2026年4月の記事

トランプ、高市とたたかう大統一戦線を!

再審法は議員立法で!

5・22狭山中央行動へ

第35回全国大会に結集しよう



 第4次狭山再審は、家令裁判長が退官し新たに前田巌裁判長が就任(任期4年半)、陪席の佐脇裁判官も交替で、ゼロからのスタートとなりました。 5月中旬に三者協議で顔合わせ、プレゼン日程調整は予定されているが、これは家令裁判長の「置き土産」に過ぎず新任の資料読み込みに半年はかかると言われています。
 他方、再審法は風雲急を告げています。請願署名は、一月余りで4万筆をこえ、国会では法務省の改悪案についての自民党内審査で「異例」の紛糾。法務省はインチキな修正案で自民党内をとりこみ、連休明け強行突破を狙っています(詳細は別掲参照)。
 これに対して、4・18渋谷アクション、4・22記者会見・署名提出集会が行われ、石川早智子さんも参加、狭山が位置づいた再審法改正の市民運動になっています。
 こんにち只今、請願署名を全力で集めましょう。国会情勢には首都圏を中心に臨機応変に対応しつつ、5・22に全国から結集して中央行動をやりましょう。

侵略戦争反対・狭山勝利

 全国連は、第35回大会の開催にあたって、次のように考えます。
 1つは、アメリカ・トランプのイランをはじめとした侵略戦争を断固阻止し、高市政権との全面対決を宣言します。世界戦争の危機、排外主義の暴走、衆議院で自民党が3分の2の状況にたいし、全国連は新たなたたかうネットワークを提案します。大軍拡・改憲、差別排外主義の暴風に抗して、国政、地域の両面から支援・連帯・共生・共闘をつみあげ、大統一戦線をつくりだしていこうという提案です。
 2つめに、石川一雄さんの死をのりこえて、第4次狭山再審闘争でいかに勝利するのか、その指針をうちたてます。一雄さんの無念を早智子さんが引き継いで、第4次再審請求をしました。この第4次再審請求で何としても勝利しなければなりません。そのためにも、議員立法による再審法の改正を、総力をあげて実現しましょう。

生きるための要求闘争を

 3つめに、生活の窮乏化、社会保障のきりすてに対して、部落解放運動から「要求闘争」は死語と化しています。しかし、ガソリンの暫定税率の廃止もイラン攻撃で吹き飛び、物価高騰と実質賃金の減少は、歯止めがかかりません。少子高齢化、多死化、孤立化がどんどん進んでいます。だからこそ、住宅、労働、医療、教育、いずれをとっても、生きる権利を守る生活要求闘争が今こそ必要です。
 4つめに組織建設について、全国連が1年を超えて実施した青年生活アンケートに基づいた、青年部建設の課題を提案します。また、若者に今の部落問題をどう語り継ぐのか、そのためにこそ綱領作成委員会を進めていきます。
 なお今回は会場の収容人数の関係で、厳密に全国連の代議員と、御発言の来賓の方の参加に限定させていただきます。


アメリカ・トランプのイラン侵略戦争弾劾!

第35回全国大会議案書(案)

 今月は、6月7日に開催する全国大会の議案書のうち一部を掲載します。

第1章 2025年度 活動報告 (案) 

はじめに  

 国内では高市政権が誕生し、あっという間に強引な衆議院解散と総選挙に打って出ました。結果、465議席のうち自民党が316議席を獲り、単独で三分の二を得るという圧倒的な勝利を収めました。「庶民の味方」であるはずの野党は立憲民主党(公明党との中道改革連合)をはじめ、社民党、共産党らが大敗北を喫しました。
 一方、国外ではアメリカ・トランプ政権がベネズエラへの攻撃やイランに爆撃をしかけるなど、国の元首・指導者ばかりかそこに住む罪もない子どもたちをはじめ何万人もの人々を殺し、生活を破壊し、大混乱に陥れています。ホルムズ海峡では攻防が激化し、世界戦争「第三次世界大戦」の危機さえ感じます。高市はなんと、その諸悪の根源ともいうべきトランプ本人に面と向かって「世界の繁栄と平和に貢献できるのはドナルドだけだと思っている」と言い切りました。この一言だけでも高市とはどんな政治家なのか明確です。
 こうした影響化でとどまる事のない物価高騰や医療費制度の改悪等々で、私たちの毎日の生活が脅かされて続けています。詳細な分析と検討は情勢論と方針案の章に委ねるとして、2025年からこの2026年に入って凄まじい情勢の真っただ中にあるということは誰もが実感していることでしょう。
 そんな中にあって、私たち反戦・反核・反差別を柱とした全国連と部落解放運動はどうあるべきなのか。狭山の再審実現と大衆の生活を守るための闘争を軸とした日常活動をどう充実・発展させなければならないのか。焦眉の課題となっている次世代への継承をどう考え、強化・拡大していかなければならないのか。この一年をふりかえりながら全体であらためて議論していく契機としましょう。

1.全国大会 ――「次世代へ」「100年戦争へ」決意を固める

 「次の世も 生まれし我はこのムラに 兄弟姉妹と差別根絶」。石川一雄さんの“辞世の句”ともいうべきこの歌をメインスローガンに、6月8日大阪で第34回全国大会を開催しました。村上委員長を先頭に、石川さん逝去の悲しみから立ち上がり狭山闘争の再起を誓う大会となりました。
 3月11日、石川一雄さんが志なかばで亡くなったこと、それは「警察・検察・裁判所、この国家権力が部落差別を貫き、石川さんを殺した」ということであること、絶対に許すことなく恨みを晴らさなければならないこと、10年20年かかるかもしれないが部落解放・差別糾弾をたたかう者として権力との100年戦争というぐらいの決断に立つこと、石川さんの化身となって妻・早智子さんとともに第四次闘争で再審を実現して無罪を勝ち取り、墓前に報告すること、そのことをあらためて宣言しました。
 大会ではまた、『狭山第四次再審闘争』と同時に『組織建設』と『綱領の作成』についてその三つの課題を一つのものとして取り組むことも打ち出し、部落解放運動を次の世代につなげていくこと、部落問題を伝え、闘いを継承していく、その運動の軸をこの大会を契機にして作り出すことを提起し、確認し合いました。

2.狭山第四次再審闘争 ――再審法改正要求と一体で

 この一年も全国各地で集会・学習会、駅前などの主要箇所で署名や街宣活動をおこないました。特に東京高検と東京高裁への要請行動には法務省への再審法改正の要請行動にも取り組みました。さらに会報『狭山大運動』で狭山闘争に関する「提言」を掲載し、その会報を全国連以外の運動団体や狭山闘争に心を寄せる全国の人士、狭山弁護団の弁護士たちにも送り、訴える活動も展開しました。

■狭山現地調査で冤罪を確信
 今年度も現地に行きました。10月13日「狭山事件の再審を実現する大運動」の狭山現調には19人の小・中学生も含めた初参加がありました。当時の捜査当局がでっち上げた犯行シナリオがいかにデタラメか、現地を歩いて再確認し、学習しました。   

■東京高検、東京高裁へ要請行動
 この一年も東京に決起し、ほぼ毎月の要請行動を展開しました。特に東京高裁・狭山担当の家令裁判長が3月に退官することを念頭に、その前の三者協議の重要性と事実調べ・鑑定人尋問を決断するかどうかの最大の正念場でありました。
 東京高検では、「石川一雄さんの遺骨は事務所に置かれたままであり、一日も早く石川家のお墓に入れるようにしてあげたい。東京高検は、弁護団の求める鑑定人尋問のこれ以上の引き延ばしをするな」「狭山現地調査に行って、警察は石川さんを犯人に仕立てるためにありえないことをよくも次々と重ねたことがわかった。石川さんの部落に行きつくように、証拠の数々がでっち上げられていることも改めて感じた。当時の原検事は、石川さんが差別による貧しい生活を強いられた現実を『悪の巣窟』と言った。断じて許さない」 「殺害現場とされた場所でのルミノール反応検査を証拠開示してほしい」「(第3次再審から)検察は、19年間も事実調べをさせないよう引き延ばしを図ってきたことを自覚すべきだ」と糾弾してきました。
 また、東京高裁には「鑑定人尋問の実施をぜひ決断してほしい」「問題は、石川さんが亡くなって早智子さんが第四次再審請求をした」「19年間引き延ばしておいて、さらに引き延ばすことは許されない。直ちに鑑定人尋問を始める決定をしてほしい」「石川さんの死には裁判所に責任の一端がある。裁判所が石川さんを殺したと言われても、弁解の余地はないはずだ。家令裁判長は決断をすべきだ」と訴えてきました。

■東京高裁前での街宣活動
 東京高裁前では恒例の「官庁街昼休み街宣活動」をおこなってきました。石川さんの大きな写真を印刷した大横断幕を掲げ、ノボリを林立させ、チラシと署名行動を展開しました。 特に第4刑事部・家令裁判長に聞こえるようにマイクのスピーカーを高裁に向けて再審開始と事実調べを要求するアピールを続けました。チラシを配る人も署名を集める人も参加した上京団たちは道行く一人でも多くの人に知ってもらおうと限られた時間を、集中して訴え行動を取り組みました。

■法務省へ再審法改正の要請
 法務省に出かけて再審法改正の要請にも力を入れてきました。法務省は今まで要請書の受け取りすら拒否し、「郵送なら受け取る」などと勝手な解釈で、当然の請願権をも無視し続けてきました。これに対して「ふざけるな!」「受け取るまで何度でも抗議行動を続けるぞ!」と姿勢を弾劾してきました。
 そして、とうとう今年の2月10日の要請行動で初めて要請文を、玄関前ながら受理させました。憲法16条に「何人も法律の改正に関し、平穏に請願する権利を有し、何人もかかる請願をしたためにいかなる差別待遇を受けない」とあります。当然のことなのです。今後はこれまでの対応について責任ある回答を求め、引き続き再審法の改正にむけての闘いを強化していくことを確認しました。

■「提言」を狭山闘争の共同綱領に!
 全国大会の直後に狭山大運動の共同代表4名の連名による「第四次再審闘争勝利に向けた提言」が発信されました。内容の柱は① 石川一雄さんの訴えを基本に据えていこう、② 「証拠のねつ造」で再審を開始させよう、③ 部落差別による冤罪を明確にしていこう、④ 争点を絞って迅速な審理を要求しよう、⑤ 公開と市民の知恵の結集をすすめよう、⑥ 再審法改正をかちとろう、というもので基本的で原則的かつ当然の文書です。(※詳細は2025年7月の「狭山大運動」会報37号を参照ください)これは三者協議や、弁護団の動きや、証拠開示の進捗状況などの情報が公表されず、しかもあまりにも秘密裏におこなわれているようで、狭山闘争が「市民運動」「全国展開」となっていないことに対するやむにやまれない行動です。
 これに対して、10・31(東京高裁・寺尾による無期懲役判決51年)を前に各界から続々と反響が寄せられました。
 「提言読ませていただきました。Aさんにも送りました。Aさんは、開示証拠の公開や記者会見―世論形成について、激しく同感です。私もたくさん共感ですが、再審法についてもっと言及してほしい。早智子さんは、再審法が改正されなければ、私が生きているうちに一雄さんの無念は晴らせない、と言っています」
 「証拠の捏造で再審を、はその通り。品が無いのは20年も野ざらしにした裁判所。何ら躊躇することはない。万年筆にしても、被害者のものとは言えないなどと言う、わけのわからないことを言っては…とも思う」などなど。解放同盟(本部派)の古参幹部も「石川一雄さんの健在のうちに間に合わなかったのは残念でならない。自分は、下山鑑定が出たときに、これ一本で勝負をかけるべきだと思ったのに、そうならなかったのだ」と別の機会に述べていました。
 今回、狭山大運動の共同代表が発した「提言」をさらに広範に広め、あらゆる垣根をこえて当該、弁護団、支援者、運動団体の共同綱領にしていきましょう。

3.組織建設のとりくみ ――「次世代へ」を重点課題に

■青年の組織化…6月、10月、1月に青年対策会議
 一昨年度から「若者の掘り起こしと組織化」中央執行部が責任をもって主催し、青年対策会を復活させ、年間を通じて議論を重ねてきました。
 『親が子に聞く青年アンケート』は、ついに目標の三ケタ100通を超えました。これらの声を青年部建設の具体方針にする「政策検討会」の設置を決定しました。
 青年部幹事会の再始動の動きも報告され、幹事未選出地域には幹事の推薦も要請されています。
 10月と1月の青年対策会議では、現代の青年が置かれている「孤独」についての議論が交わされました。たとえば東京新宿の「トー横」や大阪ミナミの「グリ下」に集まる「居場所がない孤独な若者たち」の中に、部落の子もたくさんいるのではないか。部落の団地からの飛び降りという痛ましい出来事も報告され、孤独に暮らし、うつなどの健康状態の変化に周りが気づけないことが何を引き起こすのか。“つながる”ということで命を守る、青年部の意義と責任、若者の組織化の重要性を強く自覚させられました。
 また、広島『はだしのゲンとつながる会』、奈良の親子や若者を対象とした『狭山映画会』などの企画、「日の丸・君が代反対の申し入れ」行動、大阪での昨年の『親子で狭山事件を考えるつどい』の成果を受けての『石川一雄さんの短歌をよむ会』の開催、河内合同労組と支部青年部での共同での狭山署名ムラ周り…。こうした具体的に青年とつながる取り組みが次々と始められている報告がありました。
 こうしたことを事務局的に集約し、分析と提案作業をおこなう「政策検討会」を3月に立ち上げました。

■婦人部活動…10月に山口で第34回全婦大会
〝五感(観る、触る、聴く、実験してみる)を使って狭山を知らない世代にも拡げていこう〟をメインスローガンに10月4日~5日に山口・宇部において第34回婦人部大会を開催しました。今回の全婦は、「なぜ今たたかうのか」「なぜ婦人部が必要なのか」を今の世の中の動きからさらに深く考えていきました。
 大会初日は、来賓に在日本朝鮮民主女性同盟山口県本部副委員長の金静媛(キムジョンウォン)さんを招き、「共に生きよう~朝鮮学校の子どもに学ぶ権利を~」と題して山口朝鮮初中級学校保護者の徐スズキ麻弥(ソすずきマミ)さんから記念講演をしていただきました。私たちが知らなかった今の朝鮮学校が置かれている現状をあらためて学ぶと同時に共にたたかう決意をあらたにすることができました。
 また、「長生炭鉱遺骨収集のとりくみ~明日のフィールドワークにむけて」と題して、水非常を歴史に刻む会共同代表であり山口・陶支部の井上洋子さんからテレビ報道の上映を含めて講演を受け、学習を深めました。
 年間活動報告のあと、運動方針案では石川一雄さんの無念を必ず早智子さんとともに晴らす。そのために狭山を知らない世代にも、五感(観る、触る、聴く、実験してみる)を使ってあらゆる手段でひろげていこうということが提起されました。同時に、参議院選挙で参政党が勢力を拡大したことから、差別排外主義と対決し、私たち婦人が団結して命と生活を守っていく。部落差別と立ち向かう。また、次世代の担い手をつくろう、そのためにやれることは何でもやろう、ということを確認し合いました。夜は婦人あげての交流会でおおいに盛り上がり、親睦を深めました。
 二日目は長生炭鉱のフィールドワークを行いました。まず「長生炭鉱追悼ひろば」に向かい、朝鮮半島から強制連行されて実際に収容されていた窓もない宿舎、墓地を回り、炭鉱の発見された坑口まで歩いて回りました。発見された炭鉱の坑口のある場所も、最初はただの雑木林で、そこをイチから切り開き、探知機を使って坑口を探り当て掘り起こしてやっとの思いで発見できたこと。その現場には、坑口を故意に塞いで逃げ場を失って命を落とされた、坑口を塞いだヒノキの材木も置いてあり歴史の重さと悲惨さを実感しました。ピーヤにむかって一人一人が献花していきました。写真や映像で見るよりも、あまりの近さに驚き、この足元の地底にまだ百数十人のご遺骨が眠っているのだと実感し心が痛みました。 一日も早くご遺族のもとへご遺骨を返せるよう、婦人部もともにたたかいぬく決意をあらたにするものとなりました。
 なお、この全婦大会直後の10月18日、婦人部長・中田照美さんが長い闘病生活の末に志なかばで旅立たれました。深い哀悼を捧げるとともに、狭山闘争をはじめとする我々全国連のめざす闘いの勝利を、一日も早く墓前に報告できるよう、あらためて奮闘を誓います。

4.差別糾弾闘争 

■大阪市の職員による差別事件
 昨年の全国大会でも報告した、一昨年5月に発覚した大阪市港湾局職員による部落差別発言事件について、全国連大阪の支部代表者会は、昨年4月に続いて12月に大阪市港湾局に2度目の申し入れをおこないました。大阪市港湾局総務課からは2人、市民局人権啓発課から1人が応対しました。
 今回被差別当事者である私たちに、「差別発言の詳細」を明らかにしないのは部落民を愚弄するものである。市当局自ら部落差別発言であることを認めているにもかかわらず、その詳細をその一方の被差別当事者に知らせないというのは市の差別問題に関する傲慢さの表れであり、差別糾弾への敵対というほかありません。
 またもう一つ、差別発言を行った港湾局職員2名に対して、私たちへの謝罪を要求しました。また「到底看過できない極めて惨い内容」と市当局が表現する差別発言ならば、当該職員は謝罪すべきだし、その内容を明らかにすべきであるとして当該職員2名と直接話し合うので市の責任において会談を設定するよう要求。この私たちの追及に市側は「あってはならない差別発言だった」というにとどまり、文書回答を約束したにとどまりました。
 その回答が大阪港湾局長名(2026年1月16日付)で届きましたが、その回答たるや、承服小複しがたい内容でした。まず、「差別発言の詳細を差別を被った私たちに明らかにすることを求め」たことに対して、「差別の拡散・助長につながる恐れ……差別発言の詳細の公表は差し控え……可能な範囲で事案の概要等について公表しております。」と1回目と同じ回答をしてきた。私たち全国連大阪支部代に詳細を明らかにせよと求めたのに対して「詳細は公表はしない」という返答はごまかしもいいところです。まして被差別当事者である私たちに明らかにするのが「差別を助長・拡散」につながるとでもいうのでしょうか。「差別発言の行為当事者の港湾局職員2名の、私たちへの謝罪を求め」たことに対しては、「当該職員につきましては……深く反省しており……今後も研修等を繰り返す……当該職員との会談につきましては、個人情報保護等の観点から控えさせていただきます」との回答でした。反省しているから許してくれとでもいうつもりか! いかにも差別者の言いそうなことです。それを個人情報を盾にとってかばおうとする市当局の態度も許されるものではありません。私たちは差別者とそれを擁護する大阪市を今後も徹底糾弾していきます。

5.反戦闘争 ――広島・沖縄・三里塚、現地とともに

■広島のたたかい

 今年度も被爆地・福島町で広島支部を中心とした実行委員会の主催で『被爆80年/8.6ヒロシマ福島のつどい』を開催しました。
 参加者の半分は例年の顔ぶれでしたが、あと半分は地元住民をはじめ初めての顔ぶれでした。地元からは、都町が一番多く、福島町、小河内町からも参加されました。遠く、埼玉、千葉、大阪からも初めて見る顔ぶれがありました。また、長崎からも参加されました。 チラシ、ポスターを見た人、なかにはネットで知った人もいました。猛暑のなか、体調を気遣い、参加できなかった方々もおられ、残念ではあったものの地元の空気が一変した感じでした。
 中でも神田香織さんの講談は感動的でした。何をおいても、講談「はだしのゲン」は圧巻・圧倒的でした。著作権の関係で動画に残せないのですが、これまでのマンガ、アニメ、映画版など、そのどれよりも鮮烈だったという感想が多く寄せられたほどでした。
 この8.6の成果が『はだしのゲンとつながる会』への結実しようとしています。被爆地・広島における地元の福島であらためて大きなうねりを作り出せるよう中央執行部も全力で支えていきます。

■沖縄のたたかい
 昨年の大会でも確認したように、全国結集闘争である沖縄現地での5月『5.15平和行進/県民大会』。ここに毎年合流してきた全国連の『沖縄現地行動』は、コロナ禍で「参加数の制限=対象よびかけ団体の代表者のみの参加」という現地実行委員会の決定事項を尊重し、開催と現地結集を断念していましたが、丸五年間を経て2024年に復活、現地の行動に合流しました。しかし、5月は年度始めという時期でもあり、各地の定期大会や各組織の総会なども集中し生活や労働の分野でも大変な季節で、しかも狭山5.23闘争もあり、財政問題と動員態勢も厳しい現実が顕著となっていました。結果として5月の『沖縄現地行動』は取り組んでいません。中央執行部としても計画段階からテーブルに乗せることができず、執行委員会や拡大中央委員会でも議論もしていませんでした。ただ、今後は季節にこだわることなく、「三里塚、ヒロシマ、ナガサキ同様、現地現場こそ反戦闘争の原点・立脚点」ということからも、『現地フィールドワーク』等の取り組みを検討することを中執会議や中央委員会の場でも大衆的な意見を得ながら論議をしていきます。

■三里塚のたたかい
 軍事空港を粉砕する闘争は決戦が続いています。全国連創立以前からの部落解放運動と不屈で闘う反対同盟農民との血盟は不変であり、今年度も現地に連帯してきました。とりわけ全国総決起集会に全国連代表も参加し、ともに闘うアピールをしてきました。
 2023年、強制執行によって国家権力は市東さんの天神峰農地を奪いました。農民から農地を奪うというというのは命を奪う攻撃です。そんな中でも市東さんは懸命に生活を続けておられます。非妥協不屈で先頭に立って空港廃港にむけて日々闘う市東さんと反対同盟とも今後も共に闘っていきます。

6.「全国連の憲法」綱領の作成へ本格始動

 全国連の憲法すなわち“部落解放運動の憲法”ともいうべきものを次世代に残すべく11月、紅葉真っ盛りの奈良で「綱領作成委員会」第1回目の勉強会合宿を開催しました。  楠木書記長を責任者に昨年の全国大会で決定した6名の委員が出席。今回は「全国連の第2回全国大会テーゼ」をベースにして解放理論の基礎となる領域をひととおりおさらいする形で、問題意識を出し合う目的でおこないました。そのポイントは以下の通りです。
(1)2024年第33回全国大会での提案・討論 ~その後の経過や近年のいくつかの貴重な意見と向き合い~ 以上を踏まえた論点整理の確認。
(2)「2回大会テーゼ」とそれを前後する理論センターの文献について、最も時間を割いて読み合わせ、再学習。特に、戦後の解放運動を牽引した「朝田理論/三つの命題」との対決を通して全国連の新たな解放運動が出発したこと。それによって「左翼反対派」の論理から部落解放運動の論理として再構成したこと。その点で30年以上を経てもなお「2回大会テーゼ」は、その是非も含めて綱領を考えていく土台となること。
(3)論点として〈人権・民主主義と部落問題〉〈天皇制(特に象徴天皇制)と部落問題〉〈部落起源論論争〉〈水平社運動の総括〉について、既説を見て、とりわけ天皇制と部落問題はあらゆる潮流が言及を避けていて、他方では高市や参政党らが天皇元首論を正面に掲げてくる中で全国連がズバリ言い切ることが重要で、かつ、それ抜きには反戦・反差別も存在感がなくなること。
(4)自由討論で各自の意見、感想、次から勉強したい事を出し合った。その中で「革共同との決別の理論的整理は、自分的には決着したい」という意見や「全体像が見えないと、子や孫世代にどう伝えるのか」「婦人部なんてもう古くさいという意見に答えが出せない」等々の意見が出された。
(次回の「綱領作成委員会」勉強会合宿は5月連休の予定)
   
 以上、課題・問題提起を含め2025年度の活動報告とします。 

第3章 2026年度の運動の基調 (案) 

大会の獲得目標をどう考えるか

1、高市政権との全面対決。戦争と排外主義の暴走をいかに打ち破るか。
 2月8日の衆議院選挙で、自民党が3分の2の議席を獲得し、中道改革連合は大敗しました。内外の情勢で、高市政権の問題性は触れられますが、あえてこの基調でも強調しなければなりません。情勢論にとどまる問題ではなく、これからの部落解放運動の行方そのものを左右する問題であると思うからです。
 これに関連して、全国連内外から様々な意見が寄せられています。そうした声にたいして本大会は、新たなたたかうネットワークを提案します。大軍拡・改憲、差別排外主義の暴風に抗して、国政、地域の両面から支援・連帯・共生・共闘をつみあげ、大統一戦線をつくりだしていこうという提案です。全国連はその旗振り役になります。

2、差別糾弾闘争、とりわけ昨年3月11日の石川一雄さんの死をのりこえて、第4次狭山再審闘争でいかに勝利するのか。
 一雄さんの無念を早智子さんが引き継いで、第4次再審請求をしました。この第4次再審請求で何としても勝利しなければなりません。決して単なる決意表明ではありません。そうしなければ、万が一にも二の轍を踏んで間に合わすことができなければ、狭山闘争はこの世から消滅します。全国連も、存在の意味を根底から失います。それは、同時に、迫りくる戦争と差別の時代に対峙する希望の柱が無くなることになります。では、どうすればいいのか。具体的な提案は運動方針で述べられます。その総学習を声を大に訴えます。

3、生活の窮乏化、社会保障のきりすてに対して、助け合いと団結を基本に要求闘争の新たな方向性を打ち立てましょう。
 衆議院選挙の結果は、高市早苗の軽薄な言動にもかかわらず、否、それ故に「何かやってくれるのではないか」という幻想が生まれ、若者の一定の支持を集めたと言われます。しかし、ガソリンの暫定税率の廃止も、イラン攻撃で一瞬で吹き飛びました。物価高騰と実質賃金の減少は、歯止めがかかりません。少子高齢化、多死化、孤立化がどんどん進んでいます。
 このときかえすがえすも、同和住宅にたいする応能応益制は、部落の団結、共同性の破壊に拍車をかけました。あたかも、部落解放運動から「要求闘争」は死語と化しています。だからこそ、住宅、労働、医療、教育、いずれをとっても、生きる権利を守る生活要求闘争が今こそ必要です。そのための地域内外での新たな試みが始まっています。この点でも、様々な教訓をだしあい、各地に持ち帰って有益な大会にしましょう。

4、組織の高齢化、多死少子化社会の組織建設
 本大会では、1年を超えて実施した青年生活アンケートに基づいた、青年部建設の課題を提案します。若者のムラ離れ、運動離れ、孤立化は、部落解放運動の直面する最も深刻な課題と言ってもいいでしょう。ここでは、属地属人主義を原則にした、従来の組織論では役に立ちません。相手にとって関心をよび、魅力を感じる多面的で柔軟な方策が求められています。そのために、村祭りから、狭山・政治までの幅広いテーマをめぐって、ラインはじめSNSをも活用した情報の共有がいっさいの基礎になります。
 綱領作成委員会の作業は、まさにそうした若者に今の部落問題をどう語り継ぐのか、そのためにほかなりません。

 以上の1と2について、ここでもう少しみておきます。3、4についてはそれぞれのところでみてください。なかでも4については、次回(4/19)の青年政策検討会をふまえて、大会議案書にします。

改憲に反対するオールジャパンの大統一戦線しかない

 衆議院選挙の結果について、全国連の内外から様々な意見が寄せられています。
 「高市圧勝の原因は、立憲民主党のうらぎりによるところが大きい。公明党と合体し、中道改革連合を結成するなかで、日米安保を認め、原発を容認し、沖縄を裏切った。この思想的転向ともいうべき立憲のうらぎりが、有権者の失望をかい、高市への幻想を増幅したのではないか」という意見があります。
 また「主権者を愚民よばわりするのは天につばするものだ。主権者は政治のプロではない。この無残な政治的劣勢は、主権者をオルグできない新旧左翼、革新政党・運動体の圧倒的力不足の恥と考えるべきだ」と、かって全国連大会でも講演した菅孝行氏は述べています。
 これらの意見には、共感するところがあります。私たちもまた、選挙結果の主体的要因の一員として、真剣に受けとめます。
 確かに世界各地での戦火の拡大、失われた30年といわれる経済の低迷―天井知らずの物価高と格差の拡大という、戦後史の歴史的転換点にあって、トランプや高市のような暴君に比して、真正面から対抗する反対勢力の影の薄さ、革新勢力の体たらくが、選挙結果の最大の要因かもしれません。
 であるならば、この政治状況をどういう方向で突破し、変革するのか、その解答を私たちは持たねばなりません。あくまで政党とは異なる一個の大衆団体といえども、その主体性を持って自ら臨まなければ、同盟員の疑問に答えることはできません。

 そのためにはまずこんにちの時代認識と、部落解放運動の役割をしっかりととらえ直すことが重要です。全国連が結成以来言ってきた、「戦争と差別洪水とたたかう部落解放運動」が今こそ、もう一度ふるいにかけられ、盤石に鍛え直すことが求められます。
 まさに、世界戦争の危機、差別・排外主義の洪水と対峙する部落解放運動の役割が問われています。分断と対立の時代、「戦後秩序は崩壊した」と支配階級じしんが認識しています。ウクライナ、パレスチナ、そしてベネズエラ、イラン・中東全域、さらに朝鮮、台湾と戦火やその火種は全世界に広がっています。プーチン、トランプ、高市ら、自国ファーストの頭目が出揃っています。彼らを突き動かすものは、まさに世界戦争の危機、そこから発する覚悟と迫力です。
 3月20日の日米首脳会談はまさにその象徴です。「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルド(トランプ)だけだ」と、世界中の権力者が誰一人、口にできない最大限の表現で高市はトランプをたたえました。それは、単なるゴマすりではありません。「トランプにルールはない。やりたいことをやるだけだ」(米軍関係者)という、まさに「法の支配」にかわる「力の支配」の実行を賛美し、弱肉強食の世界争奪戦に大賛成し、自らも参加していくことを宣言したのです。
 余りの毒気に、ア然としますが、眼をそむけるわけにはいきません。それは現実には、何を指すのでしょうか。トランプのルール無視のイラン攻撃には一言も触れず、むしろイランを非難し、ホルムズ海峡への自衛隊派遣に「法の範囲内で」と含みをもたせました。これにトランプは「日本は十分にとりくんでいる。非協力のNATOとは違う」と上機嫌です。自衛隊派遣の密約も決して否定できません。また、ミサイルの共同開発を合意しました。ドローン対策などより実戦に対応し、現に実際の戦場で通用する最新鋭の兵器を指し、これを日米で共同開発するというのです。

戦時下の部落解放運動をどうたたかうのか

 また、次のような意見も寄せられています。「この間、村の人と話しをしたが、平行線のまま。『中国が攻めてきたらどうする』と。ただ反戦を繰り返すだけでは通じない。具体的に朝鮮学校の支援や外国人労働者との交流を通して、ジョンさん、金さんと仲良くしていくしかない」という意見です。この意見もとても重要です。他方、茨城県行政は、「不法就労の外国人を通報したら報奨金を出す」という、全国初の制度をつくりました。
 まさに、政治と地域の両面課題として問われています。大軍拡・改憲、差別・排外主義とたたかう支援・連帯・共生・共闘の全国的なネットワークの陣形が必要になったのです。リベラルから左派まで総結集する力強い大統一戦線を、ということです。
 オール沖縄は、今でこそ重大な試練に直面していますが、翁長知事、玉城デニー知事を送り出し、辺野古新基地反対の県民投票でも圧勝しました。「台湾有事」を口実にした最前線基地化の重圧のもと、不幸な事故もあり呻吟していますが、オール沖縄の歴史的意義は決して消え去るものではありません。むしろ、沖縄にこの困難を強いている沖縄差別をみすえた沖縄連帯の真価こそが問われています。
 大統一戦線は、決して空論や夢物語ではありません。私たちの仲間は、すでに各地の実践のなかで、その歩みを開始しています。
 その先陣をきるのは、山口の長年のとりくみです。皆の力を集中して、ともに試練をのりこえ、大事業を成就しましょう。茨城をお手本に、地域での外国人労働者の防衛と連帯を、全国に広げましょう。沖縄行動を次のステージに、辺野古事故をのりこえて前進しよう。さらに、たたかう労働者、農民、学生との大同団結を模索しましょう。

 部落解放運動は、そうした大統一戦線の旗振り役を果たす貴重な役割があります。その点から、水平社の教訓を今一度とらえ直しておきましょう。
 1922年、今から104年前、水平社は誕生しました。同情融和を拒否し、差別糾弾闘争を軸に部落民自主解放闘争を果敢に進めてきました。「労農水三角同盟」と言われた陣形もつくりました。しかし、中国との15年戦争~太平洋戦争のなかで、最後には旗を巻き、「天皇の赤子一体」のもと、侵略戦争に翼賛加担し、挙国一致に解消しました。私たち全国連は、この歴史の真摯な反省、水平社の敗北と戦争協力をのりこえる主体的な格闘のなかから誕生しました。今一度、一人一人が向き合い、考えてみましょう。
 1929年に世界的な大恐慌がおき、1930年代に入って、15年戦争と呼ばれる日本帝国主義の中国侵略戦争が本格的になっていきます。
 当初、戦時下にあっても、水平社は果敢にたたかいました。1933年の高松差別裁判糾弾闘争では、全国100万人と言われた部落大衆・労働者民衆の決起で、勝利しました。水平社が、差別糾弾闘争を貫くことによって、戦時下の挙国一致を根底から揺るがすたたかいが実現したのです。
 がしかし、まさにそこから、指導部の治安弾圧からの逃亡が決定的になってきます。天皇制権力が、差別糾弾闘争を治安維持法の対象とみなし、犯罪として弾圧してきたことに対し、糾弾闘争を否定・清算する路線(1931年水平社解消意見、1934年部落委員会活動)が水平社を覆っていきます。当時共産党は「糾弾闘争はやめよう」と率先して言いだす始末でした。この変質が、その後の道のりに決定的悪影響を果たします。糾弾否定と経済主義が、戦時下、戦後を問わず、部落解放運動の底流となってしまったのです。
 そこから水平社は、1936年「人民融和への道」、1937年「非常時における運動方針」と、帝国主義戦争への協力と転向の急坂を転がり落ちていきます。「非常時における運動方針」では、「国家が重大なる危機に直面して要求するところの挙国一致においては、差別が存続してはならぬはずだ」と、「挙国一致で差別解消」をうたい、戦争協力の走狗に成り下がったのです。また、同じく「非常時の苦難を切り抜けるために、部落経済の向上に努力を傾注する」として、水平社の幹部は満蒙開拓団や軍需産業に部落大衆を提供する先頭に立ちました。そして、1940年には、水平社を解散し、侵略翼賛運動に解消されていきます。
 そしてそれから90年後の今、私たちに再び同じ選択が問われています。トランプや高市らの音頭で、歴史は「戦後秩序」から逆転し、再び弱肉強食の時代につき進んでいます。 彼らの言い分は、「自国ファースト」そして「イランの核や台湾有事は自国の存立危機事態だ」と言うことです。さらに、それに備えるために軍備増強、外国人排除で全国民に一致を要求しています。これがまさに現代版の「挙国一致」です。これについて、どう考え、行動すればいいのか、悩んで悩んで、悩みぬいて、答えを見つけ出すことこそ問われています。
 でも正しい路線のもとであれば、戦時下でもたたかえることを水平社は示しています。他方、弾圧と天皇制融和主義のイデオロギーに負けて、自ら糾弾の旗を降ろしたときに、水平社は滅びました。
 私たち全国連の路線は、差別糾弾闘争基軸の三大闘争路線です。その正しさは、水平社の教訓に照らしても圧倒的です。そのなかで、史上最大最高の権力犯罪糾弾闘争である狭山闘争には、決定的な意義があります。水平社の敗北を二度と繰り返さない、たたかいの進路を進みましょう。

差別裁判糾弾で再審無罪までたたかおう

 石川一雄さんの無念をいかに晴らすのか。早智子さんとともに、第4次再審請求で事実調べを実現し再審への道を開くこと、同時に再審法を議員立法で改正すること、この2つが必要不可欠であることは言うまでもありません。
 しかし、狭山事件は部落差別に基づく権力犯罪であり、そこに根差した証拠ねつ造が核心問題であります。だからまた、再審請求審においても、正面から証拠ねつ造で勝負しなければ、話になりません。だが、63年かかっても、いまだにこの核心問題がどこかに置き去りにされています。せいぜい、運動体のアジネタとして、取り上げられるに過ぎません。 裁判闘争の俎上に載せることは、「司法の品位に反する」と抑制されっぱなしです。
 これでは、百年かかっても勝てません。肝心要の石川一雄さんの存命のうちに、勝利できなかったことは、悔やんでも悔やみきれません。申し訳ない気持ちでいっぱいです。その轍は二度と踏んではなりません。絶対に、無念の結果を繰り返さない、そのためには狭山闘争の主体的反省をかくことはできません。
 運動体として言うことと、裁判闘争=司法の土俵で争うことが、余りに乖離しています。確かに、運動の論理と司法の論理には大きな相異があり、運動論がそのままで司法に通用するには無理があることは、私たちも承知しています。市民的常識ができるだけ法廷でも反映されるよう、様々な努力がなされており、それには私たちも賛同します。しかし、それにつけても、狭山における目に余る乖離のひどさには、地団太踏む思いです。とくに、袴田さんの勝利の教訓が目の前にあり、また、石川一雄さんの悲痛な訴えを聞きながら、旧態依然としていることには、それこそ常識を疑います。
 権力犯罪、部落差別、その故の証拠ねつ造。逆に言えば、司法の土俵では、証拠ねつ造問題=部落差別問題ということです。差別糾弾一般を法廷で叫ぶことを要求するものではありません。証拠ねつ造問題を、核心中の核心にすえきって、そこにこめられた権力犯罪、部落問題をまさに差別裁判の内在的問題として暴き出し、弾劾すること、それをどうしてやらないのか、不思議でならないのです。
 私たちは、石川さんを無念の死に追いやった、主体の側の最大の要因はこの点にあると考えます。「無期懲役でも終身刑ではない」と言った寺尾裁判長、幾人もの裁判官が変わっても淡々とやり過ごして膨大な時間を経過し、とうとう石川さんの命に間に合わせなかった人たち、恥を知るべきと言う点では同罪だと思います。
 万年筆・インクの鑑定人尋問を行え、弁護団は自ら実験を行え、ここを中心に証拠ねつ造をあばきぬき、差別裁判徹底糾弾に貫かれた再審闘争で団結しよう。

 しかし、当面のステージは再審法の国会決戦です。狭山勝利のためにも、議員立法による再審法改正しかありません。法務省案は、まさに、冤罪の張本人が、一点の反省もせず、むしろ開き直って、再審無罪にリベンジする内容です。
 「再審法の改正なしには、私の生きているうちに狭山の勝利は難しい」という、早智子さんの痛切な訴えに応えましょう。4月以降が国会の山場になると言われます。「無実の人を救おう連絡会」の行動と連携し、4月以降から5、6、7月にかけての最大の山場に、全国動員で国会に行きましょう。そこにむけて、新しい署名運動を全国で集めて国会に持参しましょう。今年の5・23はセレモニー的な発想ではなく、国会に向けて集中しましょう。

 さらにまた、地域におけるまったく新しい狭山草の根運動を、もう一度ゼロからつくりだしましょう。その場合、<石川一雄さんの短歌>と<署名運動>が両輪になります。
 長い狭山闘争のなかで、活動家の大半は高齢化しました。狭山を知らない若者を、次の狭山世代にしていくことも、待ったなしです。大阪で始めた「石川一雄さんの短歌をよむ会」では、数人からですが、初めての出会いがあります。「声を出して短歌を唱和すると石川さんがよみがえってくる」のです。難しい講釈はいりません。ただ、皆で短歌を2度づつ声を上げて読み、感想を出し合い、そして署名を持ち帰る。2月に一度その会をもつ。それだけです。オルグするのは、石川一雄です。短歌にこめた彼の思いです。
 これを全国各地、一人の活動家がいれば、村でも、外でも、学校、職場でも、縦横無尽に網の目のようにやりましょう。「私がウグイス 縦横無尽に飛んでいく 無罪訴え 支援の御願い」は石川さんの辞世の句です。それを遺言として受け取って、Aさんも、Bさんも、Cさんも、X、Y、Zさんも・・・みんなやってみようではありませんか。(了) 
 




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