2026年3月の記事

石川一雄さん逝去1周年をむかえ

第4次再審でいかに勝利するのか


狭山弁護団はインク水洗い鑑定を実施すべきだ

 狭山第4次再審は、2月の三者協議で「事実調べ(鑑定人尋問)の道筋をつけてくれるのでは」などと甘い幻想の声も一部にありました。しかし東京高裁・家令裁判長は、歴代の裁判長と同様に、何もしないまま今月で退官します。狭山は新たな裁判長のもとで、仕切り直しのたたかいが開始されます。
 一方、再審法改正をめぐっては、法務省の火事場泥棒的な改悪案が打ち出されました。高市極右政権によるこの法務省案を許さず、改正を勝ちとるたたかいも山場となっています。
 このような中で、第4次再審に勝利するために、私たちは弁護団が「万年筆の水洗い鑑定」を実施することを強く求めます。
 狭山再審の新証拠の中でも核心中の核心は、下山・河合鑑定によって重要証拠の万年筆が被害者のものではないことが明らかにされたことです。これは万年筆が捜査当局によってねつ造されたことを意味します。
 袴田事件でも明らかなように、証拠のねつ造が認定されれば、それは再審開始に直結します。万年筆のねつ造を東京高裁に認めさせることが勝利のカギとなります。

「再審法(刑事訴訟法の一部)」改正を求める請願署名はこちら

●科学的反論できない検察


 検察は下山鑑定に衝撃を受け、「反論の鑑定を出す」と公言しました。そして世界に冠たる科警研の技術力を結集して実験を行ってきました。しかし2年以上かけてもできずに、あきらめざるを得なかったのです。
 そこで検察意見書が持ち出してきたのは、「被害者や石川さんが万年筆をくり返し水洗いした可能性がある」という憶測・空論でした。またその「根拠」としてインクびんの外箱に「別のインクを混ぜる際には水洗いをするようにとの注意書きがある。それが当時の常識だった」としています。

●これまでの敗北を教訓化しよう

 狭山弁護団はこの検察意見書の主張に対して「根拠のない空論で相手にしない」という姿勢です。
 これは、「裁判所は法と証拠に基づいて判断するから、そんな空論を採用するはずがない」という認識なのだと思います。しかし狭山差別裁判の歴史を見れば、そのような司法の常識など通じないことは明らかです。
 今まで裁判所は、「インクが違うのは、別のを補充した可能性がないとはいえない」と可能性で棄却してきました。しかしこれは第1次再審で検察意見書が言い出したものです。
 当時の弁護団は、別のインクを補充して混合するとどうなるのかという反論の鑑定は行いませんでした。そして「そんな主張は空想だ」という意見書を出しただけでした。まさか裁判所がそんな検察意見書を採用するなどと思ってもいなかったのでしょう。しかし結果は検察意見書を全面的に採用したものでした。この敗北は厳しく教訓化されなければなりません。

●水洗い説への実験鑑定を

 しかし現在の狭山弁護団は、検察の水洗い説という新たな意見書に対して、第1次再審の時と同じく「空論だ」というだけです。
 なぜ「水洗いしただけでは(クロムなど成分を含む)前のインクはなくならない」ことを実証実験して突きつけようとしないのか。
 これは検出限界をめぐったミクロの世界の争いではありません。女子高校生が学校の休み時間に水洗いしたくらいでインクを完全に洗い流すことができるのか、という常識の争いです。袴田事件で「素人の」支援者らが、衣類のミソ漬け実験を行ったことと同様の反論です。
 一度目と同じ敗北を2度くり返すことは、弁護団の側も問われることです。「水洗いした可能性もないとはいえない」などという決定を絶対に許さないために、弁護団による反論の実験鑑定をぜひ行うべきです。
 この下山・河合鑑定という宝刀を生かすか、ツメの甘さによって闇に葬らせるのか、今それが問われているのです。
 3・11石川一雄さん一周忌にあたって、全支援者と弁護団が一体となり、万年筆の証拠ねつ造を核心に据えて、第4次再審の勝利に向けて奮闘しましょう。




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