を、米国の駆逐艦につづいて哨戒機で行いました。日・米・豪などによる共同軍事演習も行なわれています。南シナ海での制空と制海をめぐる中国と日・米・豪などの争いは、必ず軍事衝突に行き着かざるをえません。その緊張は日ごとに高まっています。


(二) 東南アジア諸国との軍事協力

この一年、安倍政権は驚くほどのスピードで東南アジア各国との軍事協力を進めています。フィリピン・ベトナム・インドネシアを軸に「防衛装備協定」を結び、南シナ海での中国の人工島建設による領土・領海拡大に、軍事力の増強で介入して対抗しようとしています。

フィリピンでは、自衛隊が基地使用できるようになり、海自の練習機と大型巡視船十隻を軍事供与しています。また、南シナ海・フィリピン沿岸部での米・比軍事共同演習には、陸自隊員が参加しています。

ベトナムでは、南部のカムラン湾海軍基地を海上自衛艦が、中部のダナン基地を海自哨戒機が使用して、自衛隊は南シナ海での活動範囲が大きく広がりました。また、ベトナム軍と初めての海上共同訓練が行なわれ、日米共同演習には、日本からインド洋で演習中の護衛艦と、ソマリア沖からも護衛艦の3隻が参加しました。

インドネシアとは、海洋の安全保障で協力することで一致して、今年に実施される多国間共同訓練「コモド」に海自が派兵されます。

南シナ海での領土・領海をめぐる争いは、日増しに軍事衝突へと向かっています。


(三) 日・印安保は「新たな段階」へ

日・印は「情報保護協定」によって軍事秘密のやりとりを行ない、インド洋のシーレーンを警戒監視システムで防衛協力をすでに行なっています。また、日・米・印によるベンガル湾での定期的な海上共同訓練が、海上自衛隊の艦船十隻が参加して行なわれています。インドは駆逐艦やフリゲート艦、米は原子力空母や原子力潜水艦が参加して、対空戦や対潜水艦作戦、そして、水上射撃訓練が行なわれました。

インドは、中国のインド洋進出に対抗して、東アフリカから東南アジア諸国と共に、逆に中国を封じ込もうとしています。

また、空母と原潜を二隻ずつの体制に強化し、インド艦船がベトナム寄航から自衛隊観閲式に参加しています。さらに、マラッカ海峡でタイ・インドネシアなどの東南アジア諸国との多国間の軍事演習を、豪州とは海軍の共同演習を行なっています。

核兵器保有国であるインドとの軍事協力の強化は、核戦争の参戦への道を開くことになります。また、「日・印原子力協定」は原発メーカーの輸出に大きく道を開くばかりか、インドの核保有を認めることになります。

日・印安保は、インド洋で対中国の戦時体制に突入していると言えます。

 


(次回は、「四、沖縄・辺野古新基地阻止へ」と、「第三回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』軍隊に」です)

 

四、沖縄・辺野古新基地の建設阻止へ


朝鮮有事の最前線基地

南西諸島への自衛隊配備


第三回 自衛隊が世界中で、『殺し、殺される』軍隊に


一、 年のイラク派兵で攻撃された自衛隊

駐屯地に十三回の迫撃弾砲撃<br/>

巡回中にデモ隊と一触即発<br/>


二、 南ス-ダンのPKO派兵

駆けつけ警護で交戦

警戒・監視活動の治安維持活動で標的に

 

三、 朝鮮半島沖・東シナ海での船舶臨検

船舶臨検の戦闘行動

四、機雷掃海の戦闘行動

中東・ホルムズ海峡

マラッカ海峡・南シナ海

 

五、 東アフリカのジブチ基地

 

六、 ソマリア沖の「海賊対策」

   

新安保法制と侵略戦争のはじまり

(2016年02月28日)

 

第三回 戦時国家へ突進する安倍政権(前号のつづき)

 

二、急ピッチにすすむ軍事大国化

 

いよいよ今年三月から、新安保法制が実施されます。安倍首相は七月参議院選挙で、「改憲を訴える」と宣言しました。憲法改悪と軍事大国化攻撃は一気に突き進もうとしています。今回は、安倍政権による「軍事大国化」の攻撃を具体的に見ていきましょう。

 

 


 

(一)史上最大の軍事予算と装備

 

安倍政権によって四年連続で増額してきた防衛費は、ついに史上はじめて五兆円を突破しました。すさまじい軍拡です。今年三月から実施される集団的自衛権の行使のために、兵器や武器を増強するためです。

 

地上から操縦する小型の無人偵察機や、レーダーで発見できないステルス戦闘機、部隊をすばやく運ぶ垂直離着陸輸送機オスプレイ、新型空中給油機、イージス艦と連動する早期警戒機、最新型の対潜水艦哨戒ヘリコプタ-、そして、上陸作戦用の水陸両用車、空輸ができて戦車の火力をもち高速移動できる機動戦闘車、また、イ-ジス艦、最新型潜水艦などが増強されます。いずれも、世界の最新鋭で最強の武器です。安倍政権こそ、果てしない軍拡の道を開く戦争内閣と言えます。

 


 

(二)軍事偵察衛星の増強

 

O八年から配備された軍事衛星は、今日では自衛隊の武力行使のために大幅に強化されています。

 

安倍政権は、情報収集ための軍事衛星を、現在の四機から十機体制に一気に増強します。天候や昼夜に影響されない、赤外線レーダー使用の早期警戒衛星は七機にもなります。これらの軍事衛星は、地球上のどこでも一日に何回も撮影できるものです。地上三Ocmの物体を判別できて、二四時間監視できる軍事偵察衛星は、武力行使と戦闘行動の勝敗を決める武器です。

 

そして、ミサイルや艦隊誘導に必要な「全地球測位システム(GPS)」を拡大しようとしています。今日の戦争にとって、このGPSがなければ攻撃も防御も不能になってしまいます。

 

この軍事衛星を打ち上げた日本の「H2Aロケット」は、世界の航空宇宙産業の最新技術をもち、先端に(核)爆弾を積めば戦略(核)ミサイルにもなります。

 

軍事偵察衛星の増強こそ、安倍政権が本気で戦争をやることの証左です。

 


 

(三)はじまった武器輸出と軍事援助

 

十四年に解禁された武器輸出は、いっきょに一八四一件にものぼっています。相手国は米国や中国など16カ国に及びます。しかし、品目の詳しいことは明らかにされていません。国家安全保障会議(NSC)の承認が必要な「重要案件」は、なんと一件という秘密主義です。特定秘密保護法によって、これからはもっと野放しに武器輸出は増えていきます。

 

安倍政権の狙いは、武器輸出の解禁によって、苦境に立つ国内の防衛関連企業(「死の商人」)を支援することです。新設された「防衛装備庁」(制服組が入庁)は、三菱重工や川崎重工など約二OOの防衛関連企業(下請などで約二OOO社)と一体となって、海外での販売拡大を進めています。

 

また、十七年ぶりに増額したODA(政府開発援助)で、軍事援助ができるようになりました。経済のみならず軍事においても、ASEAN諸国などの途上国を、日本の勢力圏に組み込もうとする安倍政権の野望が透けて見えます。

 


 

(四)初の日米統一指揮機関の発足と軍部(自衛隊)の台頭

 

安倍政権は、自衛隊と米軍を「平時から緊急事態までのあらゆる段階」に即して、一体的に運用するために、日米の新しい協議機関である「同盟調整メカニズム」を設置しました。日米による初めての「統一指揮機関・司令部」です。「メカニズム」ではただちに作戦が決定され、部隊に詳しい指示が出されます。

 

すでに、横須賀の米第7艦隊司令部と、横田の在日空軍司令部には、自衛隊幹部が配置されています。

 

また、自衛隊の軍部としての台頭は突出しています。文官が制服組をコントロールする「文民統制」はなくなりました。自衛隊の最高幹部が、直接、防衛大臣に軍事政策や方針を進言する体制に変わりました。自衛隊(軍部)の突出は戦前への回帰そのものです。

 


 

(五)北朝鮮に宣戦布告した中谷暴言

 

中谷防衛相は韓国国防大臣との会談で、「朝鮮半島有事の際には、『韓国の同意がなくても』、自衛隊は独自で、北朝鮮への戦争ができる」と暴言を吐きました。朝鮮侵略戦争への安倍政権の露骨な本音が出ています。

 

韓国は憲法で北朝鮮を韓国領としており、韓国の了解なしに北朝鮮への攻撃はできないことを、中谷は百も承知で、韓国政府を居丈高に恫喝し、北朝鮮を挑発したのです。

 

三月~四月、八万人が参加する米韓軍事演習(朝鮮戦争を想定)は、新安保法制下で自衛隊が後方支援作戦(武力行使)を行なう、はじめての日・米・韓の軍事共同演習となります。一月はじめ、北朝鮮が「水爆実験」・核保有化を公表したこともあり、極めて緊迫した軍事演習になります。

 

安倍政権による朝鮮侵略戦争の野望を必ず打ち砕こう。

 


 

(六)南シナ海への自衛隊派兵

 

安倍首相は、米国が南シナ海の中国人工島周辺を、イージス駆逐艦(横須賀基地が母港)で巡航させて威嚇したことを支持しました。そして、南シナ海に自衛隊を派兵する検討に入りました。

 

自衛隊はすでに南シナ海で、米軍や東南アジア諸国連合(ASEAN)との共同軍事訓練に参加しています。新安保法制では、米艦船を守るために南シナ海でも自衛隊艦船が後方支援を行ないます。米艦船などが攻撃されれば、自衛隊は攻撃を受けていなくても反撃します。

 

南シナ海での領土領海をめぐる中国とベトナム・フィリピンなどとの国家間の争いは、東南アジア全域の泥沼的な軍事衝突に発展しかねません。安倍政権は、南シナ海への武力行使によって、シーレーン(海上交通路)防衛と、日本の勢力圏づくりを狙っているのです。

 

   

新安保法制と侵略戦争のはじまり

(2016年02月28日)

 第三回 戦時国家へ突進する安倍政権(前号のつづき)


二、急ピッチにすすむ軍事大国化
いよいよ今年三月から、新安保法制が実施されます。安倍首相は七月参議院選挙で、「改憲を訴える」と宣言しました。憲法改悪と軍事大国化攻撃は一気に突き進もうとしています。今回は、安倍政権による「軍事大国化」の攻撃を具体的に見ていきましょう。

(一)史上最大の軍事予算と装備
安倍政権によって四年連続で増額してきた防衛費は、ついに史上はじめて五兆円を突破しました。すさまじい軍拡です。今年三月から実施される集団的自衛権の行使のために、兵器や武器を増強するためです。
地上から操縦する小型の無人偵察機や、レーダーで発見できないステルス戦闘機、部隊をすばやく運ぶ垂直離着陸輸送機オスプレイ、新型空中給油機、イージス艦と連動する早期警戒機、最新型の対潜水艦哨戒ヘリコプタ-、そして、上陸作戦用の水陸両用車、空輸ができて戦車の火力をもち高速移動できる機動戦闘車、また、イ-ジス艦、最新型潜水艦などが増強されます。いずれも、世界の最新鋭で最強の武器です。安倍政権こそ、果てしない軍拡の道を開く戦争内閣と言えます。

(二)軍事偵察衛星の増強
O八年から配備された軍事衛星は、今日では自衛隊の武力行使のために大幅に強化されています。
安倍政権は、情報収集ための軍事衛星を、現在の四機から十機体制に一気に増強します。天候や昼夜に影響されない、赤外線レーダー使用の早期警戒衛星は七機にもなります。これらの軍事衛星は、地球上のどこでも一日に何回も撮影できるものです。地上三Ocmの物体を判別できて、二四時間監視できる軍事偵察衛星は、武力行使と戦闘行動の勝敗を決める武器です。
そして、ミサイルや艦隊誘導に必要な「全地球測位システム(GPS)」を拡大しようとしています。今日の戦争にとって、このGPSがなければ攻撃も防御も不能になってしまいます。
この軍事衛星を打ち上げた日本の「H2Aロケット」は、世界の航空宇宙産業の最新技術をもち、先端に(核)爆弾を積めば戦略(核)ミサイルにもなります。
軍事偵察衛星の増強こそ、安倍政権が本気で戦争をやることの証左です。

(三)はじまった武器輸出と軍事援助
十四年に解禁された武器輸出は、いっきょに一八四一件にものぼっています。相手国は米国や中国など16カ国に及びます。しかし、品目の詳しいことは明らかにされていません。国家安全保障会議(NSC)の承認が必要な「重要案件」は、なんと一件という秘密主義です。特定秘密保護法によって、これからはもっと野放しに武器輸出は増えていきます。
安倍政権の狙いは、武器輸出の解禁によって、苦境に立つ国内の防衛関連企業(「死の商人」)を支援することです。新設された「防衛装備庁」(制服組が入庁)は、三菱重工や川崎重工など約二OOの防衛関連企業(下請などで約二OOO社)と一体となって、海外での販売拡大を進めています。 また、十七年ぶりに増額したODA(政府開発援助)で、軍事援助ができるようになりました。経済のみならず軍事においても、ASEAN諸国などの途上国を、日本の勢力圏に組み込もうとする安倍政権の野望が透けて見えます。

(四)初の日米統一指揮機関の発足と軍部(自衛隊)の台頭
安倍政権は、自衛隊と米軍を「平時から緊急事態までのあらゆる段階」に即して、一体的に運用するために、日米の新しい協議機関である「同盟調整メカニズム」を設置しました。日米による初めての「統一指揮機関・司令部」です。「メカニズム」ではただちに作戦が決定され、部隊に詳しい指示が出されます。
すでに、横須賀の米第7艦隊司令部と、横田の在日空軍司令部には、自衛隊幹部が配置されています。
また、自衛隊の軍部としての台頭は突出しています。文官が制服組をコントロールする「文民統制」はなくなりました。自衛隊の最高幹部が、直接、防衛大臣に軍事政策や方針を進言する体制に変わりました。自衛隊(軍部)の突出は戦前への回帰そのものです。

(五)北朝鮮に宣戦布告した中谷暴言
中谷防衛相は韓国国防大臣との会談で、「朝鮮半島有事の際には、『韓国の同意がなくても』、自衛隊は独自で、北朝鮮への戦争ができる」と暴言を吐きました。朝鮮侵略戦争への安倍政権の露骨な本音が出ています。
韓国は憲法で北朝鮮を韓国領としており、韓国の了解なしに北朝鮮への攻撃はできないことを、中谷は百も承知で、韓国政府を居丈高に恫喝し、北朝鮮を挑発したのです。
三月~四月、八万人が参加する米韓軍事演習(朝鮮戦争を想定)は、新安保法制下で自衛隊が後方支援作戦(武力行使)を行なう、はじめての日・米・韓の軍事共同演習となります。一月はじめ、北朝鮮が「水爆実験」・核保有化を公表したこともあり、極めて緊迫した軍事演習になります。
安倍政権による朝鮮侵略戦争の野望を必ず打ち砕こう。

(六)南シナ海への自衛隊派兵
安倍首相は、米国が南シナ海の中国人工島周辺を、イージス駆逐艦(横須賀基地が母港)で巡航させて威嚇したことを支持しました。そして、南シナ海に自衛隊を派兵する検討に入りました。
自衛隊はすでに南シナ海で、米軍や東南アジア諸国連合(ASEAN)との共同軍事訓練に参加しています。新安保法制では、米艦船を守るために南シナ海でも自衛隊艦船が後方支援を行ないます。米艦船などが攻撃されれば、自衛隊は攻撃を受けていなくても反撃します。
南シナ海での領土領海をめぐる中国とベトナム・フィリピンなどとの国家間の争いは、東南アジア全域の泥沼的な軍事衝突に発展しかねません。安倍政権は、南シナ海への武力行使によって、シーレーン(海上交通路)防衛と、日本の勢力圏づくりを狙っているのです。
   

新安保法制と侵略戦争のはじまり

(2016年02月28日)

 第二回 戦時国家へ突進する安倍政権

四月に合意された「日米ガイドライン(防衛協力の指針)」と、九月に強行採決された安保関連十一法(新安保法制)によって、憲法違反である「集団的自衛権の行使」が合憲とされました。
戦後の安全保障政策であった「専守防衛」は、安倍政権によって根本的に転換され、「海外で戦争ができる『ふつうの国』」へと大きく舵が切られました。
新安保法制の来年三月実施を大きな節目にして、自衛隊は恒常的な戦時体制に突入します。この恐るべき戦争と反動の歴史的な転換点に、部落解放運動の未来をかけて真正面から立ち向かいましょう。
シリ-ズの第二回として、「戦時国家へ突進する安倍政権」を掲載します。
一、海外で戦争ができる「ふつうの国」に
では、新安保法制と日米ガイドラインによって、これからの日本は具体的にどうなるのでしょうか。 そのキ-ワ-ドは、『安倍政権による朝鮮・アジア-中東への侵略戦争と戦時国家づくり』です。今日、この戦争国家づくりにそって、すべての政治と政策の方針が決められています。具体的に見ていきましょう。
(一)「いつでも、世界中のどこへでも」派兵される自衛隊
なによりも、新安保法制によって、自衛隊の活動する地理的な制約がすべて取りはらわれたことです。「いつでも」、「世界中のどこにでも」、自衛隊を派兵することが可能となったことです。
具体的には、米軍を中心とした「多国籍軍」や「有志連合」が、中東をはじめ世界各地で行なっている戦争に、自衛隊が派兵されて参戦することです。戦闘現場と一体となった「後方支援(兵たん)」活動をやることになります。
「『イスラム国』への空爆参加や後方支援は考えていない」と政府は国会で答弁していますが、新安保法の法律では否定されていません。「地球の裏側」の「戦場」にまで自衛隊が派兵されて、侵略戦争に参戦することになります。
(二)米軍などの武力行使と一体となった「後方支援」
「後方支援」とは、戦闘現場とかけ離れた後方の安全な場所で、軍事支援活動を行うことでは決してありません。
たとえば、米軍や韓国軍などの艦船や航空機を防護するために、敵国が米韓軍などを攻撃したならば、自衛隊が攻撃を受けていなくても、敵国を攻撃することが「後方支援」活動なのです。最前線での戦闘行為そのものと言えます。
また、後方支援は、戦争行為に不可欠で重要な「兵たん」活動であり、戦争現場では真っ先に狙われます。弾薬の提供(劣化ウラン弾も)、発進準備中の戦闘機やヘリへの給油(潜水艦探索のために、ヘリ空母「おおすみ」で給油)や空中給油、武器や兵士の輸送など、どれをとっても戦闘行動の一環そのものです。
「現に戦闘行為が行われている現場」以外であれば「後方支援活動」ができるとしていますが、自衛隊が攻撃される危険性が極めて高まることは必至です。
(三)攻撃されなくても相手国を攻撃できる
新安保法制では、日本が攻撃されなくても、米軍などが攻撃されれば、その相手国を攻撃するという、信じられない戦争行為が正当化されています。
日本海で弾道ミサイル発射に対処する米国のイ-ジス艦や、警戒中の米軍機への攻撃を防護するために、相手国を攻撃したり、相手国の基地へ「先制攻撃」もやるというものです。
このように集団的自衛権の行使とは、「自衛」のためのやむえない戦争などではなく、侵略戦争の行為そのものといえます。
(四)でたらめな集団的自衛権の行使の理由
安倍首相は集団的自衛権の行使を閣議決定した後の記者会見で、その理由をわは、わざわざ大きなパネルまで用意して説明しました。「有事で日本人の母子を乗せて避難する米艦を守るために、集団的自衛権の武力行使をする」のが集団的自衛権だと。しかし、これは大ウソのデチアゲでした。 米軍幹部は「米艦に他国の国民を乗せて救援することはない」と明言しました。また、中谷防衛大臣は「邦人が乗っているかは、絶対的なものではない」と安倍発言を否定して、集団的自衛権の行使の前提を簡単にひっくり返したのです。
また、「中東・ホルムズ海峡での機雷除去」についても、石油のシ-レ-ン封鎖は日本国家の存亡の危機になると声高に叫んで、集団的自衛権の行使の最大の理由にしていました。ところが、国会答弁では「現実問題として発生することは具体的に想定していない」と、あっさりとひるがえしました。 こんなウソとデタラメな理由をデッチアゲて、国民を愚弄するのもいいかげんにしろと言いたい。 (五)自衛隊派兵は「国会の事前承認」がいらない
自隊の派兵は、緊急時には、内閣が独自に判断と決定を行ない、国会の事前承認は必要がないとなっています。時の政権の裁量で、「日本に重要な影響がある」と「総合的に判断」すれば、集団的自衛権の行使ができるというものです。
これでは、時の内閣に「白紙委任」するのと同じです。また、政府の裁量の中身は「ブラックボックス」です。これでは、海外での自衛隊の活動が、その後、「間違っていた」となる危険は常に起ります。 米国と有志連合が、イラクに大量破壊兵器があると断定してイラクへの侵略戦争を行ないましたが、その後にそれがないことが判明しました。日本もこの二の舞をやろうというのでしょうか。そんなことは決して許されません。
なによりも、「特定秘密保護法」(13年12月成立)によって、自衛隊活動はすべて国家の軍事機密と特定されれば、国民にはすべてが非公開となってしまいます。
もはや、戦前・戦時中の独裁政治による戦争国家の復活とすら言えます。
(六)「平時」から武力行使できる「武器等防護」
有事における集団的自衛権の行使の「抜け道」で、内閣の判断や国会の承認も必要としないで、「平時」でも武器使用ができるというもの。
防衛大臣が他国の要請を受け、「必要」と判断して指示を出せば、現場の自衛官の判断で、ミサイル迎撃による阻止や、対艦ミサイルによる反撃ができます。
政府は「武力行使に当たらない武器使用だ」と必死に弁明していますが、あきらかに平時から有事までの「切れ目のない」臨戦体制づくりと言えます。恒常的な戦時体制に突入した安倍戦争政権を打倒しよう。

【次回】

二、急ピッチにすすむ軍事大国化
(一)防衛予算の増大
(二)はじまった武器輸出
(三)ODA(政府開発援助)による軍事援助
(四)軍事偵察衛星の配備
(五)軍部(自衛隊)の台頭

三、沖縄・辺野古新基地の建設を阻止しよう!
(一)沖縄の最前線基地化の強化を許すな
(二)「オール沖縄」の闘いに連帯しよう
   

連載 現地調査で見る石川さんの無実

(2015年09月10日)

 

    今月から、石川一雄さんの無実と事件の差別性をあらためて学習していくために、シリーズを開始します。
    狭山事件についての学習は、現地調査が一番ですが、シリーズではこの狭山現地調査にそったかたちで、確定判決のデタラメさを明らかにしていきたいと思います。
    また単に「現地調査の手引き」ではなく、再審棄却決定の批判や、第3次再審で出された新証拠など、現在の争点についても、各地点の解説の中で明らかにしていきたいと思います。
第1回 狭山市駅と石川さんのアリバイ
1,石川さんの真実の行動

●狭山市駅(旧入間川駅)
    1963年5月1日、石川さんは朝7時20分ごろ、仕事に行くと言って家を出ました。しかし仕事をさぼり、西武園で時間つぶしたり、所沢でパチンコをしたりして、午後2時半ごろに駅に戻ってきました。
    そして時間をつぶすために、中央図書館(旧市役所)の方へ歩いて行きました。

   
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安倍政権・改憲とのたたかい(要旨)

(2015年04月14日)

 斉藤貴男(ジャーナリスト)さん 第24回全国大会の記念講演
   24回大会は、『戦争のできる国へ─安倍政権の正体』などの著書がある斉藤貴男さんから記念講演を受けました。大変説得力のあるご講演でしたが、紙面の都合上、編集部の責任で主旨 第24回大会で講演する斉藤貴男さん を掲載します。

    安倍政権が憲法の改悪を目指して準備を進めています。すでに昨年7月に集団的自衛権の行使容認が閣議決定されました。この路線に沿って自衛隊法や周辺事態法も改訂されます。国家安全保障基本法案も用意されています。これらが整備されていくと社会はどうなっていくのでしょうか。 
   
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「虚偽自白はこうしてつくられる」を読む

(2015年03月17日)

 狭山事件・取り調べ録音テープの鑑定 「虚偽自白はこうしてつくられる」 浜田寿美男著 現代人文社
 浜田寿美男著 現代人文社
《寺尾判決と自白》   
    1974年10月31日、東京高裁・寺尾裁判長は石川一雄さんに対する無期懲役判決を下した。その政治的意図や寺尾個人の心情は別にして、有罪判決が拠り所にしようとしたものは何か。それは警察権力によって半ば強制され、半ば捏造された「自白」である。
   
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医療・介護など社会保障の改悪許すな!(第2回)

(2015年02月12日)

 国による医療や介護保険制度の「丸投げ」反対
    国保や介護保険制度は、これまで市町村へのとりくみでした。医療・介護総合法では、「効率的な医療供給体制」にするとしています。
    国は、2018年までに国保の運営責任を市町村から都道府県に移す計画です。都道府県には、病院の病床(ベッド)数を機能ごとに再編する権限が与えられます。(2015年通常国会提出)。
   
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消費増税は延期ではなく撤廃だ!

(2014年12月11日)

 侵略戦争にむかう安倍政権を打ち倒そう!
私たちの賃金は下がる一方 内部留保をため込む大企業

    安倍政権は、アベノミクスでデフレから脱出し、日本を成長軌道に乗せ、来年10月から消費税を10%にするとしていました。しかし現実は、成長どころか、完全に失速し、消費税 ボロボロ解体をはじめた第2次安倍内閣 増税を2017年4月まで延期し、衆議院を解散しました。絶対に許せません。わたし達は、消費税増税を阻止し、戦争に向かう安倍政権を打倒するまでたたかいます。
消費税は景気を冷やし、大企業のリストラを促進する
    4月の消費税増税によって景気は悪化し、中小事業者・国民の働く場を奪っています。政府は、リーマンショック以降、貯めに貯めこんだ大企業の内部 所得が低いほど消費税負担率は高い!(年収200万円未満の人の負担率は年収1500万円以上の人のおおよそ2倍!) 留保金を吐き出させ、雇用と消費を拡大させねばならないのです。
    政府は福祉のための消費税だといいますが、それは全くのデタラメです。消費税は1989年から始まりました。その税収は延べ224兆円です。その間、大企業は法人税、法人事業税、法人住民税の全てで減税され、減税額は208兆円です。まさに、消費税は、ほとんど大企業の減税に当てられたということができます。それだけではありません。消費税はリストラを推進します。消費税は売上から仕入れ、経費分を差し引いて納税額を決めます。人件費分は差し引けませんが、外注化すると経費として引けるため、大企業は正職を派遣労働者に置き換えることで消費税を大きく軽減するのです。消費税によって労働者はリストラされ、低賃金で働かされることになっているのです。
   
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狭山「自白」調書は誘導によって作られた 録音テープを分析した浜田鑑定(2)

(2014年11月18日)

 【取り調べ録音テープの反訳】
    浜田鑑定は、2010年5月に開示された取り 1963年6月25日の取調録音の反訳書の一部 調べ録音テープを反訳したものを「心理学的分析」として鑑定したものです。
    今回、「いったん被害者を芋穴に逆さづりにして隠した後、脅迫状を届け、その後農道に穴を掘って被害者を運ぶところ」の具体的やりとりをみてみます。 (左上より。警官1、2、3と石川さんのやりとり。テープがよく聞き取れないところは***としています。)
    録音テープの反訳を読むと、石川さんは最初被害者を引きずって農道まで運んだと言っている。その割に背中が汚れていないことを指摘され、警官3によく考えろ言われた後、録音が中断し、再開後突然「抱いて運んだ」と変わっています。取り調べ警官の誘導によって自白調書が作られたことがはっきりと見て取れます。    
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